第59話 ダンジョンスタンピード3
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俺は今、一人でダンジョンから出てくる魔物と戦っている。
ダンジョンからはフォレストモンキーをはじめとした、第二層で出てきた魔物がどんどん出てくる。
それを俺はひたすらに神魔で切り伏せていく。
魔力や体力はまだまだあるので戦い続けることは余裕だが、何分周りに被害を出さないように戦わなければならないので、普通に戦うよりも集中しなければならない。
「シン、変わるわ」
後ろからミコの声が聞こえる。
まだまだ戦えるとはいえ休みたくないわけじゃない。
「頼む」
俺は近くにいた魔物を切り伏せて後ろに下がる。
「任せて」
ミコは吸魔を「ストレージ」から取り出して前に出る。
ミコは基本的に魔法で戦うが、剣が使えないわけではない。
普通に魔法でも対処できるだろうが直接、斬って倒したい気分なのだろう。
「お疲れ様」
セーラが俺に話しかけてくる。
「ミコの次はセーラが出るのか?」
「そのつもり」
「それよりも、シンにも共有しておきたいことがあるの」
「共有しておきたいこと?」
「そう。普通のダンジョンスタンピードって階層ボスが何匹も出てきたりはしないの」
「階層ボス。ゴブリンキングのことか」
「えぇ、そうよ。でもさっきゴブリンキングが何匹も出てきていたから不思議に思ってマーゼ学園長に聞いたの。そしたら今回のダンジョンスタンピードはただのダンジョンスタンピードじゃなくて、イレギュラーダンジョンスタンピードの可能性が高いらしいわ」
「イレギュラーダンジョンスタンピードってなんだ?」
「ダンジョンスタンピードと基本的なところは同じだけれど、魔物の強化率が普通のダンジョンスタンピードよりも高かったり、階層ボスが複数体出てきたり、ダンジョン管理人っていう、ダンジョンマスターよりも強い魔物が出てくるらしいわ」
「それは、かなり面倒だな。だが、確かに少しばかり違和感は感じていた。作戦会議で聞いていた学園の予想した魔物の量の数倍は既に出てきているからな」
「ちなみにだけれど、イレギュラーダンジョンスタンピードは数百年に一度にしか起こらないらしいわよ」
「それはそれは運が悪いな」
「学園としては幸運だったかもよ。なにせ私たちに対処を任せることができるからね」
セーラは自信満々にそういった。
俺たちの力は他の者よりも圧倒的に秀でている。
強大な力は戦争などの争いの火種にもなりかねんが、こういった災害などのときには役に立つ。
そういう意味では俺たちからしたら不運でも学園からしたら幸運と言えるだろう。
俺はミコが戦っている方に視線を移す。
ミコは無詠唱で中級魔法を連発しながら、吸魔で魔物を突き刺している。
あの感じ、俺と同じく「超強化」「神速」「超集中」を使っている感じがするな。
今更だがミコの吸魔は細いレイピアのような剣だ。
神剣であり、破壊不能なので壊れることはない。
なので普通に斬ることもできるが、細い剣の本領は圧倒的な軽さと突きやすさだ。
普通の剣のように振るうのではなく、突き刺す。
俺レベルにでもなれば突かれても対処できるが、セーラなら少しは怪我をするかもしれない。
それくらいに、ミコの突きは素早い。
この素早さの秘密はいくつかある。
一つ目はミコ自身の技術によるものだ。
俺はミコと剣術の訓練をするときに素振りなどは一切させていない。
ミコにはそんなもの不要だからだ。
突きというのは一撃は急所でもない限りそこまで大きな傷にはならない。
だが、その動作は剣を振るよりも早く手数が多い。
だから俺はミコにひたすらに攻撃を続けろと教えた。
俺のいた世界には「下手な鉄砲数うちゃ当たる」という言葉がある。
ミコの突きはもちろん下手ではなく将来のセンスなのかとても正確だ。
その突きの回数が多ければいくら避けるのが上手くても当たる。
数うちゃ当たる。
どれだけ相手が強かろうと数を放てば数発は当たるのだ。
俺はミコにそう教えた。
なのでミコの突きの技術はとても正確で速い。
突きだけならば俺と同等レベルだろう。
二つ目は圧倒的なレベルによるものだ。
俺とミコは約1年間、魔境の奥深くでレベルを上げていた。
勿論毎日ではないが、かなりの数の魔物を倒した。
レベルが上がれば身体能力が上がる。
ミコの身体能力は常人の何億、何兆倍だ。
その身体能力によって繰り出される突きは常人では目視出来ないレベルの速さだ。
三つ目はスキルによるものだ。
ミコは「超強化」と「神速」を使用している。
「超強化」は「身体強化」、「部分強化」、「魔纏」といった強化系のスキルを統合して創り出したスキルだ。
このスキルは魔力を流した部位をイメージ通りに強化する。
普通は全身をまんべんなく強化する。
だが、ミコが強化しているのは腕と足だけだ。
一部分だけを細かく指定して強化する理由は単純でその方が強化率が高いからだ。
他の部位に流す魔力を強化したい部位に集中させるのだから当たり前だろう。
これによってミコは移動速度の上昇と突きの速さや威力の上昇をしている。
そして「神速」は自分の意識したありとあらゆる行動の速度を上昇させるスキルだ。
ミコはこのスキルにより、移動速度と攻撃速度を上げている。
四つ目はバフ魔法によるものだ。
ミコは自分に無属性上級魔法の「スピードアップ」や無属性上級魔法の「フルスピード」という速さを上げる魔法など自分を強化するバフ魔法をを使用して自分を強化している。
これによってミコは俺よりもはるかに速い動きで魔物を倒していく。
俺も同じことができわけではないが、ミコと俺とでは戦闘スタイルが大きく違うので必要性を感じないな。
そんなことを考えつつ魔物死体を「ストレージ」に収納していく。
この死体って解体しないとだめだよな。
俺の「ストレージ」の中には魔境で狩った魔物の素材などが解体されずに死体のまま収納されている。
今ではわざわざ解体などしなかったが、解体して売れば金になるだろう。
今までみたいに魔境の森に引きこもっているのならばともかく、ナイト王国に住むのならば多少の金は持っておいた方がいい。
一応、セーラの護衛騎士としての仕事の給料はレイルさんたちから貰っているが金はいくらあっても困りはしないだろう。
そういえば、以前ミコとの雑談でスキルの話をしていた時に「解体」のスキルが魔物を解体するなら必須だとか言っていた気がする。
俺はゼロからスキルを生み出すことはできないが、元となるスキルがあればそれを強化することはできる。
近々、俺も「解体」のスキルを取ってみることにしよう。
そんなことを考えていると第二層の階層ボスである猪がダンジョンからぞろぞろと出てきた。
ミコは何かの魔法を発動させる。
猪たちの中心に魔法陣が現れる。
あの魔法は、
「絶対防御結界」
俺は咄嗟に「絶対防御結界」を張る。
これで後ろの教師や上級生たちは大丈夫だろう。
「シン、何を」
ユアが俺がなぜ結界を張ったのかを聞いてくる。
「見ていれば分かる}
俺がユアに向かってそう言った次の瞬間、
「爆破なさい」
ミコの声が聞こえて魔法陣が爆ぜた。
あれは火属性中級魔法「ボム」だろう。
あの魔法は魔法陣を爆破させる魔法だ。
中級魔法にしては威力が高めだが魔法陣が爆破するため使いどころが難しい魔法だ。
魔法陣の近くにいた猪たちは皆倒れた。
死んでいるようだ。
「ボム」は魔法陣に流した魔力の量によって限界はあるものの威力は変わる。
俺が念のために「絶対防御結界」を張っていなければ余波で後ろの教師や上級生の中で何人か怪我人が出ていたことだろう。
まぁなんにせよ、ミコのさっきの魔法で猪は一気に減った。
ミコは「ファイヤランス」を100本ほど創り出して放った。
ダンジョンの外に出ていた魔物は全滅した。
今度はダンジョンからジャイアントバットが出てきた。
第三層にいた魔物だ。
ミコは即効で吸魔を突き刺して倒す。
そしてミコはまたしばらく吸魔で第三層に出てきた魔物を倒す。
「ミコ、交代」
セーラが手短に言う。
「了解。ありがとう」
ミコは火属性中級魔法「ファイヤサークル」という、自分を中心として炎を出現させる魔法を発動する。
それだけで周りの魔物は燃えて倒された。
その炎はミコの魔法によるものなのでミコが魔力の供給を断てばすぐに炎は消える。
「それじゃ行ってくる」
そう言ってセーラは出ていった。
それと同時にミコが戻ってきた。
「お疲れ様」
「疲れたわ。スキルと魔法を同時に使用しながら戦うのは大変だわ」
「そんなことしなくてもあの程度の魔物なら魔法だけで簡単に倒せただろうに」
「ちょっとした練習よ。シンはそういうマルチタスクとか得意じゃない。私もそれができれば戦いの幅が広がるなと思って」
「戦う機会なんてそうそうないと思うが?」
「シンとの摸擬戦は負けられないからね。勝てばシンに命令できるんだから」
「気持ちはわからんでもない」
俺もミコとの摸擬戦はいつも全力だ。
訓練以前に勝てばミコへの命令権を得ることができるからな。
セーラは指輪から殺魔を召喚して、投げていく。
殺魔が魔物に命中して魔物は絶命する。
セーラは近づいてきた魔物は直接、殺魔で切り伏せて遠くにいる魔物は殺魔を投げて倒す。
定期的にそこそこの威力の魔法によって取り逃がした魔物も倒す。
セーラは俺やミコと違い、近距離と遠距離どっちも得意だ。
無論、俺やミコが片方が下手なわけではなく。
俺は近距離、ミコは遠距離が圧倒的に得意だ。
俺は遠距離攻撃も全然苦手ってわけじゃないが、近距離ほどじゃない。
ミコも俺と同じ感じて近距離が苦手ってわけじゃないが、遠距離ほど得意じゃない感じだ。
だが、近距離が得意な俺と遠距離が得意なミコ師匠にもつセーラはそのどちらも得意とする。
そしてセーラの戦い方は俺とミコによく似ている。
例えば何気ない刃の振り方。
武器の投げ方。
魔法の発動の仕方。
そういう俺やミコと似ているところを見ていると自分の弟子だという認識が強くなってしまう。
「セーラは自身がついたな」
「最初のことは自己肯定感が低かったものね」
「強くなったな」
「本当に強くなったわ」
まるで、娘の活躍を見る親のような雰囲気になりつつもセーラの戦いを俺とミコは眺めていた。
ダンジョンスタンピードはまだ続きそうだ。
ダンジョンスタンピードは次がその次くらいで終わりになりそうです。
速くシン、ミコ、セーラとユア、ユイをくっつけていちゃいちゃさせたくて仕方がないですね。
シンもそうでしたがミコもミコで本気の1割程度しか出していません。
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