第346話 ミコ達の隠し事2
まさかの2日連続投稿
「確かにそれなら人類を裏切る子とかも出てくるだろうけど、その子達はどういう風に扱うの?」
「表向きは私達幹部の部下という形にしようと思っているわ。表向きは大陸を24等分して幹部がそのうちの一つを支配していく形にする。そして私達は攫った女の子達を部下にして統治の仕事をさせる。部下には領地がなくなるレベルのこと以外は全て権限を渡す。こうすれば私達の仕事はかなりなくなるわ」
「なるほど。確かに私達の仕事は減らせそうね」
「でも女の子達が裏切る可能性もあるでしょ」
「そんなの契約魔法で縛ればいいじゃない」
きっと人類を裏切った時点でその子はある程度覚悟を決めている。
契約魔法くらいなら受け入れるだろう。
「なら最初から各国の王を無理矢理契約魔法で縛ればよかったんじゃ?」
「駄目よ。それならその王が死んで終わりじゃない」
「それもそっか」
そう、戦いにかって王に契約魔法で逆らえないようにしてもその王が殺されれば契約魔法は意味をなさなくなる。
かといって王になる可能性がある存在全員に契約魔法を使のは面倒だ。
だって今大陸中にいる王になれる王族、貴族の数だけでも100じゃくだらない。
更に、それをするなら王達が生んだ子供にまで契約魔法をかけなければならないし子供が生まれる度にその国に私たちが出向くなんてばからしい。
なので私達は攫った子達には寿命を超越させてあげるつもりだ。
寿命を超える方法なんて私達なら無限にあるのだから。
「契約魔法はあくまで保険と考えなさい。そもそも信頼の出来ない部下なんていらないわ」
私達は知っている、実力だけで選んだ結果増長しあまつさえシンに敵対しようとした愚か者を。
「辛い人生を歩んだ者ほど、こちらを信用させるのが簡単な者はないわ」
それは私達にも言えること。
私達は大なり小なり辛い人生を歩んでいる。
そしてそこからシンに救われたことでシンを信用し、シンに依存した。
自分の体験ほど理解しやすいものもないだろう。
「つまり私達は攫ってきた子を存分に甘やかせばいいのね」
「そういうこと」
「簡単じゃない。それで私達の仕事が恒久的に減るんでしょ」
「皆、協力してくれる?」
私の言葉にその場にいる全員が頷いた。
「でもそれなら何でわざわざシンに秘密にするの?」
「え、だって攫ってきた子達をなるべくシンに会わせたくないもの」
「「「納得」」」
これに関しては私の我儘、独占欲だ。
既にシンの周りにはたくさんの女の子達がいる。
皆優秀でいい子だから私としても我慢しているけど、楽をするためとはいえ自分から女の子をシンに近づけたくはない。
皆も私の性格を理解しているからか、反論はなかった。
というか、皆大なり小なりそういう気持ちがある。
私の言葉に意見することなんて出来ないのだ。
「でもなら男でもいいのでは?」
ミーゼがそう疑問を口にする。
「いや、絶対面倒なことになる」
私の言葉に他の皆が頷く。
自分から言うのもあれだけど、私達の身目は悪くない。
私達はシン以外の男に興味なくても、男の方が私達を好きになることはあるだろう。
そんなことがあれば面倒極まりない。
ミーゼは魔王国で過ごした時間以外を正教会で過ごしてきた。
正教会は下の方こそ汚職とかが少なからずあるが、ミーゼがいた上の方は熱心な信者しかいない。
そして熱心な信者は「聖女」であるミーゼに下心を見せたりしないのだ。
そのせいで実はミーゼはそういう男の恋愛感情とかに疎いのだ。
この子、未だにシンへの自分の気持ちを理解していないのだ。
相当なものだ。
「でも、好きになるのに男も女も関係ないでしょ」
ゼミルにそう指摘される。
ユアとユイとの付き合いが長いからか、すぐにそんな意見が出る。
「可愛い女の子に好かれて、悪い気する?」
「しないわね」
ゼミルは正直だった。
勿論私達はシンのことが好きだ。
でも、この世に美少女に好かれて嫌な人なんていない。
特にこの面子は性別なんて気にしない子か男性が苦手な分女性の方がどちらかと言えば好きなタイプばかりなので全員反論なんて出来なかった。
「そういうわけで、皆には宣戦布告が終わったらそこのリストに載っている女の子達を魔法で眠らせて攫ってきてほしいの。攫った子はそこに書いてある部屋に寝かせといて。人数分のベッドを用意しとくわ」
「攫ってきた後は?」
「個室を与えて軟禁。与える部屋は名前が書いてある個室。それが終わったら自分が連れ去ってきた子を甘やかして、魔王国側につかせて。ただ洗脳系の魔法はなしで。心を読んで反乱の意思なしと判断したら各々好きな方法で寿命をなくしてあげなさい。自分で連れてきた子はそのまま自分の部下にしていいわ。セーラ、ユア、ユイ、ユキ、ロアには既に話は通してあるわ」
「他の子には?」
「秘密。残りはスキルや神器で自分の部下を創れるし、何なら既にいるし」
シェールはバタフライの国民全員が部下みたいなものだし、最近ホムンクルスの研究をしてるようだから、恐らくそろそろ自分の部下としてホムンクルスを創れる。
レイメスは悪魔の王だ。
悪魔界からいくらでも部下を呼び出せるだろうし、ならシンから貰ったばかりの神器がある。
レイカも多分部下を創るくらい出来るだろう。
何ならレイカの場合、レイメスがレイカに部下を貸し出しそうだ。
エンリもかなり高位の天使みたいだし、以前下級天使の部下がいていつでも呼び出せると言っていた。
スピカに関しては、よく部下らしき精霊に身の回りの世話をさせている。
アンデスには大量のアンデットがいる。
中にはかなり知能が高い個体もいるみたいなのでどうにかなるだろう。
レピアはきっとシェールから人材が派遣されるだろう。
フェスは高い知性を持つ魔物の配下がいる。
ツルギも同じ魔物だからフェスと仲が良いのでフェスから高い知性の魔物を貸してもらえるだろう。
そういうわけで、ここにいる面子とセーラ、ユア、ユイ、ユキ、ロア以外は皆自分で部下を用意出来るのだ。
厳密に言えば、一部他から借りると予想されるものもいるがそれらは無条件に貸してもらえる相手がいる場合だ。
私達は皆仲間だが、どうしても一人一人仲の良さは違う。
レイカとレイメスは姉弟だし、フェスとツルギは魔物というカテゴライズでかなり親密だ。
この作戦は私達直轄の部下を得るという目的もあるのだ。
雑事を任せられる部下がいる。
魔法で召喚したりは出来なくもないが一々面倒だ。
この機会にちゃんとした部下を作るべきだろう。
ぶっちゃけ統治の人材をシェールたちに頼るのも考えたけれど、シェールのホムンクルスもレイメスの悪魔も命令を聞くのは主人だけだ。
他の幹部への貸出は逆に面倒を招くだろう。
かといって、部下の面倒を全てシェールたちに任せるのは悪い。
ということで私達直属の部下が必要なのだ。
「それじゃあ、明日の宣戦布告が終わって書状を渡したら、各自その部屋に連れてきて」
「「「了解」」」
そうして私達は解散した。
宣戦布告の3時間後
「この子が最後ね」
「お仕事終了っと」
「確かに皆可愛い子ばっかり」
宣戦布告が終わって、予定通り誘拐を決行した私達は誰にも気づかれずに王女、令嬢達の誘拐を成功させた。
宣戦布告でてんやわんやだったのもあって、さして難しくもなかった。
「さてと、それじゃあ起こしましょうか」
私は女の子達全員に「レジスト」を発動する。
誘拐は闇属性中級魔法「スリープ」を使った。
この魔法は自分よりも圧倒的に弱い者を眠らせる魔法だ。
女の子達は「スリープ」によって眠っている。
魔法によって眠っているならば、その魔法を解除してしまえばいい。
私が「レジスト」で「スリープ」を解除すると、女の子達は続々と起き上がった。
「ここは?」
「どこ?」
「あ、貴女達誰?」
女の子達は混乱し、悲鳴を上げる。
年頃の女の子、突然誘拐されればこのような反応をするのは当たり前だろう。
だが、この程度は既に想定済みだ。
《こちらを向きなさい》
私は「神言」を発動して、視線を私に集める。
「まずはご挨拶かしら。私は魔王国王位継承権第一位、魔王軍幹部七魔公が一人「災禍」ミコ・ディザスター・クリエイトブレイクよ。よろしく」
そうして私は嗤う。
さてと、この子達をどうしてやろうかしら?
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