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アイオライトの魔導人形(エンテシア)  作者: 七瀬朔夜
第2章 遠い日の約束
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人形の心

 私の目の前に居る男――確か、クロノベルトと言っていたか……。

 この男は私にいろいろとありえないことを言ってくる。私の記憶を取り戻すことや、私に掛かっている呪いを解くための協力をすると言ってきたのだ。

 こういう人間をなんて言うんだったか……そう、確かお人好しだったか。

 彼女はよく言っていた――『お人好しな人はかなり面倒だから関わっちゃダメよ』と……。私が何で面倒なのかということを聞くと、彼女はこう応えてくれた。

『うーん、そうね……勝手にその人の心に入ってきてそこに住んでしまう――そう言ったほうが早いかな?』

 そう言った彼女は付け加えるように言葉を続けた。

『特に、自分の事を顧みず相手の事ばかり心配するような人は面倒すぎるわね……。自分の事だけを気にしていればいいのにね……。本当に面倒な人――』

 そう言った彼女はどこか嬉しそうな、それでいてどこか辛そうな、そんな表情をしていたのを覚えている。


 目の前の男がヒルデが言ったようにお人好しだとすると面倒なことになる。……そう思ったのだが、私は彼の提案を受け入れることにした。何故受け入れようと思ったのか分からないが、そうした方がいいと思えたのだ。

 それに、少し気になることもある……。


 そうこうする内に、私たちは朝食を食べる前だったことを思い出し席に戻ることにした。

「それじゃあ少し遅れたけど、食べようか」

「……いただき、ます」

「あっ、そうそう! 一応、料理の腕にはそこそこ自身があるんだよ! 特に今日の出来はかなり良いんだけど――」

「……不味い、です」

 私はそう応えたのだが、本当はとても美味しかった。

 そう、確かに彼が言っている通り冷めてしまい味が落ちてしまっているのだろうけども、とても美味しく感じた。彼女の作ったそれに近い――いや、それ以上なのか……それほど美味しかったのだ。

 でも、何故か私は"不味い"と言ってしまった。

 もしかして、これは呪いがそう言わせるようにしているのだろうか?

 そんなことを考えていた時、彼が唐突にこんなことを言い出す。

「これから僕はきみに食事を作ったりするよね? その時々に美味しいと言わせたら僕の勝ち。不味いままだったらエンテの勝ちという感じでどうかな? とはいえ、絶対に言わせたいから……僕が死ぬまで、ってことでどうだろう?」

 そんなことを言われた私はうんざりしつつも、彼の料理をこれからいつでも食べれるのかと思い、彼の勝負に乗ることにした。


「よーしっ! そうと決まったら今日からヒルデ卿の料理を超えるつもりで頑張るか!」

 そう意気込んだ彼は自分の分を食べ始める。だが、パンケーキを口に入れた途端、急に眉間に皺を寄せてしまった。どうしたというのだろうか……。

「ん!? そういえば焦げていたことを忘れていたな……」

 しかめっ面になった彼の顔を見た私はそれが可笑しくて、つい彼のことを笑ってしまう。

「……ふふふ」

「……はは。初めて笑ったね。きみが笑ってくれたんだったら、こういうのも悪くないかな。それに、笑ったっていうことは、少なからず僕への警戒は解いてくれたとみて良さそうだしね」

「ふふ……調子に、乗らないでください。私はあなたのことをこれ以上信用するようなことはありませんので」

「ははは、そんなに簡単にきみの警戒が解けるわけないか。まぁ、時間はたくさんあることだし、ゆっくりと信頼を築けばいいか!」

「ふん。すぐに根を上げるのがオチだと思いますがね」



 そう……彼を決して愛したりすることはない――

 呪いがあろうがなかろうが決して――

 そうですよね、……ヒルデ?

改めまして、ここまで読んでくださりありがとうございます。作者の七瀬です。

とりあえずにはなりますが、今回の話で2章目が終わりということで途中で言っていた碑文の解答についての補足みたいなのをしておこうと思います。


最初に表の回答に関しては少し捻くれてること以外は特に言うことはないのでそのままの意味と捉えてもらっていいです。問題があるとするなら、裏の解答に納得がいかないことなのかと思います。なので、順に説明していきますね。


まず大前提として、この作品のテーマである『愛』に触れておこうと思います。

皆さんは愛と言えばどんなことを思い浮かべますか?各々思い浮かべたままでいいので、説明を続けます。

一般的な概念で言うなら、誰かや何かに対して捧げたい・分け与えたいという思いを持つことをいいます。

それを踏まえて説明すると、自己愛というのは本編で言ったように自分を大切に出来ない人間が誰かを大切に出来るわけがないというやつですね。そして自己愛以外で言えることですが、どれも基本的に想い・想われという関係が本来の愛情と呼ばれるものなのではないかと思っています。

なので、一方的に想うだけのものはただの押し付けでしかないと考えています。


例えば、憧れている人や好きな人が自分の思っているような人ではないと分かった途端に手のひらを返したりしますよね。それはつまり、自分の考える理想像をその人に押し付けているだけなのではないですか?まぁ、端から騙すようにしている場合もあるので一概にそうだとは言い切れませんが。

理想の家族だったり、理想の友達だったり、将又理想の結婚相手だったり……自分が思い描いているだけで相手から動いてもらったり変わってもらうことを期待してるだけじゃ何も変わることはありません。自分も変わり、相手と並んで行動出来るようになることがまずは誰かを愛することへの1歩なのだと私は考えています。


――と、偉そうに並べ立てていますが、私自身、結婚もしていなければ友人もそんなにいなく家族間の関係もあまりいいとは言えないような人間です。仮に、友人や家族は何とかなったとしても結婚は出来ないだろうと考えています。これは悲観しているからというよりかは、私自身の問題を解決しない限りはどうにもならないというものなので難しい話だったりします。結婚云々はさておき、私なりに変わろうとはしていますが、自分が考えているよりも根深いものなのでどうなるのか分からないといったところです。

こういう人間がこのテーマにしたのは滑稽なところはあるかと思いますが、私なりにこのテーマで書いていきたいと考え付いてしまったので何かしらの考えがあるのかもしれないです。……ないかもしれませんが……。




今回はこのような形で説明を補足してしまい、申し訳ございません。あまりこういったことを言ったりしないので変な文章になっているかもしれませんが、その時はご了承ください。

あと、これはあくまで私の考えになりますので愛の形の1つと考えてもらって構いません。

これからどうなっていくか分かりませんが、私の作品を読んで何か思うところがあれば嬉しく思います。

では、長々となりましたがこれで終わろうと思います。

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