第324話 バタフライ王国の貴族
前話で今話でこの章終わりと言いましたが予定変更。
一話だけ先に延ばします。
昨日投稿できなくてすみませんでした。
私はバタフライ王国で伯爵をしている、カサラ・コンベールだ。
今日は女王陛下から急遽、国中の上級貴族に城へ来るよう招集がかかった。
普段表に出てこない女王陛下からの突然の呼び出し。
正直悪い予感しかしない。
私はそんなことを考えながら、登城する。
貴族は皆謁見の間に集められているようで、見知った顔がたくさんあった。
バタフライ王国の上級貴族は皆、はもう4000年近く前になるが、ともに魔王軍に所属し、戦った戦友だ。
長い付き合いなので大抵の者と交流がある。
「これはコンベール伯爵、お久しぶりですな」
「おぉ、これはこれはジャレ侯爵。お久しぶりにございます」
会場を観察していた私に、貴族の中で最も仲が良いジャレ・バッカ侯爵が話しかけてくれた。
この人には昔、戦場で幾度となく助けてもらった大恩がある。
魔王軍でもかなり幹部に近い立場で、御年を召されている。
バタフライ王国の貴族となってからもお互いの領で積極的に交流を行い、時に助け合いながら共に発展してきた。
「して、今日は何故集めれたのか、コンベール伯爵は知っておるか?」
「いえ、それが。私も知らないのです」
「そうか。情報通のコンベールでも知らぬか。ならば他を当たるのも無駄そうじゃの。まぁすぐわかることじゃ。気にすることもないじゃろう」
「情報通だなんて。そんな」
「謙遜するでないわ。っと、来たようじゃな」
ジャレ侯爵と談笑していると、謁見の間の扉が開き女王陛下が現れた。
女王陛下が謁見の間に入られた瞬間、女王陛下に向かって皆膝をつく。
女王陛下はそれを気にも留めずに玉座まで移動し、座る。
「面をあげなさい」
女王陛下の言葉に従い、皆顔を上げる。
「なっ「執事」様」
「何故「執事」様がここに?」
皆小さくはあるが、驚きの声を漏らす。
それも無理ないだろう。
女王陛下の横には魔王軍最高幹部七魔公第七席「執事」レイメス様がいらっしゃったのだから。
七魔公と言うことはつまり、女王陛下と同等。
魔王軍は実力主義だ。
強い者が偉い。
そして、七魔公と言うのは私達とは次元が違う存在だ。
私は今も覚えている。
4000年前、私たちが命を賭して戦って戦場に現れたレイメス様が魔法一撃で敵軍を壊滅させたことを。
シェール様がお造りになられた魔道具で敵の城に風穴があいたこと。
他にもたくさんあるが、とにかくこの場にいる者には七魔公の御方を目にするとそういった昔の戦場での衝撃を思い出す。
「静まりなさい」
女王陛下のお言葉で皆が静かになる。
「「執事」がここにいるのは、今回貴方達を呼び出した目的にも関係していることなの。それじゃ、「執事」。後よろしく」
「承知しました。さて、皆さん。以前魔王城で会ったぶりですかね。今回は魔王様からのお言葉を皆さまにお伝えに参りました」
「執事」様の言葉に再び皆が騒ぎ出す。
魔王様からの私達へのお言葉。
魔王様は昔からかなり性格が変われれた。
つまり、全く内容が予想できないのだ。
昔から、魔王様のお考えなんてわからないが今は想像もつかない。
「5日後。新たな十六魔将軍の任命式を執り行う。それ故、魔王軍に所属する者は皆魔王城に登城せよ。とのことです」
「執事」様のお言葉に騒ぎは大きくなる。
新たな十六魔将軍の任命?どういうことだ。
十六魔将軍の数を16人から増やすということか?
しかし、誰を?
昔は十六魔将軍を決めるときは武闘大会のようなものがあり、その成績上位者が選ばれた。
だが、任命式と言うことは任命する者は既に決まっているということ。
どういうことだ?
「質問の許可を頂きたい」
ジャレ侯爵が手を上げる。
さすがはジャレ侯爵。
頼りになる。
この状況で皆を代表して質問してくれるようだ。
「許可しましょう」
「新たな十六魔将軍の任命式と言うのは、十六魔将軍が16人から更に増える。とうことかの?」
ジャレ侯爵は皆が気になっているであろうことを聞いてくれる。
「いいえ違います。そういえば伝わっていないのでしたね。十六魔将軍の七大罪、七美徳が滅びました」
「な、なんじゃと」
「ありえない」
「魔王軍の幹部が滅ぼされるのだと」
「そんな馬鹿な」
皆が口々に声を大きくする。
それも無理もないだろう。
魔王軍幹部の実力と言うのは圧倒的なものだ。
十六魔将軍とは七魔公のすぐ下の位。
七魔公の御方ほどではないにしろ、かなりの実力者だ。
「だ、誰にやられたのじゃ?」
質問を許可されたジャレ侯爵が代表して、「執事」様に問う。
「七大罪は十六魔将軍第一席「悪夢」ヨル・ナイトメアに。七美徳は十六魔将軍第二席「狂信」リーフェ・フェイスにですね。七大罪、七美徳はそれぞれ魔王様がお姿をお隠しになられた頃に魔王国を支配しようという愚かな計画を建て、更には魔王様を侮辱し、それを知った「悪夢」と「狂信」によって始末されました」
「ということは、今回の十六魔将軍の任命と言うのは、空いた十六魔将軍の補充ということかの?」
「えぇ、その通りです」
「しかし、この時代に十六魔将軍に相応しい実力を持った者はそうおらんじゃろうて。武闘大会もなしにとはいったいどうやって」
ジャレ侯爵の言葉を最もだ。
時代が進むごとに人類は発展と退化を続けている。
技術等は発展している部分も多々ある。
しかし、それと同時にたくさんの技術が失われた。
結果的に単純な強さだけならこの時代は4000年前よりも衰退している。
そんな中で抜けた14人を武闘大会もせずに集めるのは難しいだろう。
「それに限っては問題ありません。14人全て魔王様がスカウトし、無事スカウトに成功しました」
それを聞いて謁見の間が静まり返る。
まさか魔王様が直々に選ばれたとは。
「まぁ、貴方達程度が何かを言う意味はありません。これは既に決まった事実です。貴方達がやることはいたって単純です。5日後またこの城に正装で登城しなさい。そうすれば私が「エリアテレポート」で魔王城まで送りますので。では、私はこれで。「黒蝶」あとは頼みます」
「了解。私もすぐ戻るわ」
「えぇ、また後で」
そう言って「執事」様は「テレポート」で消えられた。
「さて、聞いての通りよ。貴方達は5日後この城に登城なさい。一応先ほどの話で質問があるなら、特別に答えてあげる」
女王陛下がそうおっしゃり、数人の貴族が次々と質問していく。
だが皆が聞いた十六魔将軍になる者等の正体は秘密とのことだった。
結局その後、質問もなくなり解散となった。
女王陛下は解散となってすぐ「テレポート」でどこかに消えられた。
「大変なことになりましたな」
「えぇ、当初の計画では七大罪様と七美徳様にも我々にご助力をお願いする予定でしたが既に滅ぼされていただなんて」
「しかも、どうやら魔王様は更なる戦力増強を行われたようですぞ」
「正教会側からの返答は?」
「まだだ」
「とりあえず、5日後にあるのは任命式だけだし魔王様が暴れ出すのはまだ先だろう。それまでに準備を整えなければ」
「とにかく計画の遂行を急ぐしかないのぉ」
そうして我々は集まって再び魔王様に忠誠を誓うようになってから定期的に行っている会議をこの場で行う。
「この平和の時代で魔王は不要。なんとしても排除するぞ」
そうして会議はしばらく続き、皆「黒蝶」様が「テレポート」で消えられてから3時間後にようやく皆城から出たのだった。
シェール視点
「いや、何で城で会議するのよ。全く魔王軍ってこんな馬鹿ばっかりだったかしら?まぁ馬鹿になるように仕向けたのが私だって言われたら否定できないけど」
私はそう言って笑い、そうしてまた城に仕掛けてある魔道具を使って会議を聞いて見る。
結局愚かな者達の会議はシェールに筒抜けなのだった。
投稿ペースが二日に一回になってる。これはまずい。
次話こそ今章最後です。
巻き返しカウント:125話
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