第359話 異界の勇者5
ヤバい、課題全然終わってない。
ってことで今週は多分もう出ないと思います。
出るなら、テスト終わりの金曜日か多分開き直ってテストを諦めた時でしょう。
ちなみに週末は予定が詰まっているので、多分出ません。
ということで、多分次の更新は来週の月曜日以降になると思います。
「晴斗様の世界には魔法がなかったとのことですので、そもそも魔法とはという話をさせていただきます。魔法とは、魔法陣に魔力を流すことで発動することが出来る現象です。物が下に落下するように、火が物を燃やすように、この世界では当然の現象です」
俺の世界では完全に空想上の産物だが、この世界では発火や重力などと同じような扱いのようだ。
「魔法陣とは、奇怪な文字や線などを組み合わせたものであり、原理は不明。正教会では神が創り出した奇跡である。とされています。発動のためには、魔法陣の形を作り、そこに魔力を流すだけ。ただし、発動に必要な魔力が足りなかったりイメージが不明確であれば上手く発動できません」
この世界の魔法は魔法陣が出るタイプか。
かっこいいじゃないか。
ますます魔法が楽しみになってきたな。
「基本的に、魔力を体外に放出し、その魔力で魔法陣を描くことで魔法を発動するのが一般的な魔法の発動方法です。魔法陣は一度、その魔法を発動できれば頭に刻み込まれるため暗記する必要はありません。手本を見ながら魔法陣を構築し、その魔法陣に魔力を流し、その魔法のイメージをする。こうすることで魔法を習得することが出来ます」
暗記しなくていいのは楽だな。
頭に頭に刻みこまれるってのはちょっと怖そうだが。
「ただ、魔法陣はかなり緻密かつ繊細なため構築に時間がかかります。そこで、詠唱をすることによって魔法陣の構築を補助し、魔法の発動を速めることが出来ます」
詠唱ってやっぱり「紅蓮の炎よ」的な奴か?
ちょっと恥ずかしそうだが、同時に楽しみだな。
やっぱり魔法と言えばかっこいい詠唱だよな。
「また魔法には魔法陣の複雑さや必要な魔力量、魔法の威力や効果によって位階が決められており最下級、下級、中級、上級、最上級まであります。伝説には最上級よりも上の位階があるとお言われておりますが、現存している魔法は最上級までですね。以上で説明は終わりですが、なにか質問はございますか?」
魔法に位階なんてあるのか。
目指せ最上級魔法だな。
「魔法陣って、紙とかに書いてそれに魔力を流すのは駄目なのか?」
「今の一瞬で、その質問にたどり着くとはさすがは晴斗様ですね。質問にお答えしますと、一部の魔法なら発動自体はします。しかし、この世界では紙がかなり貴重ですし。魔法陣は緻密かつ繊細なため、紙に書くとどうしても大きくなってしまい、持ち運びに不便なのです。さらにただの紙だと魔法の発動に耐え切れず精々が一度発動するだけ。中級魔法レベルの魔力を注ぐと紙が耐えきれず発動前に消滅する、とったレベルでして、実際に紙から魔法を発動する事例は聞いたことありません。ただ、大きさを気にせず、丈夫でさえあればいいので正教会は大魔法発動のため、一部の部屋の地面に魔法陣を掘っていますが。魔法陣を魔力以外で構築する事例はそのくらいですね」
「なるほど。大体わかった」
「御覧になられますか?」
「ここで?」
「はい、最下級魔法程度でしたら完全に制御出来ますのでお部屋に被害を与えるようなことにはなりませんし」
「それじゃあ、見たみたい」
「かしこまりました」
シャンナさんが右手を俺の方に突き出す。
その右手の先から魔力が放出され、魔法陣を形作っていく。
「火属性最下級魔法「ファイヤ」」
シャンナさんがそういった瞬間、魔法陣から弱めの火が突然魔法陣から出てきた。
ただ完全にシャンナさんにコントロールされているみたいで、火が俺を襲うようなことはなかった。
「これが、火属性最下級魔法「ファイヤ」です。晴斗様は私と同じく、適正属性が火属性ですので、私が使える魔法は全て、習得していただけますよ」
「ぜひ、教えてください」
火属性魔法、最下級でもかっこよすぎんだろ。
やっぱ、異世界に来て魔法で無双するのってロマンだなよな。
っていうことで、俺は全力で魔法を練習した。
対して難しくなかった。
魔力を体外に放出する段階で躓く人が多いみたいだけど、俺は既にスキル「魔力操作」を取得している。
それを駆使すれば、簡単だった。
魔力で魔法陣を描くのも、シャンナさんに形を見せてもらってそれをひたすら真似するだけ。
「魔力操作」のおかげで、魔力も思うだけいい感じの形になってくれる。
さすがに初めてで、一気に魔法陣の形にするのは無理だったけど部分部分は思うだけで出来た。
それを合わせるだけで、魔法陣は完成した。
簡単に魔法陣を完成させた俺を見て、シャンナさんはとても驚いていた。
どうやら、これにも結構苦戦する人が多いらしい。
話を聞くと、どうやら「魔力操作」を持っていても、魔力の形を思うだけで変えるなんて普通は出来ないらしい。
これも勇者としての力なのかもしれない。
そんなこんなで魔法陣は問題なく完成した。
後は魔力を込めるだけだ。
室内だから、少しだけにするように言われる。
確か、こめる魔力量によって効果や威力が変わるんだっけか。
俺はさっきシャンナさんが発動した「ファイヤ」をイメージしながら魔法陣に魔力を流す。
魔法陣が徐々に光り出し、魔法陣の全てが光った瞬間に魔法陣から火が飛び出す。
その勢いはシャンナさんの魔法を優に超えていた。
魔力は極限まで絞ったはずなんだが。
まぁ、部屋に影響が及ぶほどではなかったしよしとしよう。
「さ、さすがです。晴斗様、まさか初めてでこれほどまでの魔法を発動するとは。さすがは勇者様です」
「恐らく勇者としての力だろうな。これ以上はここでは危険そうだし、訓練場に行こう」
「はい、今度は魔法の的がある第二訓練場を使いましょう」
「訓練場って、二つあるのか?」
「10ございますよ。晴斗様がスキル獲得の際に使われたのが第一訓練場です。とにかく動きやすいように不要な物を極力排除した訓練場です。今から行く第二訓練場は魔法の的があり魔法や弓などの遠距離攻撃の訓練を主に行う場所です」
「10ってそんなにあるのか」
「勇者様の快適な訓練のためには当然のことです」
「そ、そうか」
この施設、極限まで俺達にストレスを掛けない気だ。
いや、嬉しいんだがな。
俺達は第二訓練場に移動する。
誰もいない。
まぁ、俺は魔法を早く始めてるから当然だろう。
そこからは俺はひたすらに魔法の習得に努めた。
シャンナさんが使える魔法を見せてもらって、イメージを固め。
シャンナさんの魔法陣を見ながら、魔法陣を写すように描く。
なんだかんだ美並に頻繁に宿題を写させてもらっていたのが、こんなところで役立つとは。
そんなくだらないことを考えながらも、俺はどんどん魔法を的に向かって発動する。
火の球や火の槍、それが爆発したり変な軌道をしたりと様々な火属性魔法を習得した。
シャンナさんが使える上級以下の火属性魔法は全て教えて貰った。
目の前で見せてもらえるからイメージしやすいし、魔法陣を写すのも上級魔法は細かくと少し大変だったけど問題なく発動できた。
魔力が多くて助かった。
勇者の力に感謝だ。
結局、俺はその日の午後全てを魔法に費やしたのだった。
翌朝
朝の準備をした俺はシャンナさんに今日やることを聞いた。
「そうですね。予定よりもかなり前倒しとなりますが、スキルや魔法も終わってしまいましたし。剣術などどうでしょう」
「剣術、やりたいです」
「承知しました。では、第三訓練場に移動しましょう。第一訓練場はしばらくスキル獲得で他の勇者様が使われるでしょうし」
「分かりました」
俺達は第三訓練場に移動する。
訓練場についたら、シャンナさんがそこにあった木剣を取り俺に渡してくれた。
シャンナさんも同じ物を持つ。
「さて、私の加護は剣士。剣士の腕は並み以上であると自負しております。晴斗様の天職は剣聖でしたので、恐らく剣術に才能があることでしょう。しかし、お相手は十分に果たせるかと。どこからでもどうぞ」
シャンナさんが剣を構える。
その姿はかなり様になっていた。
俺は剣なんて触ったこともないド初心者だ。
だが不思議と剣を持つと、落ち着く気がする。
これも勇者の力の影響なのだろうか?
だが今はそんなことはどうでもいい。
俺の心がこの剣を全力で振るいたいと言っている。
その衝動に従い、俺は全力でシャンナさんに斬りかかるのだった。
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