第353話 聖女の報告
ストックないと連続投稿はきついですね。
無事に部下を得た私は部屋を後にした。
部下達は皆深い眠りについた。
それぞれ事前に用意してあった個室に「テレポート」で転移させた。
部屋には事前に用意しておいた書置きもおいてあるので、問題なく過ごしてくれるだろう。
ご飯とかはメイドに頼んであるから問題ない。
個室にはお風呂もトイレも備え付けてあるから生活には何も問題ない。
「さーてと。仕事は終わったしシンのところに行こ」
私は「テレポート」でシンの部屋の前に転移する。
直接中に転移してもよかったが、シンが中で何やら作業をしているようなので配慮したのだ。
コンコン
シンの部屋のドアをノックする。
「入っていいぞ」
シンの許可を得て、私は入室する。
「それで、秘密のお仕事は終わったのか?」
「えぇ、万事完璧にね」
私達はシンに部下づくりのことは何も言っていない。
だが、そもそもここは魔王城。
シンの城だ。
自分の家に部外者が入ってきて、気づかないほどシンは間抜けじゃない。
シンのことだ。
私達の作戦は全て見透かした上で、スルーしていたのだろう。
そしてこの様子からして、私達にそれを聞くつもりはないらしい。
「そうか。ならよかった」
「シンは部屋に引きこもって、何をしていたの?」
私はずっと気になっていた疑問を口にする。
宣戦布告をしてから、シンはずっと自室に引きこもって何か作業をしていた。
それがずっと気になっていたのだ。
「神魔と王魔を改造していたんだ」
「改造?」
「そうだ。今の俺なら「創造」と「破壊」を駆使すれば神魔と王魔を強化できるんじゃないかと思ってな」
「へぇ、面白そうね。結果は?」
「成功だ。内容は…秘密の方が面白いから秘密だ」
「えぇーいいじゃない」
「ミコ達の秘密を教えてくれたら、いいぞ」
「ちぇっ、ならやめとくわ。その代わり」
私はシンをベッドに押し倒して、シンの首を触る。
「血、たくさんちょーだい」
「はぁ、分かった。終わったら、魔力をくれよ」
「勿論」
そうして私はシンの血を吸うのだった。
2日後
私達は欲求が満たされ、二人でベッドに寝転がっていた。
たった1日ちょっと離れていただけなのに、止まらなかった。
よく考えれば、前にシンの血を吸ったのもシンに魔力を吸われたのもかなり久しぶりな気がする。
といっても数週間のレベルだが。
最近忙しかったから、吸血や魔力吸収が全然出来ていなかった。
今回はその欲求が爆発して、結果的に2日間ずっと互いをの血と魔力を求めてしまった。
それに、久しぶりに魔力循環や魂を触り合ったりもした。
久しぶりの強すぎる快楽に我を忘れてしまった。
最近、快楽とか欲求とかを我慢することが難しくなってきてしまった。
昔なら吸血衝動なんて年単位で我慢しても問題なかったのに、今や数週間の我慢でこのざまだ。
魔力循環や魂のふれあいも快楽で強すぎて、もう頭にそれしか残らなった。
まぁ、気持ちよかったしいいか。
私はそう考えることにした。
別に何か問題があるわけでもあるまい。
「シンは、攻め始めるまでに何かすることはないの?」
「ないな。ミコが忙しそうだったし、暇つぶしに神魔と王魔を改造するくらいには暇だ。ミコは?」
「私ももうないわね。定期的にちょっとだけ出てくるけど、すぐに戻るわ」
「それじゃあ二人でゆっくりするか」
「そうねぇ。でも、もうちょっとやりたい」
コンコン
私がシンに魔力を流そうとした瞬間にドアがノックされた。
すぐに魔力を鎮める。
「入っていいぞ」
シンの許可を得て、ミーゼが入ってきた。
「魔王様、至急ご相談したいことが」
「どうした?それと今は公式の場じゃないから。シンと呼べ。敬語もなしだ」
「そうだった。ごめんなさい」
ミーゼはシンに言われ、すぐに口調を直した。
ミーゼの気持ちはよくわかる。
最近は仕事が多かったから、自然と魔王様呼び敬語に戻ってしまうのだ。
私は元々義妹として、呼び捨てが許されていたからあまり変わらないが。
シンを信仰対象にしているミーゼはシンを呼び捨てにしたり敬語を使わないのは違和感があるのだろう。
最近は結構慣れてきていたみたいだが、この忙しさで戻ってきてしまっていた。
「それで、報告は?」
「正教国を調査していた結果、非常に面倒な情報を掴みました」
「非常に厄介な情報?」
「はい、正教国内に勇者を発見しました」
「勇者を? 「勇者」や「魔王」みたいな称号は世界に1人しか存在出来ないはずだぞ。また正教国が「勇気ある者」の称号を持っている人間を認定しただけのパターンか?」
「いえ、それとはまた違った類いのものみたい。私が正教国に潜入して街中を歩いていたら、変な恰好をした三人組の男がいて、気になって「超鑑定」を使ったら三人称号に「炎の勇者」「泥の勇者」「毒の勇者」っていうのがあった。あと「転生者」の称号も」
「ほう」
確かにそれは気になる。
「炎の勇者」「泥の勇者」「毒の勇者」このどれも聞いたことはない。
それに、「転生者」の称号を持つ者は稀だ。
そもそも転生魔法自体かなり難しいため使い手が少ないし、転生魔法を使えるレベルの魔法使いなら寿命程度はどうにかなる人も多いから滅多に使われないし。
使っても低位の転生魔法だと記憶や能力を引き継げない。
それだとどうやら「転生者」の称号には最低でも前世の記憶が必要なのだ。
そのため「転生者」の称号を持つ者は非常に少ない。
そんな少ない称号をその三人全員が持っている。
しかもそれの他に勇者を関する称号を保持している。
気にしておくべきだろう。
「ミーゼ、今から正教国に侵入してきて調べて着てくれないか?」
「勿論です。すぐに参ります」
そうしてミーゼは部屋を出た。
ちなみにミーゼは昨日の段階で、部下達に願われ契約魔法を使い自分は正教国に情報収集がてら散歩しに行っていたらしい。
1時間後
再びドアがノックされる。
「入っていいぞ」
「ただいま」
ミーゼが入ってくる。
「先ほど話していた勇者について、何か分かったか?」
「ばっちり」
ミーゼがピースサインを作る。
ミーゼ、敬語じゃなくて話しにくいからか普段より口数が少ない。
「ミーゼ、自分が喋りやすいように喋ってくれ」
「では、これで」
「ああ」
シンも同じことを考えていたようだ。
「正教国の調査結果ですが。半年ほど前にとある大魔法を発動したようです」
「大魔法? それがどうかしたのか? 終末級魔法でも使ったの?」
「場合によってはそれより厄介でしょう」
「というと? まさか始原魔法?」
終末魔法は私やシンですら発動に多少苦労する魔法だ。
たかだか正教会ごときが終末級魔法を使えるとは思わない。
それよりも厄介な魔法を使えるだなんて思えない。
終末級魔法より上の魔法には上限がない。
魔法の定義上、終末級の一つ上の位階である始原魔法。
それこそが、世界最高の魔法だ。
これ以上は人が判断できるレベルを超えてしまうため、位階が存在しないのだ。
発動できるとすれば、私、シン、魔法神くらいだろう。
私とシンが始原魔法を使うのなら、二人で時間を掛けながら協力しなければいけないくらいには発動が大変だ。
さすがにそんな始原魔法を正教会ごときが使えるとは思えないのだけれど。
「まさかまさか」
ミーゼは首を振りながら否定する。
「しかし、始原魔法とまでは言いませんが下手をすれば終末級より上をいくかもしれません。そんな魔法です」
「正教会がそんな魔法を使ったと?」
「はい」
「効果は?」
「異界から勇者を召喚する魔法。私が確認したところ38人の勇者称号持ちを確認しました。また特殊な結界で勇者たちに関しては完全に隠していたようです」
ミーゼの報告は、私とシンを驚かせるに値するものだった。
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