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第63話 ダンジョンスタンピード7

初心者です。

生暖かい目でご覧ください。

誤字脱字等ございましたら、ご連絡ください。

今回、少し長めです。

ダンジョンから大きな鬼が現れた。

俺たちは全員「超鑑定」と「鑑定」を発動した。

鬼のステータスはこうだ。


種族:オーガクウィーン

名前:ニオ

性別:メス

年齢:173歳

ランク:S

レベル:179

魔力量:23997

スキル:大剣生成、身体強化、鉄化、鬼火、凶暴化

適正属性:火

称号:「魔物の巣窟」ダンジョン管理人


「今までの魔物と比べたらかなり強いな」


それは普通、見れば絶望するようなステータスだ。

だが、俺に言わせればその言葉の後に「魔境の奥の方の魔物よりは弱いが」という言葉がつく。

強さで言えば同じランクのレッドドラゴンの足元にも及ばないだろう。

まぁ周辺被害を考えないといけないから面倒くさくはあるが。


「さてと、せっかくのダンジョン管理人だ。ぱっぱと倒そうか」


俺は神魔を「無限収納」から取り出し、一度下がった時に解除した「超強化」と「神速」を発動する。

そして一閃、だが鬼は避けた。


「っち、速いな」


「お主こそ人間とは思えないほど速い。おっと、怒りに任せて名乗っていなかったの。妾は「魔物の巣窟」ダンジョン管理人二オじゃ。貴様らを殺す存在じゃ」


「シンだ。死ぬのはお前だ」


すると、どこからかニオはスキル「大剣生成」で大剣を創る。

そして俺に近づいてきた。

そして大剣を俺に向かって振るう。

そこそこの速さだ。

俺は神魔を当てて防ぐ。


「本当に人間とは思えんな。速く、そして力が強い。この我が全力で力を入れてもびくともせん」


「悪いが、鍛え方が違うんだ」


俺は軽く神魔に力を入れる。

それだけでニオは吹っ飛ぶ。


「こいつ、ちょっと面白そうだから俺一人でやってもいいか?」


俺はミコたちにそう言う。


「え、えぇ構わないわ。ね」


「「「「うん」」」」


何故か全員の顔が引きつっている。

何故だろうか?

しかも動揺しているようにも見える。

まぁ、いいか。


「それなら」


俺は幻影魔法「ファンタジーワールド」を発動する。

幻影魔法で周りの教師や上級生に俺がニオと激闘を繰り広げているように見せる。


パチン


俺は指を鳴らす。

すると、地面が黒くなった。

俺の「黒世界(俺の世界)」だ。

黒世界(俺の世界)」には二種類の使い方がある。

一つは基本で「白黒銀世界(三人の世界)」のように異空間を形成する使い方。

そしてもう一つが自分を中心とした範囲を自分の意のままに操れる空間にすること。

空間の侵食と言ってもいい。

今回の使い方は後者だ。

俺を中心として地面が黒くなっている。

俺は「パーフェクトスピードダウン」「パーフェクトパワーダウン」「パーフェクトディフェンスダウン」などのその他多数のデバフ魔法を自分にかける。

そして神魔も「無限収納」に戻し「超強化」や「神速」も解除する。

そして俺は「無限収納」からある腕輪を取り出す。

これは弱体化の腕輪といって付けた者のあらゆる能力を100分の1にする。

それを付ける。

これで俺はかなり弱くなった。

俺は不敵に笑う。


「さぁ、遊ぼうか」


俺はニオに近づく。





ミコ視点


私たちはシンとニオの戦いを眺めていた。


「ちょっと、シン。何をしているの!」


ゼミルはとても動揺している。

自分に大量のデバフ魔法をかけて、スキルも解除して、武器も直して、あげくに弱体化の腕輪までつける。

それも強敵を目の前にして、ありえないだろう。

普通なら、シンは普通ではない。


「シンは完全にニオで遊ぶつもりね」


「そうみたいね。これはニオがかわいそうになるやつだわ」


シンのこういうときの性格を知っている私とセーラはニオに同情する。


「どういうこと?」


一方何もわかっていないゼミルたちは私たちにそう聞いてくる。

まぁ無理もないだろう。

だが、シンは最近ストレスが溜まっているみたいだし発散したいのだろう。


「見ていればわかるわ」


そうしてシンは動き出した。

シンはニオに接近して、ニオの懐に入る。そして鳩尾に向かって右の拳を突きだす。


グホッ


ニオの悲鳴が聞こえる。

だが、シンは更に左で追撃する。

そもそもシンは強化系のスキルを使っていなくてもかなり強い。

シンには圧倒的なレベルがあるからだ。

その圧倒的なレベルによって生み出される身体能力はデバフ魔法や弱体化の腕輪程度じゃあまり意味はない。

だが、それでもシンの力は普段の2割程度は落ちている。

むしろそれだけのデバフ魔法や弱体化の腕輪を使って2割なところもおかしいが、シンはこうやって自分を弱体化するときは決まって少し疲れていたりストレスが溜まっていたりする。

シンはそこまで戦うのが好きではない。

が、ストレス発散に魔物を倒すことがある。

それこそ、極限まで弱くなった拳で嬲るように。

そしてシンは慣れない環境に少しばかりストレスを感じていた。

そして、そこらへんの魔物よりも丈夫そうなおもちゃ(ニオ)を見つけたのだ。

シンはそれで遊ぶつもりなのだ。

シンは左手で追撃したあと、ニオの手首を掴んでニオを放り投げた。

そしてニオが空に浮いている間にニオをサッカーボールのように蹴る。


ドゴォォォン


ニオの体はダンジョンとぶつかる。

ちなみに「ファンタジーワールド」は音すらも幻影の再現をできるので先ほどの音も問題ない。


「おいおい、この程度でへばるなよ」


シンはニオの元に歩いていく。

そしてニオの角を右手で持ち上げる。


「くそ、殺してやる。殺して」


「生意気言うな。雑魚が」


シンは左手でニオを殴る。


ガハッ


ニオがまた悲鳴を上げる。


「さてと、これからどうしたものか?」


「とりえあず、サンドバックにでもなってもらおうか」


そしてシンはひたすらにニオを殴り続けた。

死にそうになったら光属性最上級魔法「エクストラヒール」という死んでさえいなければ大抵の傷は治る魔法で回復している。

完全に嬲っている。

かなりストレスが溜まっていたのだろう。


「嫌、痛いの嫌。痛いのはもう嫌。殺して、殺してください」


「そうかならさようならだ」


そう言ってシンはニオの体を貫き、魂を掴み引っこ抜いた。


ガァァァ


それは想像を絶する痛みだった。

そしてシンは引っこ抜いた魂に無理やり魔力を込める。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いもう許してぇぇぇ」


シンは込める魔力の量をいっきに増やす。

そして、


「魂爆」


シンはアーツ、「魂爆」を発動した。

魂というのはとても繊細だ。

魂が壊されれば基本的に蘇生は不可能になり、死なんて生ぬるいと感じるほどの激痛に襲われる。

私やセーラだってかなりの回数、魂を破壊したことはある。

だが基本的には剣で突いたり、斬ったり、握りつぶしたりするのが普通だ。

だがその何よりも痛みがひどいのが魂に過剰な魔力を与えることだ。

魂の大部分は魔力で構成されている。

そんな魂に他者の魔力を無理矢理注いだら、魂は爆発する。

これがアーツ「魂爆」のおおまかな仕組みでもある。

なのでシンが「魂爆」を使う必要はない。

ならなぜならシンがわざわざ「魂爆」を使わなくてもそのまま魔力を注ぎ続けていれば魂は爆発したからだ。

ならなぜわざわざ「魂爆」を使ったのはニオに更なる激痛を与えるためだ。

もちろんあのまま魔力を注がれ続けても激痛は続いて魂が爆発した。

だが「魂爆」はそもそも魂に大量の魔力を一気注ぐことで爆発させる魔法だ。

そんなアーツを魂に既に爆発ギリギリに魔力を注いでいる状態で使えばあっという間にキャパオーバーになる。

それは一気に激痛が強くなることを意味する。

シンはそれが目的だったのだ。

そしてシンがニオの魂を爆発させると他の魔物と違ってダンジョンの中でもないのに魔石を残して死体が消えた。

シンはその魔石を「サイコキネシス」で手元に引き寄せて「無限収納」に入れる。


「ふぅ。少しはストレス発散できたな」


シンはそう言って私たちの方に戻ってくる。

シンは腕輪を外して、自分にかけていたデバフ魔法も解除したようだ。


「ありがとうな。一人で戦わせてくれて」


シンは私たちにそうお礼を言う。


「全然気にしなくていいわよ」


「そうそう、ダンジョン管理人っていうくらいだからどんなのかと思って期待していたけどちょっと硬い程度の雑魚だったし」


「私たちも魔力がかなり少なかったから助かったわ」


「うんうん」


「私もちょっと疲れてたから全然気にしてないわ」


皆、シンに気にしていない旨を告げる。

ただ、なぜか全員のシンを見る目が少し変わっている気がする。


「まぁ、とりあえず幻影魔法を解除する」


そう言ってシンは「ファンタジーワールド」を解除した。


「皆、お疲れ様」


すると、マーゼが近づいてきた。


「学園長、これでダンジョンスタンピードは終わりですよね?」


ユアがマーゼに確認を取る。


「うん。ダンジョン管理人も倒したし。多分終わったと思うわよ。まぁ死者どころか怪我人一人出なかったとはいえ、こんなことがあったんだからもう実習は終わりだけどね」


「とりあえず、上級生たちだけ転移で返します?」


「あ、頼んでいい?」


「勿論です。なんなら学園関係者全員まとめて送ってもいいですけど」


「さすがにそれは申し訳ないしいいかな」


「そうですか。なら上級生の方々を全員集合させてください」


「了解って言っても周りにみんないるけどね。っていうかお願いしといてなんだけど魔力は大丈夫なの?」


「問題ないです」


「そう。なら良かったわ。上級生組、全員こっちに来て」


マーゼの呼びかけにより、周りにいた上級生の人たちが集まってくる。

だが、学園からダンジョンの近くに転移させたときとは違い、明らかに恐れられていた。

すると、ユアが生徒会長としての演説をするからと前に出た。


「皆さん、お疲れ様でした。皆さんがいたおかげで私たちも安心して戦うことができました」


ユアは生徒会長として上級生に向かって演説する。

だが、上級生の方からは絶対に嘘だ。

自分たちは必要なかったという感情が漏れている。

なんなら顔が引きつっている。

まぁ、無理もないだろう。

だって上級生がしたことなんて少数の人間が周りの整備をしたり、作戦会議に参加した程度であとはひたすらに俺たちが戦うところを見ていただけだったからだ。

ユアも演説をしながらも苦笑いを隠しきれていない。


「それでは、シン。よろしくお願いします」


「了解」


俺は「エリアテレポート」を発動し、上級生たちを学園の昨日集まっていた場所に転移させた。

マーゼも一緒に転移させたから大丈夫だろう。

俺はマーゼに「念話」をつなぐ。


(上級生たちだけではどうすればいいかわからないだろうから一緒に転移させたんだが、迎えに行った方がいいか?)


(あらシン君?私も一緒に転移したのはそういうことだったのね。そうね。そっちにいる教師だけでも大丈夫だろうけど心配だから終わったら印の腕輪を通して連絡するからダンジョンの方に迎えに来てほしいわね)


(了解です)


そしては俺は「念話」を切る。


「あの、俺たちはどうすればいいですか?」


俺は近くにいた教師に聞く。


「少ししたら各クラスの担任が指示を出すからそれまでここでゆっくり休憩しておいたらどうかな?」


教師はそう言って去っていった。

明らかに恐れられている感じだった。

俺たちは苦笑いするしかない。

とりあえず、ミコとセーラの方を見て「白黒銀世界」を発動させた。

そして俺たちは異空間で先生の指示があるまでまったりとしていた。

その後、クラス別に集まって馬車で学園に帰ったのだった。

余談だが、俺たちの馬車には班員ではないはずのユアとユイも一緒だった。

ユアがなぜいるかについては俺が気を遣って転移させなかったからである。

そして俺たちは馬車で学園に着いたら寮に戻って休んだ。

本当に長いダンジョン実習だった。


やっとダンジョンスタンピードが終わりました。

あと数話入れて学園編終了としたいと思います。

ぶっちゃけるともう少し区切っても良かったなと思います。

もしかしたら章の名前とかを変更するかもしれません。

学園編というかかなりがダンジョン編なので。

誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。

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