第31話 告白
初心者です。
生暖かい目でご覧ください。
誤字脱字等ございましたら、ご連絡ください。
本当にセーラは強くなった。
シン君とミコちゃんには感謝してもしきれない。
二人はセーラにたくさんのことをしてくれた。
セーラが訓練を終えて、家に帰ってきたときは家族である僕たちですら見たことがないような満面の笑みを浮かべていた。
親として少し悔しい気がするが、喜ぶべきことだ。
そしてセーラは今日、二人からの試験として龍の巣の殲滅に言っている。
普通に考えればおかしいことだ。
龍の巣はどれだけ小規模なものでも100体以上のドラゴンがいる。
普通、近くに龍の巣があれば、刺激せずにいつ龍が来てもいいように備える。
殲滅するなんてことはどれだけ強い者でも不可能だからだ。
それをセーラは少し買い物に行くような気軽さで了承した。
セーラが強くなったのを感じてはいた。
訓練を初めてたった二日で国を亡ぼせるくらいの力を得ていて驚いた。
そしてそこから三週間、毎日セーラは強くなっていき、とても楽しそうだった。
シン君やミコちゃんとも仲良くなっているようだ。
僕たちはセーラを信じようと見送った。
僕たちは心配だった。
いくら強くなったとはいえ龍の巣は危険なんじゃないかと。
結果は杞憂だった。
セーラは10分かからず龍の巣を汗一つかかず殲滅した。
シン君やミコちゃんについてはどれだけすごいことをしても驚かなくなったが、実の娘までそのレベルになったことに驚愕した。
そして、シン君が試験の終了を告げようとした瞬間、その場にいる全員が同じ方向を向いた。
その方向から現れたのはついこの間も見た、SSランクの魔物ダークドラゴンだった。
しかし、それすらもセーラは倒して見せた。
途中全身大火傷をしていた時は血の気が引いたが、いつのまにか傷は完全になくなっていた。
「セーラ、強くなったわね」
「あれだけの強さだ、セーラを女王にするのもいいかもしれない」
「とにかく、セーラはシン君とミコちゃんになついているし、シン君もミコちゃんもセーラには甘いから、国益的な意味でも仲良くしてほしいものだ」
「レイルどうする?セーラがシン君を婚約者になんて言ってきたら」
「本当にあり得る話じゃな。ちなみに儂は賛成じゃ」
「僕も賛成だよ」
「あら、てっきり反対かと思ってたわ」
「勿論、父親心としてはセーラを嫁にやる気にはなれないけど、シン君は信用できるしシン君を婿にできたら国益にもつながる。だってシン君を我が国にとどめられるならミコちゃんも絶対一緒だし」
「そうよねぇ。というかシン君普通に高スペックよね。身分こそ平民だけど、礼儀もあるし、賢いし、強いし、顔もいい。身分だけどうにかすれば一択でセーラの婚約者になれるわ」
「シン君なら身分など武力でどうにでもなろう」
「それもそうか」
「まぁこれはあくまで理想論で実現は難しいけどね」
「ミコちゃんの存在か」
「えぇ、ミコちゃんがいる限りセーラを嫁にっていうのは難しいと思うわ」
「うちの国は一夫多妻制だから問題ないんじゃないか?」
「法律的な問題じゃなくて乙女心的な問題よ。自分と小さいころから一緒にいてずっと好きだった自分がぽっとでの女と好きな男から同列視されるって多分かなり嫌よ」
「確かに。まぁあの3人が結婚するのならミコちゃんが正妻になるだようけど」
大人たちはしばらくそんな話で盛り上がった。
セーラ視点
「「「ただいま」」」
「「「「「「「おかえりなさい」」」」」」」
「セーラ、凄いじゃない。ダークドラゴンを倒しちゃうだなんて」
「そうだよ。本当にすごいことだ。なんでもご褒美をあげよう」
「生きている間にダークドラゴンを見れることにも驚いたが、まさか孫がそれを倒すのを見る日がくるとはのう」
「ありがとう。まぁまだシンとミコには追い付けないけどね」
「そう簡単に、弟子に超えられたらたまらない」
「そうよ、セーラの成長速度は異常なレベルよ」
私は笑う。
シンとミコに褒めてもらうのは嬉しい。
「あれ、セーラそのピアスは?」
「あぁこれはシンとミコからもらったもので免許皆伝の証よ」
「あぁなるほど」
「魔道具でもあるので穴はあけなくても問題ないんですよ」
「指輪とかも考えたけど王女だと色々面倒もありそうだし、邪魔にならないピアスにしたの」
「なるほど」
「しかも、このピアスは神器なのよ」
「へぇ、神器なのか。って神器!」
「そう。これめっちゃ高性能なの」
私はお父様たちにピアスの効果を説明する。
「シン君とミコちゃん。本当にいいのかい?こんないいものを」
「構いませんよ。愛弟子の免許皆伝の証にはそれにふさわしいものを上げたかっただけです」
「それに創ろうと思えば自分の分もすぐに創れるしね」
「そういえば、このピアスの名前ってなんなの?」
「俺があげた方が黒銀のピアスで」
「私があげた方が白銀のピアスよ」
「大切にするわ」
「そういえばセーラ、結局ご褒美は何が欲しいんだ?」
「危ない、忘れるところだったわ。レイルさん達の前で言うって言ってたものね」
「ご褒美って?」
「試験に合格したら俺たちができる範囲でセーラの願いをかなえるってご褒美として言ったんですよ」
「それで、さっき聞いたらレイルさん達の前で言うって」
「なるほど」
「それでセーラ、ご褒美に何を望むんだ?」
シンは疑問そうに私に聞く。
私は満面の笑みを浮かべながら願いを言う。
「シンとミコへの私の願いは同じよ。二人とも、一緒に王都で生活してくれないかしら?」
シンとミコはお互いに顔を見合わせて私に言う。
「「もちろんいいぞ」」
シンとミコがナイト王国の王都で生活することが決まった瞬間であった。
シン視点
セーラの願いは俺たちが王都で生活することだった。
俺もミコもまだ完全にお互いとセーラ以外の人間を信用出来はしない。
でも、元々セーラが王都へ帰るとなれば俺たちも一回山を出てみようとミコと話してはいた。
セーラだからセーラの願いは問題なかった。
「ということでお父様、先ほどのご褒美はシンとミコとの生活です。許可していただけますか?」
セーラはレイルさんに確認をとる。
ここでレイルさんが駄目だといえば駄目になる。
まぁその場合レイルさんは間違いなくセーラに嫌われるが。
「もちろんいいよ。城の余っている部屋を二人にあげよう」
「ありがとうございます」
「出発はいつになりますか?それまでに引っ越しの準備をするので」
「僕たちは明日にでも出発できるけど」
「なら、明日の朝に出発しましょう。シンとミコも引っ越しの準備っていっても盗まれたらまずいものを回収するだけでしょう」
「そうだな。じゃあ了解した」
そしてその後、みんな夕食を食べ、交代で風呂に入り、寝る時間となった。
レイル達視点
「こんなに都合のいいことになるとはね」
「そうじゃな」
「元々シン君とミコちゃんを王都に誘おうと思っていたから手間が省けたわ」
「でもシン君たちはどうする?貴族位でも与える?」
「面倒くさがるだろうし、セーラの護衛騎士にでもしておくか。立場だけは」
「それが無難そうね」
大人たちはシンとミコをどう扱うかについて一晩中議論するのであった。
セーラ視点
私は今ミコの部屋にいる。
私はここにきてからずっとミコの部屋で寝ているのだ。
「セーラ、私とシンは私たちの秘密を貴女に言ってもいいと思っているわ」
「えっ」
それは予想外の言葉だった。
一緒にいた時間は半年、シンとミコが私を好意的に見てくれているのはわかっていた。
でも、その秘密だけは教えてくれなかった。
だからこそ、こんな急に教えるといわれると困惑する。
もちろん二人の秘密はとても気になる。
でも、だからこそそれを知っても大丈夫なのかと思っていまう。
「ふふ、私もシンもセーラ、貴女を信用しているわ。だから隠し事はなしにしようと思ったの」
「そういうこと」
恐らく、私が二人を王都に誘ったからだろう。
それが二人の心に僅かながら変化を生んだのだろう。
私はそれがうれしい。
コンコン
ノック音がした。
「シンが来たみたいね。入っていいいわよ」
「すまないな夜分遅くに。それでセーラ、ミコから話は聞いたか?」
「えぇ、私に二人の秘密を教えてくれるって」
「あぁ、別に無理に聞く必要はない。教える理由も特にないしな」
「ううん、聞くわ。二人の秘密には興味があるもの」
「そうか。じゃあここじゃなんだし場所を変えよう」
そう言って、シンとミコは「白黒世界」を発動する。
そしてシンは空間内で椅子とテーブルを創り出した。
テーブルには「創造」で紅茶も創られている。
「座ってくれ、長い話になる」
そう言って二人は話始めた。
シンが転生者だということ。
ミコが4000年前を生きた元吸血鬼だということ。
私はそれを黙って聞き続けた。
私は世界で一番不幸だと思っていた。
誰も信用なんてできないと思っていた。
でも違った。
私にはまだ、私を支えてくれる家族がいた。
でもシンにはそれすらもいなかった。
周りは自分に勝手に劣等感を募らせてシンを貶めようとする。
ミコには支えてくれる人が家族ではないけどいた。
でも、結局その人も自分の前から姿を消した。
そんなの私より狂うしいではないか。
でも納得した部分もあった。
シンは訓練中によくわからないお菓子を出してくれる。
まぁとても美味しいのだが。
あと、たまによくわからない武器を創る。
それらは異世界の産物なのだろう。
ミコは現代では解明されていない魔法の知識をたくさん知っていた。
それは4000年前の産物なのだろう。
ずっと気になっていた違和感が全て腑に落ちた。
二人のお互いへの強い執着。
これはお互いが初めてできた信頼できる人物だから。
「これが、俺たちの秘密だ」
「できれば嫌わないでもらえるとありがたいわ」
二人は自信なさそうにそういった。
この程度のことで私はシンとミコを軽蔑し、嫌うような人間ではないが、二人はたまに自己肯定感が低いところがある。
私は笑顔で口を開いた。
「こんな程度のことで二人を嫌ったりするわけないじゃない。私は今まで家族以外で信用できる人がいなかった。でも二人は私の悩みを解決してくれて、私を強くしてくれて、私に優しくしてくれた。
私は二人に強い感謝をしているの。だからこの程度のことで二人を嫌いになるなんてありえないわ」
私はそう言って二人に笑いかけた。
二人は私の言葉を聞き、微笑んで。
「「ありがとう」」
そう口にした。
この時、私と二人の仲は絶対的なものになった。
タイトルで恋愛的なことを期待したかたすみません。
恋愛もさせるつもりではありますがまだまだ先です。
そしていよいよ王都です。
王都編なのに王都に行くまでかなりかかってしまいました。
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