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第348話 甘やかされた末路1

あえてストックすることにより4日連続投稿だぜ。

なお、次話まで出来ているが投稿時間は適当な模様。

明日の適当な時間にまた出します。

「さてと、それじゃあ始めましょうか」


「は、始めるって、なにを」


シロエ王女が顔を青くして私に聞いてくる。

いや、表情的に私に話しかける意図はなかったのかもしれない。

まぁそんなことどうでもいいか。


「一つだけ言っておくわ。私は貴女達に無理矢理何かをさせる気はないわ」


「どういうこと、ですか」


先ほどまでの威勢が消え失せたカーラ王女が聞いてくる。


「そうねぇ。実際にやってもらった方がいいかな」


私は「ストレージ」から事前に用意していた料理を部屋においてあるテーブルに取り出す。

これは事前にガーナに大量に作って貰っていたものだ。


「とりあえず、食事にしましょう」


「しょ、食事ですか」


「お、おいしそう」


マイラ嬢が料理に見とれている。

そうだろうそうだろう。

なにせうちのメイド長の料理なのだから。


「はいはい、皆食べて。毒は入ってないわ。毒なんて使わなくても私が貴女達を殺せることは理解してるでしょ」


私の言葉に皆頷いて、テーブルの周りにある椅子に座って私が取り出したご飯を食べ始めた。

o

「お、美味しい」


「こんなに美味しいもの。初めて」


「あぁ、私死んでもいいかも」


皆食事に夢中になる。

ここにいるのは皆王族や行為貴族の出だが、そこまで良いものを食べさせてもらえていなかったらしい。

まぁこれに関しては、この料理がおいしすぎるだけかもしれない。

世界一の料理人が最高級の素材をふんだんに使って作ったものなのだ。

といっても、ガーナは大量の料理を一瞬で作ってしまうし素材は皆がレベル上げついでに持って帰ってくるから魔王城にはまだまだ大量にある。

それに魔王城にいるメイドは皆ガーナほどでなくても家事のプロだ。

この子達も私達の部下になれば、美味しいものがいっぱい食べれるようになる。


「あら、私としたことが出し忘れていたわ」


私はうっかりと言った感じで「ストレージ」からデザートを出す。

クッキー、ケーキ、プリン、ゼリーなどなど。

この時代でも甘味は貴重だ。

4000年前も甘味は貴重だったが、農業技術の衰退によって甘味は更に激減した。

まぁ私たちは魔王城内にある地下栽培部屋で大量の作物を作っているから問題ない。

それに最近はよくシンが「創造」で色々創ってくれる。


「たくさん食べて」


私は笑顔でそう言った。





2時間後

皆お腹が空いていたらしく、料理もデザートもたくさん食べてくれた。

それでも「ストレージ」内にはまだまだたくさんある。


「何で、こんなに美味しいご飯をくれるんですか?」


聞いてきたのは一人の令嬢だ。


「うーん、スカウトを成功させるため?」


理由といったら、それくらいしか思いつかない。

この子達は私の未来の部下だ。

ほんの少しの鞭と多すぎて溺れる程の飴。

鞭はもう与えた。

後は飴を与え続けるだけだ。


「それはおかしいわ。だって貴女ほどの魔法使いなら私達を無理矢理従属させることくらい出来るでしょう」


マイラ嬢が私の発言に指摘する。


「確かに私ならそういうこともできるわ。でもそれでは私の目的は達成されない」


「目的?」


「心から信頼できる部下を得ること」


「なら何で私達なんかをわざわざ誘拐したんです?私は別にそこまで優秀じゃないです。もっとすごい人は世の中にいっぱいいます」


「すごい人、ねぇ。それってどれくらい?」


「え?」


「例えば一瞬で山を吹き飛ばせる魔法は凄い?」


「えっと、凄いと思います」


「そう。でもそれは貴女達の基準でしょう」


私は「エリアテレポート」を発動して、自分の皆を転移させる。

そこは魔境の上空だった。

魔王城からはそこそこ離れている。

私は皆に「フライ」をかけて空中に浮かす。

そこから更に「ドーム」で皆の周りに結界を張ってから1000の「メテオ」を発動する。

1000個の隕石が魔境に降り注ぐ。


ゴゴゴゴゴゴゴゴッシャーン


「たかだか山一つ吹き飛ばした程度で凄い?私は一瞬で山を100は吹き飛ばせるわ。やろうと思えばもっと出来る」


私は再び「エリアテレポート」で先ほどの部屋に戻る。


「私達からすれば山を一つ吹き飛ばす程度は凄いに値しないわ」


皆先ほどの光景に固まってしまっている。


「貴女達目線で貴女とその凄い人には差があるのかもしれない。けど」


私は皆に近づく。


「私にとっては大差ない。1は10に差を感じるかもしれないけど、1億から見れば1も10も誤差。なら可愛い子がいいじゃない」


私は嗤う。


「それに大丈夫よ。私の部下になるのなら私と同じように死を超越させてあげる。力を与えてあげる。私にはその力がある。改めて言うわ。私は貴女達が欲しい、私の部下になりなさい。永劫の幸福を約束するわ」


王女も令嬢も圧倒されたように私を見つめている。


「すぐに決めなくてもいいわ。逃がすつもりはないけど、強制するつもりもない。承諾しないからといって貴女達に危害は加えない」


私は別にこの子達の中に一生承諾せずにここで美味しいものを食べて好きに過ごす子がいてもいいと思っている。

そんなことで困窮するような魔王国じゃないし、私はこの子達の身目を気に入っている。

この部屋でのびのび過ごしてもらって目の保養にするのも悪くない。


「……その提案を呑んだ場合、魔王国ではどういった待遇になるのでしょうか」


思ったより早く転がったわね。

最初に転がったのはシロエ王女だったか。


「月に働くのは20日、1日の労働時間は最低2時間。給金は月大金貨1枚。定期的に私に心を読ませてもらうけど、勿論危害は加えない。家族に会うなら事前に一言言って欲しいけどそれ以外なら業務時間外なら何をしてもいい。業務内容は魔王国で私が支配することになる領地の管理。望むなら不老化までなら出来るわ。私と同族の吸血鬼にしてもいいならもっといろいろと力を与えられるけど、それはまた追々。こんな感じかしら?」


「破格すぎます。何故私達にそのような待遇を?」


「私からすれば、別に大したことないから。お金は余ってるし、仕事に関しては人数で埋めるから大丈夫。裏切りだけはやめて欲しいから、家族と会うのは事前に申請してほしいけど、それ以外なら別に何をしようが気にしないし。不老化とか吸血鬼化とかは別に大した手間じゃないから」


「だとしても、ここまで好条件にする必要はないはずです」


シロエ嬢の言葉に皆頷く。


「ただの同情よ。私も似た経験があるから」


「似た経験?」


「災禍の魔女の過去、興味ある?」


私の言葉に皆頷く。

一人二人だと思っていたから少し驚いた。

まっいっか。

もう吹っ切れてるし。


「それじゃあ「メモリートレース」」


私は自分の過去についての記憶を送る。


「こ、れは」


「酷い」


「私達なんかよりよっぽど」


皆声を漏らす。


「もう吹っ切れてるから大丈夫よ。シンに、魔王に救ってもらったから。だからこれはただの同情。似た境遇に勝手に同情して、魔女の気まぐれでと仕事を減らしたいって打算でしてるだけ」


そう、これは同情だ。

勿論、部下得るというのが今回の目的だ。

だけどその手法が王女、令嬢誘拐という手段だったのは同情だ。

それと立場に苦しんでる王女、令嬢達を見ると昔の自分を見てるみたいで気分が悪かったから。

そんな理由だ。

きっと私の同情心は作戦について話した時点で幹部たちにはバレてただろう。

だけど、それを否定するような者は幹部にはいない。

特にセーラ、ゼミル、ライシュ、ユア、ユイ、ロアは似た境遇なので、大なり小なり私と同じ気持ちがあるだろう。

だからすぐに私の作戦に賛同したのだと思う。


「さてと、勧誘の返事は今すぐじゃなくていいわ。勿論承諾の返事はいつでも待ってるけど」


私はそう言いながら「ストレージ」から大量のドレスを出す。

適当な国を数国回ってそのくに最高級の店で買いあさったものだ。

最高級品だけあってかなり品質がいい。


「明日、好きなだけあげるわ。お風呂いきましょ。お風呂、私みんなとお風呂に入りたいわ」


私は「エリアテレポート」を発動して皆をお風呂場の転移させる。

部下として王女や令嬢を選んだ理由は同情だ。

だけど、実はもう一つだけ理由がある。

気軽に話せる友達が欲しかったのだ。

七魔公や十六魔将軍の皆も勿論友達だ。

だけど、皆なんだかんだ忙しかったりする。

それに昔からの付き合いだからこそ、少し気恥ずかしくて隠したい部分がある。

私にはしたいことがある。

同性の友達と恋バナしたり、一緒にお風呂に入ったり、パジャマパーティーしたり。

そういう乙女っぽいことがしたい。

恐らく精神が肉体に引っ張られているのだ。

私はそういうことに付き合ってくれる友人が欲しかったのだ。

今まであまりなかったですが、ミコに少しだけ乙女願望が発露したようです。

これに関しては、精神が肉体に引っ張られていることだけでは理由ではなかったりします。

ミコは幼い頃、塔に幽閉されずっと一人で過ごしていました。

その影響で少し子供っぽい願望があったりします。

ただセーラ達に言うのは恥ずかしいようです。

誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。

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この作品の番外編です。

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