第253話 アンデスの過去
はい、最近投稿できなくてすみません。
とりあえず、書けたので出します。
私は今、シェール様と学院長室で二人きりだ。
「はぁ、まさか今日に限って学院にゴミが入り込むだなんて」
「申し訳ございません」
「いえ、これは私のミスでもあるわ。ただ、同じミスは許さない」
「勿論にございます。元々この学院は様々な知識がある。恐らく世界で魔王城の次に知識が集う場所でしょう。それ故、今までも似たようなことはありました。しかし」
「違和感を持たせない魔道具、ね。確かに国宝級と言えるでしょう。ただ、確実に作った者の用途はろくでもないことだったのでしょうね」
「間違いありませんね」
「しかし、どうしましょう。魔道具は回収したしこれほどの代物を魔王軍関係者以外でそう何度も作り出すことが出来る存在は早々いない。そしてクウロ帝国ならなおさら。クウロ帝国は遥か昔からある国。魔王軍時代、幾度も魔王様に歯向かってきたカイロ王国とリクロ王国が合併してできた国。それ故に魔王軍からはとてつもなく嫌われている」
「はい、わが国でもかの国からの留学は認めていません。恐らくそれ故に情報を盗みに来るなんて暴挙に出たのでしょう」
「そうね、だからと言って留学を許可する理由にはならないわ。魔王様に滅ぼすことを進言しておきましょう」
「承知しました」
「さてと、それじゃあ私は城に戻る。と行きたいところだけれど、そこに隠れている子、出てきなさい」
いきなり、シェール様が虚空に向かって話しかけた。
「あらら、バレちゃった。まぁ、それもしょうがないのかもしれないけれど」
すると、シェール様の視線の先からライシュさんが出てきた。
「いつの間に。「テレポート」で転移したんじゃ」
「トリックは簡単。魔法陣を展開し、自分以外の何等かの物を対象にして発動。当然自分は対象に指定していないから自分は転移しない。後は透明化の魔道具やスキルを使うだけ」
「ご名答。さすがは七魔公。ミコやセーラと同レベルなだけある」
「それで、何の用なのかしら?」
「そこのアンデットに用があるの」
ライシュさんはそう言って私を指さした。
「私に?」
「そう。事情を説明するわ。まず、私は元々今は亡きジテイ国の王女だったの。それと同時に父親である元ジテイ国国王に奴隷紋をいれられ、奴隷にされていた。そんな時、ジテイ国はナイト王国に戦争を仕掛けたの。私はそれに出向いて、ミコに敗れた。私以外の人は殺されちゃったんだけど、私は対象だったことと奴隷紋を入れられていたことから生かされたの。そして、シン達に強くしてもらって、ジテイ国に復讐をしたの。その時に国民を皆殺しにしたのだけれど、死体がもったいないと思って私のスキルである「死者化」っていうスキルを使ってアンデットにしたの。貴女にはそれを引き取ってほしくて」
「アンデットを引き取ってほしい、ですか」
「そうよ。スキルでアンデットにしたものだけれど、普通のアンデットよ。私の命令には絶対に逆らえないくらい」
基本的に生物をアンデット化させる場合は闇属性災害級魔法「クリエイトアンデット」を使う。
この魔法は二つのことを行うことが出来る。
一つ目は魔力によってアンデットを創り出すことだ。
この場合は魔法に込めた魔力量でアンデットの強さが決まる。
二つ目は死体をアンデットにすることだ。
この時に必要な魔力は死体の生前の強さに比例する。
また、必要以上に魔力を込めれば生前以上に強くなっていく。
しかし、前者と後者では圧倒的に後者の方が少ない魔力で強力なアンデットを従えることが出来る。
まぁ、当たり前と言えば当たり前だ。
無から魔力でアンデットを生み出すのと、死体をアンデットにするの。
どちらの方が少ない魔力かなんてわかりやすい話だ。
例えば無から50の魔力でアンデットを生み出した場合と魔力を50消費して死体をアンデットにするのとではアンデットの強さは約4倍は違うと言われている。
ちなみにだが一般人の死体をアンデットにする場合に必要な魔力は15程度だ。
つまり、残りの35は余剰な魔力でありそれだけアンデットは生前よりも強くなる。
消費魔力が少ないため何故災害級なのか疑問視されがちだが、理由は簡単だ。
滅茶苦茶に魔法陣が複雑で難しいのだ。
そのため扱えるものはほとんどいない。
しかし、死者をよみがえらせられるという話から人生を使って「クリエイトアンデット」を極めようとするものが少ないがいる。
それらの者は「死霊術士」と言われ色々な地域差別されている。
また教会も魔王軍ほどではないが、敵視している。
まぁ大抵の「死霊術士」は墓荒らしとかろくでもないことをしているから悪いイメージがつくのもしょうがないと言われればしょうがないのかもしれない。
ちなみにだが、生きていた頃の私も「死霊術士」だった。
私が「死霊術士」になった理由は簡単だ。
永遠の命を欲したからだ。
私の親はろくでもない親だった。
父親は酒とギャンブルが好きで、酔った状態で人を殴って捕まった。
父が捕まっていこう、母親は正教を厚く信仰するようになった。
そのせいで私なんていないように扱うようになった。
別にそれはよかった、私としても自由に過ごせたから。
だけど、母親は私をも正教に信者にしようとした。
私は正教なんてどうでもよかったし、母親の状態からろくでもないことになるのは目に見えていた。
だから私は逃げた。
でも、その時は魔王軍との戦争の真っ最中。
私はすぐに私に魔法の雨が降りかかった。
だが、突然あらわれた男の人がその魔法を全て無効化してこういった。
「子供を殺す趣味はない。安全なところまで送ろう」
そう言ってその男の人は私がいた街とは違う街に私を転移魔法で送ってくれた。
後に私はその男の人が魔王様だと知り、私は人間を裏切って魔王軍につくことを決めた。
そこからは私は強くなろうとした。
そして私は闇属性の魔法、特に死霊関係の魔法が得意だと知った。
そこからはひたすらに死霊魔法を勉強した。
でも、「死霊術士」は嫌われ者で私は殺されそうになった。
街の人々が私をひたすらに殴ってくる。
それに魔王軍と戦っている軍人も参加してきた。
街の人と軍人がひたすらに私を殴ってくる。
すぐに殺さないのは私を嬲っていたのだろう。
軍人が実験と称して、私が「死霊術士」だからと、特殊な魔法を使っていた。
何でも、傷が治らないようにする魔法らしい。
だけどその時、また魔王様が私の前に現れて街を滅ぼした。
魔王様は転移魔法を使って私を魔王城に連れてきてくれた。
でもその時の私は死にかけで、軍人にかけられた魔法のせいもあってか普通の回復魔法が効かなかったうえ、死んでから蘇生魔法を使っても怪我は治らないみたいだった。
だから私は「死霊術士」として魔王様に自分をアンデットにしてみれほしいと頼んだ。
そして結果的に私はスケルトンキングとして生きながらえることが出来た。
さて、大きく話が逸れてしまったが私自身も人がアンデットとなった存在だ。
つまり、ライシュさんが引き取ってほしいと言っているのは私の劣化版のような存在達だろう。
アンデットは「クリエイトアンデット」でいくらでも創り出せる。
だからそれを引き取る理由は私にはない。
でも、ライシュさんは魔王様のご友人だ。
無碍に扱うわけにもいかない。
そこで私はふと思ったことがあった。
「ライシュさん。アンデットを引き取るのは全然かまいません。ですけど一つだけ条件があります」
「条件?」
「ライシュさん、私と摸擬戦をしてください」
私はライシュさんにそう言ったのだった。
ま、巻き返し。
知らない子ですね。
巻き返しカウント:27話
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