騎士の男
大変お待たせしました!
まだ完成はしていませんが、一通り出来たので再開したいと思います。もしかしたら途中で止まってしまうかもしれませんが、まぁ未来の私が何とかしてるでしょうということで。
長話もなんなのでこれくらいにして、是非物語を楽しんでください!
ここは国境にある都市郊外の街屋敷通り。大きな古い屋敷に並ぶように建っている館から1人の男が出てきた。
軽装だが、騎士甲冑を付けていることから何処かの騎士団に所属しているのだろうということが分かる。髪は短く前髪は邪魔にならないように逆立てている。それなりに若く見えるが、その割にはどこか凄みを感じさせる風貌を帯びている。
その騎士甲冑の男は誰に聞かれることなく愚痴を零しながら歩いていた。
「――ったく、あのバカ親父が……。どうでもいいような事で呼ぶのはやめて欲しいぜ」
実際問題、彼にとってそれはどうでもいいという事ではないのだが、今の現状では考えられないといった問題なのだ。
「しかし――」
館を出る前に彼の母親に首根っ子を掴まれていたことから、おそらくこってりと絞られているのだと容易に想像出来る。その光景を想像するとどうしても笑いが込み上げてしまう。別にこれといって夫婦仲が悪いというわけではないのだが、たまに彼の父親が余計なことをして怒らせているのが原因だ。その様子は屋敷だけに留まらず、行く先々で見られることから街で有名な名物夫婦になっていたりする。
彼自身はそのことを恥ずかしく思っているが、当人たちがそれでいいのなら自分があれこれ言うことでもないと考えているので口に出すことはないのだ。
「さて……つまらん用事も終わったことだし、さっさとアイツの屋敷に向かうとするか!」
思いっきり背伸びをした男は自分の館の向かいにある古い屋敷へと歩いていく。そう、その古い屋敷というのはコンスタンという表札のある屋敷だ。その男は扉の前で止まるとチャイムを鳴らす前に何かを意気込み企んでいるようだ。
「ん? そういや、前から数えて4ヶ月くらい経っていたっけ……。よしっ! 久しぶりにアレをやるか!」
◆ ◇
騎士甲冑の男がコンスタンの屋敷を訪ねようとしているのと同時刻。
その日、エンテは珍しく玄関ホールの前を通りかかっていた。何故彼女がそんなところにいるのかというと、毎日続いている魔術の修練が終わり自室へと戻る最中だったからだ。いつものように無表情で分かりにくいが、微かに疲れが溜まっているように見える。その証拠に、彼女の歩幅はいつもよりも狭く、足元が覚束ない状態なのだ。おまけに眠いのか瞼が落ち始め、今にもその場で転けてしまいそうな感じだった。その様子はまるで遊び疲れた子供がベッドに行く途中で力尽きるかどうかの瀬戸際、といったところだろうか。
そこへ静寂だった玄関ホールに来訪者を伝えるベルがホール中に響き渡る。眠りこけそうだったエンテはその音に驚きあっさりと眠気が覚めてしまう。辺りを見回すが、クロノも、ましてやアルスもその場にはいない。どうしようか考えている間にもう一度ベルが響き渡る。このまま何もしなくてもいずれどちらかが出るだろうと、いつもの彼女ならそう思っていただろう。しかし、今の彼女はとにかく疲れていて眠いので一刻も早くこのうるさいベルの音をどうにかしたいと考えたのだ。
扉まで近づいて少し荒々しく開ける。すると、それと同時に何かが彼女の頭目掛けて振り下ろされた。振り下ろされた何かに驚いたエンテは反射的にそれを避けようとして後ろに仰け反ろうとしたが、そのまま尻餅をつく形で倒れ込んでしまう。
エンテのその無様な格好を見た来客は驚いた様子で彼女に謝る。
「――っと、悪い! てっきりクロノだと思って思いっきり振り下ろしてしまった。……大丈夫か?」
騎士の男は慌ててエンテへと手を伸ばし引き起こそうとする。しかし、当のエンテはそんな気遣いを無視して立ち上がると、何もなかったかのように服を叩いてその場を去ろうとする。そこへ、用事を終わらせたクロノが通りかかる。
「……あれ? てっきりもう眠っ――部屋に戻っているものだと思っていたけど……、こんな所で何をしているんだい、エンテ」
「…………」
面倒くさい人物に見つかったとばかりにエンテは小さく息を吐く。そんな彼女に疑問を抱きながらも、騎士の男はクロノへ気安そうに話し掛ける。
「よう、クロノ。久しぶりだな」
「……ディード? 来ていたのか。全然気付かなかったよ」
「相変わらずヒデぇな。まぁ、もう慣れたけど」
ディードと言われた男はクロノの冷淡な言葉にも含み笑いをしながら返す。そんなディードの反応を見ながらクロノも釣られるように柔らかく微笑み返す。2人の何気ないやり取りから、どうやら2人は知り合いだということが分かる。そして、こういったやり取りはしょっちゅうしているということも窺い知れる。
気を取り直して、クロノは呆れたようにディードが何をしに来たのかを促す。
「――で? 今日は何をしに来たんだい?」
「そんな、俺が毎回何かを持ってくることを期待しなくてもいいだろ」
「はぁ……。いつも楽しいことになってくれて嬉しい限りだよ」
「だろ? まぁ、今回俺は全く関係ないぜ。ほら、伝書を持ってきたんだよ」
そう言うと右手に丸められていた伝書をクロノへと手渡す。先程、エンテへと振り下ろされた物というのはこの伝書なのだろう。内容がどういったようなものか分からないが、少なくとも大切な書類に分類されるであろうものを雑に扱うのは如何なものなのだろうか。まぁ、そういったことも含めて彼の特徴の1つなのだろう。
いつも通りな彼の態度を諦めつつ、クロノは伝書を受け取る。それを満足気に見ながらディードは視線を別の方へと逸らす。その逸らした視線の先には、先程から微動だにしないエンテの姿があった。そのエンテを見ながら彼は気になっていることをクロノに聞くのだった。
「ところでよ――ソイツ、誰?」
前書きに書くと長話になってしまうのでこちらで余談を書いてみます。私自身の話なので流してもらって構いません。
前置きはこのくらいにして、
今回遅れてしまったのは少し訳がありまして、実はこの1か月間、私自身探していた答え、というものが2つも見つかりました。1つは、前に補足で書いたもので、もう1つは自分のこれからに関わるものです。分かった時は少し困惑しましたが、今は不思議と納得しています。案外、答えっていうのは身近であったり普段自分が口にしたり嫌っているものにあるんだな、というのを改めて思い知りました。
とはいえ、答えというものは決して知らなければいけないというものではないです。知りたくないものに蓋をするのもまた1つの道です。まぁ、私にはその選択肢を用意されていないみたいですが…。
そもそもの話
この物語自体、元々は私が描きたいと思ったものなのですが、本当はそういった答えを見つけるためのものだったのかもしれません。それが正しいのものか、というのはこれから確かめていきたいと思っています。
私がそうであったように、この物語が誰かにとっての"答え"が見つかるものになれば、と思っています。




