第286話 ヨル・ナイトメア
昨日投稿できなくてすみません。
1時間ほと遅刻したのもすみません。
俺達は今、ヨルを探しに混沌魔境に来ていた。
最初こそヨルの魔力に近づこうと移動したのだが、面倒くさくなって俺が盛大に魔力を使ってヨルの方から来てもらうことにした。
ヨルは俺によく懐いていて、特に俺の魔力がお気に入りだった。
何か命令をこなした褒美としてよく魔力をねだるくらいだった。
だからヨルが近くにいる可能性が非常に高いこの魔境で俺が盛大に魔力を使えばヨルが来ると思ったのだ。
そして実際、ヨルは俺の目の前に現れ俺に敵意を向けていた全ての生物を肉塊に変えた。
ヨルは俺の目の前で跪く。
「ご復活、心からお喜び申し上げます」
「4000年もかかってしまったがな」
俺は苦笑を漏らしながらそう反応した。
「魔王様魔王国の終わりについては?」
「シェーラから聞いた」
「そうですか」
ヨルは目線を下げながらそう零した。
「とりあえず、魔王城に戻ろうか」
そうして俺が「エリアテレポート」を発動して、俺たちは魔王城に帰還した。
転移先は玉座の間。
俺とミコの席だけが出ている状態だったのでゼミル、ミーゼの椅子を魔王城管理権限を操作して出す。
俺達はそれぞれに対応する席に座る。
ヨルは俺達の前で跪く。
「ヨル、シェールから魔王国の最後については聞いた。だが、お前からも簡単に教えてくれないか?」
「はい、魔王様がこの世界を去られて後、魔王国の王は王位継承第一位であった「災禍」様となりました。しかし、「災禍」様は心を病んでおり最低限のことを済ませ、退位しました。本来ならば自動的に王位継承権第二位だった「勇者」様が王になるはずだったのですが、「勇者」様はこれを拒否。他の七魔公様方もことごとく王位継承権を放棄成されました。そして、結果的に王位継承権第八位だった私が魔王国の王となりました。私は他の十六魔将軍とともに魔王様の真似をしながら魔王国を統治しました。その間は魔王様の望んだ平和を守ることが出来たのですが魔王様がこの世界を去られて500年程経ったある日、愚かな魔族共が反乱を起こしました。別にただの魔族程度我等の敵ではありませんでしたが、それにより魔王国への不信感は強くなり結果的に魔王国は崩壊しました」
ヨルは淡々とそう俺に話した。
だが、その間俺と一度も目を合わせなかった。
「魔王様、、、、申し訳ございませんでした」
ヨルはとても辛そうに俺に話す。
「私は、図々しくも魔王様に成り代わって魔王国の王になり、魔王国を滅ぼしました。私を罰するのならばご随意に。ただ、ただ一つだけお願いです。私を殺すのならばせめて、魔王様の手で、どうか、どうか」
ヨルはそう言って涙を流す。
ヨルの魔力からして、ヨルは転生していない。
つまり、4000年間生きて俺が再びこの世界に訪れるのを待っていた。
ずっとずっと待ち続けていた。
でもそれは俺と会いたいから、だけじゃない。
自分を罰することが出来るのが俺だけだから。
ヨル・ナイトメアは十六魔将軍の筆頭。
立場だけを言えば七魔公の下だ。
だが、たとえ七魔公であってもヨルを罰することなど出来ない。
ヨルを罰せるのは俺だけだ。
ヨルはずっと罰を望んでいたのだろう。
魔王国を崩壊に導いてしまったことに責任を感じて、その罰をずっとずっと望んでいたのだろう。
「ヨル、頭を上げろ」
俺がそういうとヨルは土下座を辞めて俺に顔を見せる。
「ヨル、俺はお前を罰するつもりはない。ヨルは精一杯魔王国を運営し、500年間しっかりと統治した。
そんなお前を俺が罰せるわけがない」
俺がそういうとヨルは頭を下げる。
「だが」
俺の言葉にまたヨルは顔を上げる。
「お前が罰を望むのならばくれてやる」
「、、、、、、、私は、わたしは、わたしはぁ、ば、つを望み、ます」
ヨルは涙を流しながらそう言った。
「そうか、ならば罰だ」
俺はヨルの頭の前に右手をかざした。
ミコ視点
シンはヨルの頭の前に右手をかざして魔力を集中させる。
そしてシンが何かしらのスキルを発動する。
その瞬間、
「あ、あ、あああ、ひゃ」
ヨルの身体がはねる。
「ちょっと、まっ、な、なにこれ」
ヨルは頬を赤く染めながらそう零す。
私、ゼミル、ミーゼはシンが何をしているかを理解した。
なぜなら、私達全員が全く同じ経験をしているからだ。
まぁ正直、罰といっても普通にヨルを殺したりなんてしないことは分かっていた。
シンも私もヨルのことをかなり気に入っている。
そんなシンがヨルを殺すわけがないのだ。
私たちはヨルに少しばかりの同情をしながら、シンとヨルを眺めるのだった。
1時間後
シン視点
「はぁ、はぁ、はぁ」
「これで、罰は終わりだ」
そうして俺は手をかざすのをやめ、魔力の操作をやめる。
「ま、おう、様」
ヨルは何とか呼吸を整えて、態勢をなおす。
「魔王軍十六魔将軍筆頭「悪夢」ヨル・ナイトメア。俺の死後、魔王国の王となり、統治を失敗し、魔王国を滅ぼした罪は先ほどの罰で帳消しとなった。ヨル、俺は、失敗や裏切りには罰を、成功や忠誠には褒美があるべきであると考えている。お前の失敗は帳消しになった。次は魔王国の安寧を500年間守り続けた、お前の忠誠への褒美だ。何を望む」
「再び、魔王様に仕えることを」
「それに関しては勿論許そう。だが、それでは褒美にはならん」
「で、では。魔王様特注の本気装備を」
「分かった。いいだろう」
「ありがとうございます」
そう言ってヨルは深々と頭を下げた。
「さて、ヨル。お前に対する罰と褒美は終わった。魔王国の最後についてもしっかりと聞いた。だが、その後について聞きたい。何故お前は混沌魔境にいたんだ?」
「はい、魔王国が滅びた後、十六魔将軍は各地に散りました。私はとにかく強さを求め、修行の旅に出ていました。混沌魔境は私の拠点に使っていたのです。混沌魔境には人を害するものが大量にあるため、人は全くと言っていいほど人が来ません。しかし、混沌魔境にある人を害する毒、呪い、病は私には効かないので都合が良かったのです」
暗殺者というのは毒、呪い、病のプロだと言える。
だからこそ、それらに対してとても強力な耐性がある。
まぁ、そもそもヨルくらいのレベルならば混沌魔境に充満している毒とかならば問題ないが。
「なるほど。他の十六魔将軍について、何か知ってないか?」
「七大罪は殺しました。七美徳は知りません。が、「狂信」が殺したと言っていました。真偽は知りません」
「そうか」
魔王軍十六魔将軍は名前通りだが、16人いる。
そして全員に七魔公同様二つ名が与えられている。
「悪夢」「傲慢」「強欲」「憤怒」「色欲」「嫉妬」「怠惰」「暴食」「博愛」「希望」「信仰」「知恵」「正義」「堅固」「信仰」「狂信」の16名だ。
この中で「傲慢」「強欲」「憤怒」「色欲」「嫉妬」「怠惰」「暴食」のことを七大罪と呼ぶ。
ちなみにだが、「博愛」「希望」「信仰」「知恵」「正義」「堅固」「信仰」のことを七美徳と呼ぶ。
「悪夢」と「狂信」はちょっとした例外だ。
そして七大罪はヨルが殺したらしい。
別に驚きはしない。
ヨルと七大罪は昔から仲が悪かったからな。
そして魔王軍十六魔将軍は七魔公と違い、実力重視だ。
そのため大半は俺への忠誠心があまりない連中だった。
「悪夢」と「狂信」は例外で七魔公と同等レベルの忠誠を俺に誓ってくれていたが。
他は俺の力こそ認めているものの、虎視眈々と俺から魔王の座を奪おうとするような奴等だった。
正直俺も「悪夢」と「狂信」以外はそこまで気にしていなかったので死んだならば死んだでいい。
また新しく任命するだけだ。
それに、ユアやユイ、ライシュを入れてもいい。
そういう意味では割と都合がいい。
「まぁ、殺したならばそれでいい。それじゃあお前の本気装備を創るとしよう」
そうして俺は玉座から立ち上がった。
はい、実を言うと魔王軍十六魔将は「悪夢」と「狂信」の二人だけ出す予定です。
他はまぁ、機会があれば出るかも程度に。
巻き返しカウント:74話
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