第328話 魔王国創造
お久しぶりです。
明日も出したい。
俺は今レイメスを連れて魔王城の近くにある森に来ていた。
魔王国を再建するのにこの森は邪魔だからな。
森をなくすつもりだ。
だがこの森には以前レイメスが住んでいた魔族の村がある。
レイメスによるとここにいる魔族は故郷を離れられず、魔王国の跡地に残ることを決意した元々魔王国に住んでいた魔族。
あるいはその魔族の子孫たちらしい。
俺はさすがに一国民の顔までは覚えてなかったので気づかなかったが。
ここに住む魔族達の強さはそこまでだが、中には4000年以上生きている魔族もいるようだ。
つまり俺のことを知っている魔族もいるということ。
レイメス曰く偶然近くを歩いた時にこの村に出会い、4000年前から生きているレイメスを知っている魔族にこの村の守護を願われたらしい。
レイメスがこの森に滞在していたのはそれが理由だったようだ。
「魔王様、説得は私が行いますのでしばらくこちらでお待ちください」
「俺も別に一緒に行くぞ」
「いえ、魔王様が直接出向かれては騒ぎになります。以前村にいったときに魔王様がバレなかったのは魔王様を見たのが魔王様のご尊顔を知らぬ若い魔族達だけだったからです。魔王様の顔を知っている者が繰れば間違いなく魔王様だと理解するでしょう。それを口に出して騒ぎになったりすると色々面倒でしょう」
「それもそうか。というかその口ぶり的に魔王の記憶がなかった俺を一目で見抜いていたのか」
「勿論です。私が転生した程度で主の顔を見抜けぬわけがございませんよ。それに近くに「災禍」がいたのです。分かりますよ」
「それもそうか」
俺は転生して多少魔力が変質したが、ミコは肉体が変わっただけで魔力は変わっていなかったからな。
レイメスがミコの魔力に気づかないわけもないか。
「それでは行って参ります」
そうしてレイメスは森の奥に入っていった。
数分後
「お待たせしました。魔族達に話をしたところ再び魔王国で暮らせるのならと二つ返事で了承してくださいました」
「スムーズに決まってよかった。俺も不要に命をとるつもりはないからな」
もしここにいる魔族が俺に敵対したり邪魔になるようなら滅ぼすつもりだったが、そんなことはしなくてすみそうだ。
「魔族達はいつごろ森を出る?」
「既に「エリアテレポート」にて一時的に魔王城の相手いる部屋に転移させました。必要なものは全て持たせましたので森は村ごと完全に滅ぼしても問題ありません」
「魔王城に?それは大丈夫なのか?」
俺は別に魔族を仲間だとは思っていない。
俺は今は人間だし、魔王である俺も半人半魔。
俺は人間の味方でもなければ魔族の味方でもない。
ただ前前世では力を重んじる魔族が俺に敗北し、勝手に忠誠を誓ってきたのでそれを利用していたにすぎない。
その証拠、とは少し違いかもしれないが魔王国が滅びたのは魔族が要因だし。
だからこそ俺は魔族を信用していない。
無論人間もだが。
俺が信用しているのは魔王軍幹部の皆だけだ。
「問題ありません。中からは幹部以外開けれぬ部屋ですので」
「捕虜のための部屋か」
「はい、ただ別に罪を犯したわけでもないので牢獄タイプではなく普通の部屋ですが」
魔王城には捕虜のための部屋が二種類ある。
一つは敵国の捕虜などを捕らえておくための牢獄タイプの部屋。
もう一つはそうでない捕虜、例えば保護した者などのための普通の部屋。
どちらも幹部以外扉を開けれないのは変わらないが、部屋の環境的に待遇が大きく違う。
今回の場合としては普通の部屋を使うのが適切だろう。
「いい判断だ。それじゃあ森をなくすか」
「お手伝いします」
「いや、不要だ。だがそうだな。せっかくだから見ていくとよい。森を消滅させるなんて中々見る機会もないだろう」
「では、後ろで控えております。何か御用がございましたらお声がけください」
そうしてレイメスは下がった。
俺は「フライ」を発動し空を飛ぶ。
レイメスは普段閉まっている悪魔の羽を取り出して俺に続いた。
今回消滅させる森はそこまで広くない。
そこそこの高さまで移動してしまえば一目で森全体が見渡せる程度だ。
「ここまで大規模なのは久しぶりだな。まぁいいか」
俺は魔力を高める。
俺は今から森を消滅させるためあるアーツを使う。
このアーツは俺が前前世で最も使っていたアーツだ。
それによって魂が覚えていたのか今世で二番目に思い付いたアーツだったりする。
ちなみに一番は「闇世界」だった。
アーツというのは規模や威力を使用する魔力量とイメージである程度調整できる。
準備は万端。
何故だか少し楽しさを感じている。
もしかしたら俺の破壊神の加護による影響かもしれない。
まぁ、今はそんなこと。
どうでもいい。
そうして、俺はそのアーツの名を口にする。
「崩壊」
その瞬間、森に生えていた木々が草が花がすべて塵になった。
今、森があったところには今回殺さなかった動物や魔物がいる。
突然自然がなくなり、かなり分かりやすくキョロキョロしていたり動揺が見えるが。
「まぁ、好都合だ「メテオ」×1000」
俺は「メテオ」の魔法を発動し1000個の隕石を降らせる。
魔境ではないただの森に住んでいる生物など、動物と弱い魔物しかおらず十分であり森の中にいた生物は全て死んだ。
俺は隕石を消す。
役割は終えた。
あとはあっても邪魔なだけだ。
「地形創造」
俺は「地形創造」を発動し、隕石によって出来たクレーターをなおす。
これにて魔王国再建のために邪魔だった森は真っ平な地となった。
「お見事です。魔王様、まさかここまで一瞬で森が消えるとは」
「ありがとう。レイメスは戻ってもいいぞ。後は俺がやっておく。終わったら連絡してくれ。国内部は4000年前と同じにしておくから、村人たちには適当に用意している空き家に住ませてくれ」
「承知しました」
そうしてレイメスは魔王城に戻った。
「さて、一口に再建させるとは言ったがナイト王国を滅ぼさないと完全には出来ないな」
4000年前、今魔王国があった場所は現在のナイト王国と元ジテイ国だった。
その証拠にナイト王国には俺が魔王国内に創った闘技場がある。
学園対抗戦をした場所だな。
じゃあ今日は何をするんだって話だが、魔王城周辺の地をナイト王国として治めるソードロード家の当主は俺だからな。好きにし放題だということで一旦今日はソードロード領内のみ魔王国の再建に使う。
俺は「フライ」に使う魔力を増やして更に高い場所まで飛ぶ。
そうすることでソードロード公爵家が一望できるのだ。
「地形創造」
国を再建するのならばやはり平な方が色々とやりやすい。
なので俺は「地形創造」を使い、地形を平にする。
「予想以上に魔力を使ったな」
思ったよりも元の地形が歪で想定よりも多くの魔力を消費してしまった。
どうやらこの4000年で魔王城付近の地形も結構変わってしまっているらしい。
基本的に俺は魔力消費を気にするようなことはない。
だが、さすがに地形を変えるというのは俺でも無視できなほどの魔力消費だ。
今から魔王国の街並みや施設を創ることを考えると正直少しキツイ。
「あら、随分と変わったわね」
突然、俺の背後から聞きなれた声が聞こえてきた。
「ミコ、どうしたんだ?」
「いえ、突然地面から膨大な魔力を感じたから何かと思ってでてきただけよ」
「なるほど」
俺がミコの言葉に納得していると、突然ミコがキスをしてきた。
そしてそこから魔力が流れ込んでくる。
その量は膨大で、俺は快楽にのまれ何も考えられなくなった。
「「ぷはっ」」
数十秒ほどでミコは離れた。
俺の魔力は完全に回復した。
「差し入れよ」
そう言ってミコは「テレポート」で魔王城に戻った。
「まったく、最高の相棒だな」
俺は思わずそう零すのだった。
「さて、それじゃあやるか」
俺は集中して、今回復したばかりの魔力を高め、俺の記憶にある魔王城の街並みを強くイメージする。
「創造」
「創造」が発動し、周囲の地面が光り出す。
そして次の瞬間、
「出来た」
俺の下にはイメージ通りの懐かしい街並みがあったのだった。
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