第352話 甘やかされた末路5
何故か500p記念の短編がランキングに乗りました
調べたところ、短編で異世界転移、転生は数が少ないためランキング入りしやすかったようです。
総合評価も2pだし、閲覧数も1とか2だったので通知きてめちゃくちゃ驚きました。
「貴女達、何してるの?」
私は無双している二人に向かって話しかける。
「ん?ミコ」
ガン
「どうしたの?」
ドガ
二人が王女達を無力化しながら、話しかけてくる。
「いや、何で戦ってるのよ」
「ちょっと煽ったら、私とライシュに向かってバンバン魔法を撃ってくるものだから」
「実力の差を分からせてあげようと思って」
二人はそう楽しそうな笑顔で言う。
まぁ、ある意味一番わかりやすいだろう。
結局、暴力がこの世界で一番強い力なのだから。
「ほどほどにね」
「「うん」」
私は「テレポート」を発動して、次の目的地に転移する。
「お疲れ、セーラ」
「お疲れ様。ミコ」
私が転移した先はナイト王国の王城にあるセーラの部屋だ。
「そっちの作戦は順調?」
「ミーゼ、リーフェ、ゼミル、ゼーラ、ガーナ、ユア、ユイ、ユキ、ロアの9人はもう終わってるわ」
「もうそんなに?早いわね」
「本当にね。私なんてまだまだかかりそうなのに」
「そうなの?ミコってこういうの得意なイメージがあったんだけど」
「洗脳とか眷属化とかを使えば、簡単に出来るけど。今回求めているのはそういうのじゃないから」
「ミコはどんな方法で堕とそうとしているの?」
「私? 本人の魔力を操作して、魂に干渉して快楽を与えてるだけよ。数時間やったら皆疲れちゃってねむちゃったから、今は皆のところ見て回ってたの」
「それって、気絶するまでやったってことでしょ」
「正確には全員が最低でも5回は気絶してるわね」
「それ、ミコが思っているより簡単に堕ちると思うわよ」
そんな会話をしながらセーラが「無限収納」から淹れたての紅茶を出してくれた。
私はそれを受け取って、変わりに「ストレージ」に入ってる焼き菓子を取り出す。
「そうかしら? あの程度の快楽だと数日はかかると思うけど」
「ミコ、思い出して。4000年前に比べて人間はかなり弱体化しているのよ。肉体、精神色々な面で」
「それは確かに理解してるけど……」
確かに4000年前は現代よりも戦争が多かったのもあってか、どこにでもいるような街に住んでいる平民であってもある程度の肉体的あるいは魔法的な強さはあった。
簡単な拷問では情報を吐かないくらいの精神性があった。
だけど、戦争なんて滅多にないうえ技術も衰退している現代では人類は全体的に弱体化している。
確かにそれなら、他の子達が簡単に堕とせたのも納得できる。
「まぁ、戻れば答え合わせが出来るわ」
「それもそうね」
私とセーラは2人で笑う。
「そういえば、セーラの方は順調?」
「えぇ、問題ないわ。「念話」で報告した通り、お父様の協力は得られた」
「セーラは部下はよかったの? 今からでも追加でめぼしを付けてる子達を攫ってきましょうか?」
「大丈夫よ」
事前に話を通している中で唯一、セーラだけには担当の子を用意していない。
これは別に意地悪とかじゃなく、セーラがナイト王国の支配に忙しいからだ。
王女達を部下にする時間がとれない可能性がある。
かといって、ずっと誘拐して放置するのも……
ということでセーラの部下は保留にしているのだ。
「大丈夫って、実際内政はどうするの?」
「学園の優秀な生徒を誘拐しようかと」
「学園の? 確かに優秀な生徒は結構いそうね」
私とシンもほとんど行っていなかったとはいえ、学園には定期的に顔を出していた。
私達と同じ学年のSクラスの生徒なら、かなり優秀だ。
ユアが教鞭をとったのも大きいだろう。
「でもナイト王国内から取り立てるとバレた時面倒じゃない?」
「バレないわよ。私はこの戦争が終わったらナイト王国の女王になるのよ。女王が国の若く優秀な人材を取り立てるのに何の問題があるというの?」
「それもそっか」
セーラが女王になるというのは、小説とかでありがちな驕りではない。
セーラの兄はレイルやミリーから見放されているし、周りからの評価も明らかだ。
唯一の可能性としてセーラが魔王国の人間であるとバレれば、あり得るかもしれないが。
そんなへまをするセーラじゃないし、数人程度なら消すなり記憶を操作するなりすればいい。
「だから、私の部下は気にしなくていいわ」
「そう、ならよかった。それじゃあ私はそろそろ戻るわ」
「もうちょっとゆっくりしていったら?」
「魅力的な提案ではあるけど、さっさと終わらせてシンに会いたいし」
「そっ。さっさとシンを振り向かせてよ、私の番が来ないじゃない」
私とセーラはそういう契約をしている。
セーラが不満に思うのも無理はない。
「ごめんなさい。でも、この戦争が終わったら」
私は前々から綿密に練っていた計画を思い出して、思わず顔がにやけてしまう。
「そう。ならいいわ。正直癪だけど、シンの一番は譲る。その代わり、私とシンが結ばれるのにもしっかりと協力してよ」
「分かってるわよ。私は友人との約束を反故にしたりはしないわ」
「冗談よ。私は世界で二番目にミコのことを信用しているもの」
「私も世界で二番目に信用してるわ」
私はそう言って笑い合う。
「それじゃあ、私は戻るから。何かあったら頼りなさい」
「ミコの力が必要になったら頼らせてもらうわ」
「それじゃあ」
私は「テレポート」を発動して、自分の部屋に転移した。
「あ、ミコ様」
「起きてもおられないから、どうしたのかと」
「どこにいっていらしたので?」
起きたであろう王女達から言葉を浴びせられる。
なに、どういうこと?
何でこんなに好意的なの?
私を油断させるため?
私は悪いと思っていながららも「マインドリーディング」を発動する。
だけど……
嘘でしょ。
この子達、本心から言ってる。
発言に嘘は一切なかった。
なんなら、私への愛すら感じた。
「皆、どうしたの?」
「ミコ様、私達をどうかミコ様の配下の末席に加えてください」
「「「「お願いします」」」」
私が担当している王女、令嬢たちが一斉に頭を下げる。
「それはいいけど。なんで急に?」
「だって、あんなにすごいのを覚えちゃったら、もう普通の生活には戻れないです」
シロエがさも当然といった表情で言う。
周りはその発言に同調するように頷く。
「私、起きてからずっと胸のあたりがむなしくて」
「身体の中の魔力がうずくんです」
「ミコ様……」
どうやら、セーラの言葉は正しかったらしい。
まさか快楽で数回気絶させるだけで、魔王国と言う人類の敵側に堕ちるとは。
正直予想外だ。
「あぁ、もう。それじゃあ皆私の部下になるのね」
「「「「「はい」」」」」」
皆満面の笑みで答える。
「ミコ様、ミコ様もいきなり私達を信用にすることは難しいでしょう。契約魔法で私達をお縛りください。私達はミコ様のために身を粉にして働きます。ですから……たまに、してください」
シロエ嬢が頬を染めながら提案する。
自分から契約魔法を提案するなんて。
マインドリーディング」で本心から私にならないを命令されてもいいって本心から思っているのがわからる。
「あぁ、もう。いいわ。契約魔法ね。それじゃあ」
私は闇属性上級魔法「プロミス」を発動する。
王女、令嬢達の胸のあたりに魔法陣が浮かび上がる。
「私が望むものはただ一つ、魔王シンと災禍の魔女ミコのために尽くすこと。私の命令に対し無理のない範囲で従うこと。対価として、貴方たちが心から望むものを一つ叶えましょう。貴方達の望みを強く思い浮かべなさい。さすれば契約は成立するわ」
王女、令嬢達は手を自身の胸にあてて自分の望みを強く思い浮かべる。
望むものを一つ叶える。
それはかなり大きな報酬に聞こえるかもしれない。
でも「マインドリーディング」で各々の望みは把握しているし、それを叶えるのは難しいことではなかった。
というか全員が、私がさっきやった一人魔力循環と魂に触れることを望むって。
確かにあれは気持ちい。
自分でするのは何とも思わないが、私も昔シンにやられたら半端なく気持ちよかった。
でも、この契約の対価は人生だ。
正直望み一つ叶えるというのは対価として安すぎる。
まぁ、本人たちがいいならいいか。
それに働いてたら、何かしら不満や要望も出るでしょ。
私がそんなことを考えている間に契約魔法は成立した。
シンにこそ認められていないが、魔王国王位継承権第一の私が認めている。
だから彼女達は既に魔王国の一員だ。
「ようこそ、魔王国へ。永遠の幸福と安寧を約束するわ」
私はそう言いながら「白世界」を展開したのだった。
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