第85話 勘違い
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中等部剣術個人決勝戦。
俺とミコの戦いは俺が勝利した。
俺たちは第一学園の待機場所に移動する。
「シン君。優勝おめでとう」
そこにはマーゼがいた。
「ありがとうございます。学園長」
「シン君たちは魔法個人もにも出るけど、魔法個人は午後だからまだ休んでていいわよ」
今日の日程は午前に中等部1年の剣術個人。
午後に中等部1年の魔法個人を行う。
「にしても、どっちにも参加する生徒にはハードな日程ね」
セーラが言った通りどちらにも出場する生徒は剣術で体力を使う。
人によっては俺たちみたいに強化に魔力を使う場合もある。
だが、同じ日なのであまりゆっくりと休憩できない。
体力の消費は魔法戦でもかなり痛いし、剣術で魔力を使ったのなら一般的な魔力回復量だと満タンまで回復しないだろう。
それらを考慮すると剣術、魔法。
どちらにも参加する生徒からすればかなりハードなスケジュールだ。
「実を言うとそれが目的なの」
「「「「「目的?」」」」」
「えぇ。運営側からしたら剣術と魔法の両方はなるべくしてほしくないの」
「何故です?」
「どちらも中途半端になる可能性があるよ。準備期間は無限じゃない。その中で剣術も魔法も上達しよう。なんてかなり難しい。なら片方だけに絞った方が強くなれる。でもどっちも極めようなんて考える人は多い。だから、大会の日程をハードにすることでそれを減らして実力者を増やそうって意図があるのよ」
「なるほど」
「そういうことね」
「まぁ、貴方達ならそもそも準備なんてしなくても好成績を出せそうだし。尋常じゃない体力やレベルも知ってるから問題ないだろうけど」
「それでも精神的には疲れましたよ」
「幸い、時間は長くはないけどまだあるから少しでも休みなさい。それじゃあ、私は用事があるからここで失礼するわ」
そう言ってマーゼは去っていった。
「ユイ。お疲れ様!」
すると突然、物凄い速度で誰かがユイに突っ込んでいった。
「お姉ちゃん。見ててくれた?」
そう、ユイに突っ込んでいったのは彼女の姉であり婚約者であるユア・ユレイズだ。
今はユイを目いっぱい抱きしめている。
「うん、見てたわよ。かっこよかったわ」
「でも、セーラに負けちゃった」
「セーラはシンとミコの弟子で色々とバグってるんだから気にしたらダメよ」
「それもそうだね」
ユイもユアを抱きしめる。
近くにいる第一学園の生徒は皆目をギョッとさせている。
第一学園でのユアの印象は完璧な生徒会長だった。
それが、妹に突進して抱き着いて妹を褒めまくるブラコン姉兼溺愛婚約者に変化したのだから驚いたようだ。
まぁ、俺たちからしたら見慣れた光景なのだが。
「あ、そうだ」
ミコがそういうと「白世界」を発動した。
俺たちの周りが白に塗りつぶされていく。
ミコの「白世界」って何気に久しぶりに入ったな。
基本的に最近は「白黒銀世界」や「黒世界」とかの自分で展開した異空間にしか入った記憶がない。
いや、セーラの試験を行ったときに「銀世界」に入ったか。
俺はそんなどうでもいいことを考える。
ミコは「ストレージ」から常闇を出す。
するとミコの体内から魂が出てきた。
ユアの魂だ。
「貸してくれてありがとう」
ミコは常闇をユアに返す。
それと同時にミコの体内から出てきた魂もユアの中に入る。
「どういたしまして。って魔力が急に増えたのだけれど何をしたのかしら?」
「あぁ、それは私の体内にあったからよ」
「どういうこと?」
「私の加護は魔法神。魔法神の加護をもつ私の魔力というのは世界最高レベルのものなの」
「それはわかるわ」
「そんな魔力が満ち溢れている私の体内に魂が入った。なら魂は私の強力な魔力を吸収する。それによって魂が強くなり魔力が増えたってわけ」
「なるほど」
「それと偽魂と融合したこともあるわね」
「融合?」
「えぇ。私は貴方の魂を借りるときにあなたが死んでしまわないように「偽魂創造」で創った偽魂をあなたに入れたわ。それによって本来の魂と偽魂が融合したおかげでさらに魔力が上がったってわけね」
「そんなことが出来るのね」
「出来るわ。だって私は魔法神の加護を持つ者だもの。セーラとゼミルにも返すわ」
そう言うとミコは「ストレージ」から殺魔と死魔を取り出す。
するとミコの中から魂が二つ出てくる。
それはセーラとゼミルの魂だった。
二人が各々の武器を手に取ると魂が戻っていった。
「本当ね。魔力が増えたわ」
「さすがとしか言いようがないわね」
二人もミコを賞賛している。
「せっかくだからここで休憩しよう」
俺はそう言うと「白世界」に魔力で干渉する。
すると空間の一部が黒に侵食された。
この空間に俺が干渉したことでこの空間は「白世界」ではなく「白黒世界」となった。
「私もそうさせてもわうわ」
セーラも休むようで「白黒世界」に魔力で干渉する。
それによって空間の一部が銀色に侵食された。
この空間にセーラが干渉したことでこの空間は「白黒世界」ではなく「白黒銀世界」となった。
「外の時間と隔離した。この空間にいる限り外の時間は過ぎない」
「私たちもここで休んでいいかしら?」
「勿論だ。いいよなミコ」
「えぇ。構わないわ。そもそも中に何人いようとも魔力の消費量とかは変わらないし」
「それじゃとりあえず昼食にしよう。希望を言っていけ」
「お寿司」
「ハンバーガー」
「ラーメン」
「蕎麦」
「了解」
皆見事に前の世界の食事にハマっていた。
まぁこの世界よりも発達しているから無理もない。
俺は言われた通りのものを「創造」で創る。
ちなみに俺は昔からの好物のかつ丼だ。
昔、知り合いに食べさせてもらってからドはまりした。
「「「「「いただきます」」」」」
俺たちはミコの「ストレージ」に入っていた椅子とテーブルを出してもらって食べた。
ミコの「ストレージ」には明らかにおかしいものが入っている。
本人は気にしていないが、こっちからすればなんでそんなものを「ストレージ」に入れているのか聞きたいというものも多いのだ。
料理に関しては皆、一瞬で食べつくした。
ここに礼儀なんて気にする者はいない。
「デザートは何がいい?」
「チョコケーキ」
「チーズケーキ」
「バニラアイス」
「チョコアイス」
デザートも前の世界の物にハマっているようだ。
「はいよ」
俺はオーダー通りのものを創る。
ちなみに俺はシャインマスカットだったりする。
「美味しいわ」
「これだけ美味しいものを言ったらすぐに出してもらえるミコとセーラが羨ましいわ」
「本当にね」
「でも、これだけ食べたら太っちゃうかも?」
「いえ、シンが創った食べ物は太らないわよ」
「「「「そうなの?」」」」
「太るっていうのは簡単に言うと、必要なエネルギー以上エネルギーを摂取したら太るんだけれど。シンが創った食べ物って必要なエネルギーをとったら、過剰な部分は魔力に戻るの。だからシンが「創造」で創った食べ物はどれだけ食べても太らないし、魔力が回復するってわけね」
「「「「なるほど」」」」
「それじゃ、たくさん食べましょ。シン。モンブラン頂戴」
「私、イチゴタルト」
「チーズケーキ」
「イチゴパフェで」
「私、サイダーが欲しいわ」
「了解。俺はオレンジでも食べるか。あと飲み物に俺もサイダー飲も」
その後も俺は皆のデザートのお代わりを「創造」で創り続けるのだった。
余談だが、ゼミルはその間ずっとチーズケーキを食べていた。
あと、飲んだサイダーの味が少しおかしかったのだが何故だろう?
まぁ、疲れが「創造」にも影響が出てしまっていたのかもしれない。
今、とても眠いし。
「ふわぁ。ちょっと眠いな。寝てもいいか?」
「構わないわよ」
「それじゃ、お休み」
俺は「白黒銀世界」の効果の一つである創造機能を使い黒いベッドを創り出す。
俺はそれに寝転がる。
寝心地よし。
俺は意識を闇に落とすのだった。
ミコ視点
「惚れ薬と媚薬は効かないのに睡眠薬は効くのね」
私はすやすやと気持ちよさそうに眠るシンの寝顔を見つめながらそんなことを考えた。
「凄いわね。っていうかいつの間に入れたの?」
セーラが話しかけてくる。
ここにいるメンバーたちにはシンを眠らせることは事前に「念話」で伝えてある。
「シンの飲んだサイダーは元々、私がシンに創って貰ったサイダーよ」
「「「「え?」」」」
「私はシンにサイダーを貰って、そのサイダーに睡眠薬を入れたの。後はシンが自分用に創ったサイダーと私が睡眠薬を入れたサイダーをすり替えるだけ」
「すり替えるって。シンはサイダーをずっと手に持ってたじゃない」
「「トレース」を使ったの」
無属性上級魔法「トレース」この魔法は対象が持っているものと自分が持っているものを入れ替える魔法だ。
「でも、あの魔法って交換したものに魔力が残っちゃうからシンが気づかない?」
「シンが「創造」でサイダーを創った直後にやったのよ。それなら創造の魔力が残っているって思うでしょ」
「なるほど」
「まぁ、味はちょっと違和感を感じたらしいけど。シンも疲れてたからそこまで気にしなかったようね。まぁあの睡眠薬は一瞬で溶けるうえに溶けたら色も透明だから「鑑定」や「超鑑定」でもしない限り分からないんだけど」
私はそう不適に笑う。
「それで、ミコはシンを眠らせて何をしたいの?」
ユアが私がシンを眠らせた理由を聞いてくる。
「寝顔を眺めたいの」
「それだけ?」
「それだけよ。ユアだってユイの寝顔を見たら癒されるでしょ」
「なるほど。確かに好きな人の寝顔って癒しになるわよね」
「そういうこと。私もセーラもゼミルも疲れをシンの寝顔で癒そうとしてるだけよ。ユアとユイも少し離れたところでゆっくりしなさい。せっかくだったら私があげたアレ。使ってみたら?」
私は笑いながらそう言う。
「な、まだ早い」
「うんうん」
二人はもの凄い勢いで否定の意を表す。
「あら?私は一体化の腕輪のことを言ったのだけれど、二人はもう一つの方を想像したみたいね。にしてもまだ早いって、いつかする気があるのね」
二人の顔が赤色に染まっていく。
どうやらかなり恥ずかしいようだ。
「それじゃ、するにしても少し離れたところでやりなさい。シンが起きちゃうかもだから」
私はそう言ってシンに近づく。
ユアとユイは無言で少し離れたところに移動する。
顔を赤くしながら。
勘違いしちゃうユアとユイ。
可愛いですね。
ちなみにミコは意図的に勘違いするように言いました。
寝顔を見られるシン君。
ミコちゃんのコレクションがまた増えちゃいますね。
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