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第361話 森林遠征

今日は投稿できたぜ。

ボング教官が言っていた通り、施設を出て5分程で森が見え、その手前の広場みたいなところに着いた。

そこにはシャンナさんを含めたメイドさん達が待機していた。


「ここからは担当のメイドと一緒に森に入ってください。森の中にも騎士が待機しているが護衛のためだから気にしないでください。また何かあれば騎士を頼ってください。では順次森に入ってください」


ボングの合図とともに、メイドさん達が各自の担当の生徒達に駆け寄ってくる。

俺のところにもシャンナさんが来た。

シャンナさんはメイド服だが、腰に鞘を下げている。

もしもの時にはその剣を使うのだろう。


「それでは、入りましょうか」


「はい」


そうして俺達は森に入るのだった。

ちなみに美並と翼は既に入っていた。

森の中は多少歩きにくかったが、このくらいなら前の世界でもあった。

歩くだけならただのハイキングだな。


「晴斗様」


シャンナさんの声を聞いて、立ち止まる。


ポヨンポヨン


俺達の目の前にはRPGでは定番の魔物、スライムがいた。

腰に下げていた鞘から魔剣「フレイム」を抜く。

残念ながらここは森。

火属性魔法は使えない。

正直、ここは俺と相性が悪い。

が、俺の本職は剣だ。


「身体強化」「斬撃強化」「魔力強化」


俺は使えるスキルの中で強化系の者を全て発動する。

この状態は常に魔力を消費するので、燃費はあまりよくないが。

その分今俺の出せる最高のパフォーマンスを出せる。

だが正直あまり意味はなかったかもしれない。


「スラッシュ」


俺は魔力の斬撃を飛ばす。


ペチャ


スライムは真っ二つになった。


「お見事です。晴斗様」


シャンナさんの声でようやく俺はスライムへの警戒を解く。

だがスキルは発動させたままにしておく。

なぜなら、


「ガゥガゥガゥ」


森の奥からゴブリンが出てきたからだ。


「晴斗様大丈夫ですか?初めて生物を殺められたのです。しんどいのでしたら私が対処いたしますが?」


「いえ、大丈夫です」


感想としては正直大したことなかった。

スライムが前の世界で空想上の生物の代表例だったのもあるのかもしれない。

むしろゲームのようだという風に考えてしまった。

だがさっきは遠距離から安全に仕留めた。

これでは訓練にならない。

次は剣で直接斬る。

ゴブリンがまっすぐ俺の方に向かってくる。

俺は走り出し、すれ違いざまにゴブリンの首を「フレイム」で斬る。

「魔力強化」のおかげか、それともそもそも「フレイム」の切れ味がいいのか。

常に発動している「剣聖技」のおかげかは分からないが、ゴブリンの首は骨もあるはずなのに豆腐を斬るように簡単に斬れた。

ちなみに「剣聖技」はいわゆる前世のゲーム用語でいうパッシブスキルで、常に発動し続けるスキルだ。

魔力の消費はなく、常に俺の剣を達人のものに矯正してくれる。

とても便利なスキルだ。

ちなみに「フレイム」のスキルである「斬撃強化」と「魔力強化」は「フレイム」自体のスキルなのでフレイムを持っていないと発動できないが、非常に優秀なスキルだ。

「斬撃強化」は文字通りスラッシュの威力を上げてくれるスキル。

魔力強化は切れ味を含めて剣の能力を引き上げてくれるスキルだ。

どちらも非常に有用だ。

ゴブリンを殺すのは一瞬ではあるが、罪悪感を感じてしまった。

やはり人型だからだろうか?

だが次は大丈夫。

そういう確信が俺にはあった。


「いきなり連戦でしたが、問題ありませんでしたね。さすがは晴斗様です」


「思ったより、危なげなく勝ててよかった。この死体はどうすれば?」


「魔石だけとって後は用済みです。スライムは魔石のみを落としますが、ゴブリンは頭の中にありますので僭越ながら私が取り出します」


そういってシャンナさんはどこからか解体用のナイフを取り出してゴブリンの頭を切り開き。

あっという間に魔石を取り出した。


「とった魔石は私が持ちましょうか?晴斗様のマジックバックに入れますか?」


「俺のマジックバックにいれる」


「承知しました。ではこちらはお渡しします」


そうしてシャンナさんから魔石が手渡される。

俺は腰に下げていたマジックバックに二つの魔石を入れるのだった。

ちなみにマジックバックは剣や鎧と同じタイミングで配布された。

マジックバックとは見た目以上の容量が入る鞄で重さも感じない。

一種のアーティファクトらしい。

かなり貴重なものらしいが、勇者として活動する上ではあった方が便利だからと一人一つ貰ったのだ。

シャンナさんも普通に買うと目の飛ぶような金額だと言っていた。


「晴斗様。もしかしたら既にレベルが上がっているかもしれませんよ」


シャンナさんの言葉を聞いて、俺はすぐに自身を「鑑定」する。


「ほんとだ。レベル2になっている」


「おめでとうございます。目標達成ですね。もう帰られますか?」


「いや、余裕だったし。もうちょっと続けたい。いいか?」


「勿論にございます。ご存分に。ただ、この森に出るゴブリンとスライムでは恐らくレベル10が限界だと思います」


「というと?」


「レベル10となるとここら辺の魔物では弱すぎて、レベルが上がらなくなると思います」


「なるほど。それじゃあとりあえずレベル10になったら今日は帰るか」


「それがよろしいかと」


それじゃ狩りの時間だ。

そこから俺はひたすらにゴブリンとスライムを倒して回った。

少し開けた場所で魔法も試すことが出来た。

そして最後の方にはスキルを一切使わなくても余裕で勝てるくらいにはなった。

結局、レベル10になる頃には日が沈みかけていた。

その後帰ったが、疲れすぎて。

昼食を抜いた分夕食を大量に食べて寝たのだった。


そこから俺は毎日、レベル上げに明け暮れた。

純粋にレベルが上がるのがゲームみたいで楽しかったのだ。

遠征に来た森じゃレベルが上がらないので、シャンナさんについてきてもらって少し遠くまで魔物を狩りに行った。

そしてレベル30を超えてからは正教会が保有するダンジョンでひたすらにレベルを上げた。

ダンジョンでの狩りは俺一人ではなく、クラスの中でもゲーマーで俺と同じくレベル上げにハマった奴等、そして俺に付き合うって形で美並と翼も一緒にレベルを上げた。

他のクラスメイトは、ダンジョンで熱心にレベルを上げる俺達をゲームに例えて攻略組と呼んだ。

そして召喚から1年後。

俺はついにレベル100に到達した。

それまでにダンジョンでレアなアイテムを入手し、新たなスキルを得た。

魔王なんて余裕だっていう奴等も出始めたが、俺達は出来るだけ準備をしようと更にレベル上げに明け暮れた。

その日までは……





召喚から1年後


突然空に映像が浮かびあがった。

映像には二人の人間が写っていた。

一人は見たこともない程の絶世の美少女。

もう一人は魔王を名乗る男だった。

男の声がどこからともなく聞こえた。

そして男は人類に宣戦布告をしてきた。

正教会の人々はついに来たかと緊張感を走らせた。

だが、皆は映像を見た瞬間に固まってしまった。

俺は、俺達は映像に映る男を知っていたのだ。

クラスで一番の嫌われ者。

一人はぼっちでずっと寝てる癖に勉強だけは出来る奴だった。

ノリも悪いし、自分は興味ないってものすごく感じが悪い奴だった。

行事でもいつもクラスで団結しようっていってるのに、明らかに協力する気がなかった。

人殺し、なんて噂が流れた。

草葉蓮(くさばれん)

通り魔に刺されて死んだはずの男。

映像に映る男、魔王の名を俺達は知っていたのだ。

他人の空似にしてはあまりにも似すぎている。

声だって、草葉と話したことは数える程しかないが記憶に残っているものと一致する。

ここは異世界、偶然かもしれない。

だけど、俺たちも死んで異世界に来たんだ。

あいつが死んでこの世界に来ていてもおかしくはない。

俺は無意識に手を強く握るのだった。

これがずっとしたかったんですよね。

ということで、分かりやすすぎる伏線でしたが前に晴斗君が言っていた嫌われ者はシン君のことで、召喚された勇者達はシン君をいじめていたクラスメイト達でしたー。

もう少しだけ晴斗君視点が続きますが、それが終わればシン君に戻ります。

誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。

気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。

作品についての疑問やご質問、ご指摘も受け付けておりますので感想などを貰えると嬉しいです。

感想については全て返答させていただくつもりです。


この作品の番外編です。

URL:https://ncode.syosetu.com/n9675ip/

この作品の総合評価500pを記念した短編です。

URL:https://ncode.syosetu.com/n1413jm/

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 ここで時間軸が追いつくんですね、なるほど。 やっぱり、こういう作品には過去に何らかの伏線が張られていることが多いので 勇者っていう設定をここに出した時点で何となく察しては…
2025/10/18 14:02 騒音の無い世界
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