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アイオライトの魔導人形(エンテシア)  作者: 七瀬朔夜
第2章 遠い日の約束
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深い眠り

 いつからだろうか……私は眠り続けている――

 そもそも何故、眠っているのかさえ分からない――


 眠っていても何故か意識はあり、話し声などが聞こえることもあったがそれも今ではなくなった。そもそも何を言っているのかよく聞き取ることが出来なかったのでどうでも良かったが――




 ……。

 …………。

 ……………………。


 あれからどれ位経ったのだろうか――



 私は「誰」なのだろうか――



 私は何のために存在しているのだろうか――



 分からない――

 分からない、分からない、分からない、わからない、ワカラナイ――



 どうやら眠っている間に自分が()()()()()()だったのか分からなくなってしまったようだ。

 だが、これだけは覚えている。いや、()()()()()()()()()()だということが分かる。

 その"人"は私に言葉を教えてくれた。私に人の温もりを教えてくれた。私をいろいろな場所へと連れて行ってくれた。私にいろいろな、いろいろなものをたくさん分け与えてくれた――大切な、大切な私の『   』。


 ……大切な人だというのが分かっているのに何故だろう、彼女の顔が、名前が……分からない――



 そう、か……。私は、彼女の手によって眠りについたのか――

 大切である彼女の名を忘れるような『欠陥品』なんて、誰もいらないのだから……。私は……、彼女に、棄てられた、のか――


 そのことに気づくと、何故だか分からないが胸の奥がとても苦しくなり、そして空虚感が押し寄せた。

 これは一体何なのだろうか?

 眠りにつく前まではこんなことを感じたりはしなかったというのに……。それも含めてやっぱり私は『欠陥品』なのだということを突き付けられる。


 ……もう、このままずっと眠っていたい――

 このまま永遠に醒めることのない、幸せだった頃の夢を見続けていたい――



 そして私は深い眠りにつく――

 深い、深い、眠り……に――



 ……。

 …………。

 ……………………。


 深い眠りについてどれくらいだろうか。()()が私を包み込むのを感じ取る。しかし"それ"に不快な感じは全く感じられない。むしろ、温かく、懐かしさを感じてしまう。これは何なのだろうか……?

 分からないが、"その何か"は目醒める時が来たのだと報せに来たのだと、何故だかそう感じることが出来た。

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