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第268話 愚かな者達

体調ある程度復活。

バタフライ王国内の地下。

そこでは、魔族の男たちが円卓を囲んでいた。

私達はそこで会議を開いていた。


「ふん、まさか魔王が蘇るとは」


「まずいな。せっかくバタフライ王国の上位貴族という立ち位置を手に入れたというのに、下手をすれば全てパァになるぞ」


「どうにか出来んのか」


「無理だ。知っているだろう。あの魔王は誰よりも強い。何より、たとえ魔王をどうにか出来てもこのバタフライ王国のの女王は魔王の教信者である七魔公の一人、シェール・ブラックバタフライ・ノワールだ。もし我らが魔王をどうにかした張本人だと知られれば死より恐ろしいことになるだろう」


「よくて拷問後に殺される。悪ければあのマッドサイエンティストの実験台となるだろう」


「馬鹿を言うな。元より魔王を裏切れば七魔公全員が動くだろう。魔王軍は裏切り者を許さない」


「ではどうするのだ。このまませっかく手に入れた地位が失われるのを目の前で見ていろと言うのか」


「それしかあるまい」


私達は頭を悩ませる。

私達は由緒正しきバタフライ王国の上級貴族だ。

しかし、この地位もあの魔王が君臨すればまた失われてしまうだろう。

それは避けなければならない。

だがどうしようもないのだ。

私達は間近で魔王の戦争を見てきた。

だからこそ分かってしまう。

魔王に反抗するのは、愚者のすることだと。

なまじ分かってしまっている。

だからこそ私達は絶望しているのだ。

貴族として生きたいという私達の願いを魔王は許さないだろう。

そしてその魔王に反抗することは死より重い行為だ。

私達は絶望するしかないのだ。

だって相手は魔王だ。

願いを突き通そうと皆で協力してどうにかなる相手ではないのだ。

しかし私達は貴族でいたい。

願望と現実のあまりにも大きな乖離に私達は数千年生きた経験を元に考える。

が、うまく解決する方法は出ない。

円卓はいつの間にか静まりかえっていた。


「私達で無理なら他の者にやらせよう」


一人が言った。

バタフライ王国グンイウ公爵家当主カンバラ・グンイウ公爵だ。

私達の中で最も知略に長けた存在であり、魔王軍にいたころはその圧倒的な知略で私たちを助けてくれた。

本人の強さがそれほどであったため幹部にはなれなかったが、幹部無きバタフライ王国でその知略が認められ公爵家当主となった男だ。


「カンバラ、お前が言うのだ。何か策があるのか?」


「正直に言って成功確率は4割と言ったところだ」


「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおーーー」」」」」」」」」」」」」」」


カンバラの言葉に皆が湧く。

当然だろう。

あの魔王を4割で出し抜けると言っているのだから。


「して、その方法とは」


「ある筋から手に入れた情報なのですが、正教会が魔王討伐に動いているようです」


「なに、正教会は既に魔王が復活したことを知っていたのか?」


「私もまだ詳しい情報を集めることは出来ていないのですが、正教会が魔王軍討伐に動いているというのは紛れもない事実です」


「それでは、お主の作戦は私達全員で正教会に寝返るという話だな。魔王もつい先ほど忠誠を誓った配下達がすぐに裏切ろうとしているとは思えまい」


「あの魔王は4000年前、世界平和などというくだらないものを目指していたからな。魔王は優しすぎるのだ。だがその優しさこそ我々の勝機に繋がる。そういうことですな」


「魔王の優しすぎる、と言う点は確かにあの魔王の数少ない弱点の一つです。先ほど話したとき、その優しさという弱手は変わっていない。むしろ、4000年前よりも更に増していると感じましたし。しかし、正教会に寝返るというのはあまりにもリスクが高すぎる。そもそもあの正教会が裏切るとは言っても魔王軍に所属していた私たちを快く迎え入れるとは思えません」


「では、どうするのだ?」


今、円卓に集まっていた貴族たちの視線はカンバラに一極集中していた。

カンバラは昔から魔族たちをまとめあげていたため、信頼がかなり厚いのだ。

また幹部からの信頼もあり、カンバラが幹部に打診したことで魔王軍の規則が変わったことすらある。

魔王軍の者、それもバタフライ王国で上級貴族となっている者からすればカンバラはリーダーのような存在なのだ。

例え同格とされているバタフライ王国で公爵である者達すらカンバラには従うのだ。

それだけ、カンバラの影響力はバタフライ王国の貴族の中で大きいのだ。

勿論、シェールに表立って逆らったりすることは出来ない。

カンバラは頭脳こそ良い者の戦いは不得意である。

それが大きな弱点であるのだ。

バタフライ王国で魔王軍幹部はシェール、ガーナ、アンデスの3人だ。

それ以外は位はあれど、幹部ではない。

ここにいる上級貴族たちは全員がそのそれ以外だ。

そして魔王軍では幹部でなければ割と軽視される。

正確に言えば幹部はかなり優遇され、重要視される。

そのせいで相対的に幹部以外は軽視されるのだ。

勿論例外もいるが。

まぁとにかく、どれだけ優秀であっても幹部でない限り軽視され、少しでも煩わしく思われれば殺されるだろう。

普通の国なら女王が不快になったからといって上級貴族をすぐに処すことはないだろう。

だが、生憎とこの国はそんなことが平然と起こりうるのだ。


「私の作戦はこうです。正教会に情報を流しましょう。私達が知りうる限りの魔王軍の情報を」


「なるほど、他人にやらせればよいとはそういうことか」


「えぇ、情報を流す以外でも少しでも正教会が有利となるように工作をしましょう」


「なるほど、それならば上手くやればたとえ失敗しても裏切りがバレずにすむかもしれませんな」


「しかし、優しさという弱点があるのはあくまで魔王だけだ。七魔公やそれ以外の幹部の奴等にはそんなものはない」


「ならば警戒すべきは魔王よりも七魔公やそれ以外の幹部の方かもしれんな」


「勿論魔王も別に馬鹿ではない。十二分に警戒の必要がある」


「勿論リスクもあります。そもそも正教会に魔王を倒せるかどうかは分かりません。しかし、正教会というのは4000年前、最も魔王軍と戦争をした組織です。魔王を倒せる可能性が高いのは正教会と言えるでしょう。4000年前は魔王軍は正教会と幾度となく戦争しその度に勝利を収めました。しかし、4000年前とは違い十六魔将軍や私達もいない。そんな状態で最高のタイミングで私たちが正教会に情報を流せば正教会が勝てる可能性もゼロではありません」


「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおーーー」」」」」」」」」」」」」」」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


皆からカンバラへ拍手が行われる。

皆、カンバラの素晴らしい作戦に乗りきのようだ。

かくいう私もさすがはカンバラと心の中で賞賛し、感嘆の声を出してしまった。


「さて、大まかに計画の流れは先ほど話した通りです。勿論計画を進める都度、状況に合わせて変更していかなければなりません。そして何よりもこの計画は皆さんに協力いただければいただけるほど成功率が高まります。皆さん私に命を預け、私とともに力を合わせ魔王を倒してはくれませんか?」


カンバラがそう私達に向かって熱く語る。


「勿論です、カンバラさん」


「私も協力させてください」


「私も協力しますぞ。カンバラさんへは帰しきれないほどの恩があります」


皆が次々とカンバラへ協力を申し出る。

当然私もだ。


「皆さん、ありがとうございます。皆さんで協力して魔王を倒しましょう」


「ははは、なぁ皆。カンバラさんはこう言ってるが今回の計画の第一人者は間違いなくカンバラさんだ。どうだろう、カンバラさんを計画のリーダーとするのは」


「そうだな。それがいい」


「リーダーにカンバラさん以上に相応しい存在などいないだろう」


皆が次々とその意見に賛同する。


「そうですか。それでは私がリーダーを務めさせていただきます。皆さんの信頼にこたえられるよう精一杯努力させていただきます」


そうしてカンバラは今回の計画のリーダーとなった。

そうしてカンバラからそれぞれ指示をされ、会議は終了した。

上手くかけなかった。

これがブランクというものか(ただ実力がないだけ)

巻き返しカウント:40話

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