第97話 魔法ダブル1
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俺たちは第一学園の待機場所で休んでいた。
体力的には全く問題ないが、セーラとゼミルとの戦い以外は試合が始まった瞬間に敵に接近して首を斬るという動作を繰り返すだけだったからな。
ほぼ作業のようなものだった。
なので精神的に少しばかり疲れた。
「「お疲れ様」」
すると、ユアとユイが来た。
「二人とも、俺たちの戦いを見てたのか?」
「えぇ、といっても決勝戦以外はどちらも一瞬で終わったからそこまで面白い物じゃなかったけどね」
「それはそうだろうな」
「しょうがないわ。敵が弱すぎたんだもの。セーラやゼミルほどじゃないにしても一撃くらいは防いでほしかったわ」
それに関しては俺も同意だ。
俺もミコも本気を出していなくても、決勝戦以外の試合は一撃で終わってしまった。
もう少しもって欲しかったものだ。
「シン、ミコ。お疲れ様。負けたわ」
「さすがの一言に尽きるわね」
すると、セーラとゼミルも来た。
恐らく意識を取り戻したのだろう。
「二人ともお疲れ様。そこそこ楽しめたよ」
「えぇ、少なくともそれまでの雑魚よりはとっても楽しめたわ」
「雑魚と比べられても。もっと強くなりたいわ」
「シンにもっと鍛えてもらうしかない」
「頼まれればいつでも、いくらでも引き受けてやる」
「「ありがとう」」
「私もお願いするわ」
「勿論いいぞ」
「やった」
俺たちはそんな感じで適当に雑談をして時間を潰した。
その後「白黒銀世界」の中で俺が皆の昼食を「創造」で創って食べた。
食事後は少しダラダラして過ごした。
その間ユアとユイはイチャイチャしていた。
ユイは魔法ダブルに出場するので英気を養っているのだろう。
ユイにとってユアはエリクサーよりも優秀な癒しだからな。
そんな感じで過ごして、元の世界に戻り俺たちは各々魔法ダブルの準備をした。
俺とミコはすぐに控室にいく。
「どうする?楽しめるように何か縛りでもするか?」
「無駄だと思うわ。だって私たち、最下級魔法だけでドラゴンに勝てるもの」
「弱体化の魔法を掛けるとか?」
「魔法の威力を下げるような弱体化魔法ってあったかしら?」
「記憶にないな」
「レジスト」のように魔法を無効化する魔法をあっても魔法を弱体化する魔法は聞いたことがないな。
「今から創るか?」
「わざわざ?」
「面倒だな」
俺もミコも面倒くさがりなのだ。
「魔法創造」を使えば、創ろうと思えば魔法の威力やらなんやらを弱体化させることが出来るデバフ魔法を創ることは可能だ。
ただ、とても面倒くさい。
「さっさと終わらせてしまおう」
「それがいいわね。決勝戦はある程度楽しめそうだし」
「それまでは秒で終わらせよう。魔法個人での腕を見る限り、最上級魔法を防げそうなやつはいなかったし」
「魔法も衰退したものね」
「4000年前はそんなことなかったのか?」
「私ほどの魔法使いは1つ例外を除いていなかったけれど、魔王軍の重臣なら災害級程度であれば使える人も結構いたわ」
「決して多くはないんだろうが、今の時代と比べればかなり多いな」
「えぇ。それに平民であっても上級魔法なら使える人も結構いたし」
「何故衰退したんだ?」
「私も眠っていたからわからないけれど、多分魔王と災禍の魔女が姿を消したのが主な理由ね」
「魔王と災禍の魔女が関係あるのか?」
「魔王も災禍の魔女もとてもすごい魔法の使い手であったと同時にとても研究気質だったの。よく二人で魔法の研究をしていたわ。それに、これはあまり知られていないけれど災禍の魔女は魔王の弟子だったの。災禍の魔女は魔王に魔法を教わった。っていっても魔法に関しては魔王よりも災禍の魔女の方が才能があって魔王から師弟関係になって2年で免許皆伝されたそうだけれどね。それで二人の魔法の研究は魔法界に大きな影響を与えていたわ。そんな二人がいなくなって魔法界は廃れていったんじゃないかしら」
「なるほど。魔法界を引っ張ってきた魔王と災禍の魔女の失踪が魔法衰退の大きな原因となったわけか」
「あくまで仮説だけれどね」
ミコの魔王と災禍の魔女の話はとても詳しい。
ミコはやはり魔王や災禍の魔女と何らかの関係があったの考えて良さそうだな。
まぁ、気にする必要はないだろう。
俺はミコたちとこの世界で平和に暮らせるのならそれでいいのだ。
わざわざミコが言いたがらないことを無理に言わせる必要はない。
「シン選手、ミコ選手、お時間です」
「行きましょうか」
「あぁ」
俺たちは舞台に向かう。
不安がる必要はない。
俺たち二人は最強なのだから。
舞台に上がると既に対戦相手はそこにいた。
男が一人と女が一人。
だが、明らかに様子がおかしい。
「明らかに恐れられているわね」
「そうだな。まぁ魔法個人の時のミコの魔法を知っていればそういった反応にもなるだろう」
「両者構えて。はじめ」
俺たちが雑談していると、選手の紹介が終わったらしく試合が始まる。
「く、くらえ。火属性上級魔法「ファイヤランスレイン」」
対戦相手の男の方が火の槍の雨を降らせる。
「くらないさない。風属性上級魔法「ウィンドランスレイン」」
もう片方の対戦相手である女の方が風の槍の雨を降らせる。
風の槍と火の槍がぶつかり、火が激しく燃え盛る。
実質的な複合魔法だな。
二人だからこそできる芸当だ。
だが、所詮は雑魚と雑魚を掛けただけ。
俺たちには効かない。
敵が攻撃しているのに対して俺たちは何もしない。
そして風の槍のおかげで威力の増した火の槍が俺とミコに降り注ぎ、俺たちの周りが爆炎で覆いつくされる。
「や、やったか!?」
男の方が嬉しそうに言う。
「いいえ。まだよ」
だが、女の方は極めて冷静に判断する。
女の方は無詠唱で「ウィンド」を使い爆炎の火力を上げる。
だが、俺たちには効かない。
少し時間が経つと、炎が晴れる。
そこにいたのは、無傷の俺とミコの姿だった。
「嘘だろ。なんで、爆炎が効かないんだ?」
男の方が呆然とそんなことをつぶやく。
「何を驚いてるのよ。予想通りでしょう」
女は男を諫める。
「だって、あの爆炎を無傷で防ぐなんて強力な魔法を無詠唱で放ったっていうのかよ」
男の方は俺たちが魔法を使って爆炎を防いだと思っているようだ。
「何を言っているのかしら?ソードロード閣下とマジクロード閣下は魔法を一切使ってないわ」
女の方は何を当然のことをと言った風に男に俺たちが魔法を使っていないことを告げる。
というか、何気に俺とミコのことをソードロード閣下とかマジクロード閣下とかいうやつは初めてだな。
実況ですら、俺たちのことを選手っていってたけど。
俺もミコもゼミルもユアも一貴族家の当主だから。
閣下と呼ぶのが当たり前だ。
なんならセーラも王女だから、殿下と突けるのが普通だ。
実況のやつらはそれが分かっていない。
学生だからそういう呼び方をしないのもあるが、本来なら俺たちのことは閣下を付けなければならない。
そして女は俺たちが魔法を使っていないこともわかっていた。
それを理解できる女はかなり優秀のようだ。
「はぁ、じゃああいつらはどうやって爆炎を防いだっつうんだよ」
男は女に説明を求める。
「貴方、もしかしてソードロード閣下とマジクロード閣下のこと調べてないの?」
「そんなもん調べる必要ねぇだろう」
「貴方は前々から馬鹿だ馬鹿だと思っていたけれど、本物の馬鹿ね。魔法ダブルに出場するってなって魔法個人の優勝者であるソードロード閣下とマジクロード閣下と戦う可能性は十二分にある。それに対する対抗策を練るために相手の情報を調べることは当たり前よ。そして調べた結果、閣下たちはどちらも一般常識では考えられないほどのレベルであることが分かったわ。つまり、閣下たちからして私たちの攻撃は全く効かないとるにたらないものだったってことよ」
「そ、そんな。どれだけ高いレベルの人でもあれだけの爆炎を受けて無傷なんてありえないだろ」
「それがあり得るのがソードロード閣下とマジクロード閣下よ。あの方たちは平民であり、私たちと同い年であるにも関わらず辺境伯になった方々よ」
「でもよぉ」
「とにかく私たちは効く効かない関係なくひたすら攻撃するしか道はないのよ。ソードロード閣下とマジクロード閣下も何故私たちを攻撃しないのです?」
女は男にどうするかを指示すると同時に俺たちに疑問をぶつける。
「なに。貴殿は優秀だと思ってな。事前準備に冷静な分析、自分たちのできることを理解して諦めずに行う行動。素晴らしいな。そんな貴殿に敬意を払い、いくらでも待ってやる。本気で来い」
「温情。感謝いたします。ソードロード閣下。ほら、貴女もやるわよ「ストーム」」
「くっそ「ファイヤランス」」
「レジスト」
女が「ストーム」を使う。
女はきっと男に「ファイヤ」を使って「ストーム」で出現した竜巻を燃やして、実質的な「ファイヤストーム」にして欲しかったのだろう。
だが、男は「ファイヤランス」を使った。
火の槍が竜巻にぶつかったのならまだよかった。
だが、男の放った「ファイヤランス」はまっすぐに俺の方に飛んできた。
「ファイヤランス」は俺に直撃する。
「ファイヤランス」は俺にぶつかり消滅した。
無論、俺は無傷だ。
「インフェルノ」
ミコが「インフェルノ」を使い、竜巻を燃やす。
そしてその竜巻が俺にぶつかる。
それでも無傷だった。
「名前聞き忘れたけど、とりあえずやりたかったことはしといたわ」
「ありがとうございます。マジクロード閣下。私、レミレナ・ブルーと申します」
「その名前、覚えておこう」
「いい名前ね。覚えておくわ。ついでに邪魔なのは消しとくわね「ブラックホール」」
「なんだよこれ」
男の近くに黒い球体が出現する。
男は球体に呑み込まれた。
「これが、破滅級魔法」
レミレナは目を輝かせながら「ブラックホール」を見ていた。
「魔法が好きなのね。なら、貴女が目指すべき姿を見せてあげる」
そう言ってミコは魔力を溜める。
「レミレナ嬢。よくみておけ、世界最高峰の魔法使いの魔法だ」
レミレナはミコを見つめる。
「風属性神話級魔法「テンペストハリケーンストーム」」
その瞬間、巨大な竜巻が出現する。
それはレミレナ嬢の竜巻の数百倍の大きさだった。
そして速い。
「いつか、私もこんな風に」
「メモリートレース」
「ふぇ」
俺はレミレラ嬢に「メモリートレース」で俺たちの魔法の知識を送る。
「俺たちが知りうる魔法の知識だ。中には様々な属性の魔法がある。レミレラ嬢が風以外のどの属性を使えるのかは知らんが、まぁ知っておいて損はない」
「ありがとうございます」
レミレラ嬢は俺たちに頭を下げる。
そしてレミレラ嬢はミコの引き起こした竜巻に巻き込まれたのだった。
最近、後で追加になって申し訳ないです。
もう少しすれば、時間に余裕が出来るので執筆に余裕が生まれると思います。
前話で魔法ダブルも1話で終わるといいましたが、終わりませんでした。
でも、次話で終わると思います。
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