第8話 拒絶
初心者です。
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今回は短めです。
森を出るかどうか、正直俺としては森を出る必要はないと思っている。
まだこの世界に来て数日だが、俺としては今の時間が心地良い。
食料もスキルで何となる。
わざわざ森を降りる必要がない。
というか正直もうあまり人間と関わりたくない。
まだ完全に信用することはできないが、ミコと関わるのはいい。
だが、正直ミコ以外の人間と関わりたくはない。人間の醜い所は散々見てきた。
この世界の人間がどうかはしらないがわざわざ人と関わりたいとは俺は思えない。
だが、ミコは違うかもしれない。
ミコだってネロに言われたから嫌々俺の相手をしているだけかもしれないし。
ミコだって家族がいるかもしれない。
そうなれば俺は山で一人暮らし。
はたまた、山を降りることになるかもしれない。
一人で暮らすのが嫌な訳ではないが、どうしてもやることが限られてしまう。
山を降りるのは正直嫌だが、ミコにはこの短期間でもかなり世話になっているから考えてもいい。
だがどっちにしろこれからの活動方針は決めておいた方がいいだろう。
「正直俺としてはしばらくは山を降りなくてもいいかなと思ってる、正直俺としてはあまりミコ以外の人と関わりたくない」
「了解、私は問題ないわよ、家族もいないし、私もあまりシン以外の人と関わりたくないしね。まぁ気が変わったらその時考えるってことで」
「OK、だがミコは大丈夫なのか?別にずっと俺に付き合う必要はな」
ないと言い切ろうとした瞬間、俺はミコに手で口を塞がれた。
「シン、それから先は言わないで頂戴。私は貴方が私を拒絶しない限り、貴方のそばにいるつもりだから」
ミコの声はこの二日間で一番か細く弱い声だった。
「分かった。大丈夫だ俺がミコを拒絶することはない」
前世では人を信用せず、人を拒絶し続けた俺だが、ミコを拒絶することはできなかった。
それが何故だかわからないが、それだけはしてはいけないという確信があった。
「うん、ありがとう」
ミコはそう言って泣いた。
ミコは物知りで常に冷静で賢い。
そんな人間だと思っていたが、弱い所もある。
そう俺は実感した。
ミコ視点
私はあの人の物だった。
あの人のためならこの命も体もなんだった捧げることができた。
だが、あの人は私の前から消えた。そして消える前にあの人は言った。
自由に生きろと、俺に縛られず、自分がしたいようにすればいいと、お前にはその力があるとそう言われた。
そして最後にできれば生きてほしいと言った。
あぁなんて酷いことをいうんだろう。
私はあの人と一緒にいれればそれで良かったのに。
あの人がいなくなって私の視界には色がなくなった。私はあの人がいない世界にいる意味などなかった。
だから私は眠りについた。
あの人はきっと帰ってくる。
ただの勘だが私の勘はよくあたるのだ。
私はあの人が帰ってくるまで寝ることにした。
私は自分にあの人の魂がこの世界に戻るまで眠る魔法をかけた。
そして私は起きた。
起きた時にはネロがいた。
なんでも一人の少年の手助けをしてほしいと言われた。
ネロには貸しがあったので手伝うことにした。
あの時は私が起きたのはネロが私の魔法を破ったのだと思ったが違う、いくらネロといえど私の魔法を破ることは不可能だ。
つまり私の魔法はしっかり効果を果たした。
そう、あの人がこの世界に戻ってきたのだ。
そしてネロに頼まれた少年はどこか見覚えがあった。そして昨日の夜。
私は少年、シンがあの人の生まれ変わりかもしれないと思った。
そしてさっきシンがあの人の生まれ変わりであることが確定した。
実は私はシンとごはんを食べていた間にシンに気づかれないように魔法をかけたのだ。
その魔法は対象の魔力と魂を識別する魔法。
その魔法で確認した魂はあの人の物と同じだった。
魂が全く同じになることはありえない。
そして魔力も少し変質していたが、間違いなくあの人のものだった。
私は嬉しかった。
頑張って表情には出さないようにしたけど。
私はまたあの人に、シンに仕えようと心に決めた。
そんな矢先にシンに俺に付き合う必要はないなんて言われた。
私はショックだった、シンだって私を拒絶したわけじゃなかったのは分かっている。
だが、私は気づかぬうちに自分の心が弱くなっていることに気づいた。
シンは私を拒絶しないと言ってくれた。私は嬉しくて、嬉しくて泣いた、子供のように泣いた。
シン視点
ミコは数分で泣き止んだ。
「ミコ、大丈夫か?」
そう言いながら俺は「創造」で創ったタオルをミコに渡した。
「ありがとう」
ミコはだいぶ楽になったようだ。よかった。
「少し、休憩しよう、俺も疲れたし、ミコももう少し休んだ方がいい」
「そうね」
俺とミコは二人で家の中に入り、ソファに座った。
「ねぇシン、膝枕してくれないかしら」
「あぁ構わないが、なぜだ?」
正直完全に予想外の言葉だったため驚愕した。
「なんでもないわ、ただ少しもういない家族が恋しくなっちゃってね」
「そうか、、、」
俺は了承した。
人は家族のぬくもりを求めたりすることがあるとどこかで聞いたことがある。
俺はそもそも人のぬくもりというものを感じたことがなかったため、まったく理解できなかったが、ミコは今少し、弱っているのだ。
そしてミコの家族はもういないようだ。
おそらく俺を家族の誰かと重ねているのだろう。
ミコの安心のためにも静かにしておこう。
そんなことを考えているうちに、ミコが俺の膝に横になった。
「シン、私の話を聞いてくれない?普段ならこの話は絶対しないんだけど、今はどうしても誰かに聞いてほしいの」
「あぁ、いいぞ」
ミコはゆっくりと話し始めた。
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