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アイオライトの魔導人形(エンテシア)  作者: 七瀬朔夜
第2章 遠い日の約束
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微睡みの人形

 アインハルトが居なくなり、少女と2人きりになったクロノベルトは少女の様子を改めて確かめる。

「そういえば……、あれから結構経つけど、いつになったら起きるんだろう?」

 魔力が注がれてそれなりの時間が経っているのにも関わらず、全く目が醒める気配がない少女を見てどうするべきか考える。

 考えた結果、起きるまでこのままにしておくのも気が引けたクロノベルトは悪いと思いながら彼女を背負って一旦屋敷に戻ることにした。彼女を背負おうため、さっきよりも彼女の顔に近づく。見れば見るほど人形とは思えない彼女に感嘆しながら、どう背負うかを考える。

「……よく考えたら、眠っている相手を背負ったことがないからどうすればいいのか分からないな。……仕方がない、抱き抱えて連れて行くか。……っと!? 予想以上に軽いんだな……。それに、体温もちゃんとある……。――って、そんな感想は今はどうでもいいな。早くこの子を屋敷に連れて行かないと!」

 少女を抱き抱えた時に紅い石が何個か零れ落ちてしまう。何かの装飾か少女の所有物なのか気になったが、今は屋敷に連れて行くことを優先することにするのだった。



 屋敷に戻ったクロノベルトは、まず少女を眠らせる場所は何処にするかを考える。そこで、自分の部屋の近くに空いている部屋があることを思い出すとそこに連れ込むことにするのだった。

「――よしっ、ここで眠っていてもらおうかな。この様子だとしばらくは起きそうにないから戻ってアインさんの日記を持ってくるか。今はとにかく、この子が目醒める前にいろいろと情報を取り入れたいところだしね」

 ベッドへ寝かせたのを確認すると、世話しなく部屋から出て行こうとする。しかし、何かを思い出したかのように少女に向き直ると優しく言葉を投げかけた。

「それじゃあ、また様子を見に来るよ――」

 そう言ったクロノベルトは少女の頭を優しく撫でると、部屋から出て再び蔵に戻るのだった。





 温かいものが私を包み込んで少し経った頃、何やら話し声が聞こえてきた。

 意識が混濁している中、確かに聞き取れたのは"後継者"がどうとか"人形"がどうとかという感じの内容だった。

 頭が冴えわたっていないが、"人形"という言葉が気になった。


 ……そうか、思い出した。……私は、彼女に、()()()()()()だった。


 人形であることを思い出した私は更に情報が手に入らないかと期待して会話に耳を澄ませてみる。

 その結果分かったことは、2人の若い感じの男が会話しているということが分かった。そして、私の事で何やら言っているみたいだが、肝心の内容までは聞き取ることは出来なかった。

 しかし、この会話に耳を済ませている内に何やら懐かしいものが込み上げてくる感覚に襲われる。何故、聞こえない内容なのに懐かしさを抱いたのだろうか? もしかして、会話の内容ではなく聞こえてくる声に懐かしいと思っているのだろうか? ということは、会話をしている男に会ったことがある……ということなのだろうか?


 分からない……。

 少なくとも私が覚えている記憶では"男"が出てきていないような……。それとも、ただ単に私が忘れただけなのだろうか?

 ……多分、忘れてしまったのだろう……。何故なら、私を創ってくれた彼女のことさえ、朧げにしか思い出すことが出来ないのだから――



 目醒めない意識でいろいろと考えている内にどうやら会話は終わったらしい。そして、誰かが私に近付く気配を感じられた。

「…………いつ…………だろう?」

 近くで喋っているらしいのだが、どうにも聞き取ることが出来ない。声音を聞く限りではどうやら困っている、ということが分かる。だが、一体何に困っているのだろうか?

 ……分からない。分からないが、私に何かをするつもりなのだということは何となくだが分かった。

「…………眠って……相手を…………分からないな。仕方がない…………連れて行くか」

 次の瞬間、身体が軽くなり宙に浮いている感覚に陥る。

 これから何をされるのかと恐れてしまう。だけど、包み込まれるような感覚に何故か安心した私は大丈夫なのだということを感じてしまった。

 そして、その状態のまま少しの揺れや時折風に当たる感覚を感じ取る。そのことから、どうやら移動しているのだということが分かった。



 そうしてしばらく経って、私をどこかに運び込んだ男は私を降ろし横に寝かせる。

 今度こそ何かをされるのかと恐れたが、寝かせられてからふかふかとした感覚を感じる。ということは、恐らくベッドなのだろうということが分かった。

「それじゃあ、また……を見に……――」

 そう言った男は私の頭を優しく撫でた後、気配が感じないようになってしまった。

 眠りながらも撫でられたことに安堵した私は、早く目醒めようという思いで再び深い眠りにつくことにした。

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