第219話 死神
投稿遅れてすみません。
今、俺、ミコ、セーラは俺の自室でゼミルについて話していた。
「それじゃあ特にゼミルに何かをしなくてもいいってわけね」
「そうだな。それでいいだろう」
「ねぇシン。ふと思ったのだけれど、「死生」の力と記憶ってどうなっているのかしら?」
セーラの疑問に俺はしばしの間考える。
転生には二種類のものがある。
一つ目は魂を分割してを何かに込めて置く転生だ。
分かりやすい例は俺とセイだろう。
俺は死にかけて、魔王城に俺の魂の大半を込めた魔王剣王魔を置いて転生魔法を使った。
セイは俺のいない世界に絶望して魂の大半を8つの聖剣に込めて転生魔法を使った。
俺もセイも俺達の転生魔法では己の記憶と力を引き継ぐことが出来ないことが分かっていたからこそだ。
二つ目は魂を預けたりしない転生だ。
分かりやすい例はミーゼだ。
ミーゼもセイ同様に俺の死に絶望して転生魔法を使った。
だが、ミーゼは何かに力を預けてはいなかった。
それはミーゼは力を預ける必要がなかったからだ。
ミーゼの転生魔法なら記憶も力も引き継ぐことが出来たからだ。
ミーゼが何故そんな大胆なことをしたのか、それは確証があったからだったりする。
俺が魔王として生きていた頃、ミーゼは実は何度か転生してたりする。
事情は省くが、実際に経験していたからこそミーゼはどこかに力を預けなかったのだろう。
そして実際ミーゼは記憶も力も失わずに転生した。
これは別にミーゼの方がセイよりも優秀だというわけではない。
これは二人の特性の問題だ。
転生魔法というのはとても難しい魔法だ。
それこそ恐らく記憶と能力を完全に引き継ぐことが出来るのは恐らくミコとミーゼくらいのものだろう。
俺でも完全に引き継げなかった。
それほどまでに転生魔法というのは難しいのだ。
ちなみにだが位階は終末級魔法だ。
それも終末級魔法の中でもかなり難しいものだ。
魔法の天才であるミコができるのは当然としてなぜミーゼが出来るのか。
それはミーゼの加護が再生神だったからだ。
再生神の加護に再生や回復等に関するスキルや魔法の効果を上げたりする効果がある。
転生魔法には再生もとても重要な要素となるためミーゼは転生魔法が俺達よりも上手いのだ。
ちなみにだがもう一種類あるにはある。
それは神による転生だ。
前世の俺は通り魔に刺されて死んだ。
だが、ネロによって俺は転生した。
これも一応一つの転生と言えるだろう。
まぁ似たものならば、ミコがしたような肉体の乗り換えとかもあるけどまぁ転生と言えばこんなものだろう。
さて、話が逸れたため戻すが。
ゼミルの記憶と力はどうなっているのか?
これはゼミルがどうやって転生したかによる。
これに関しては正直分からない。
「死生」も転生魔法を使ったのか、「死生」と混じり合っているという神に転生させられたのか。
それによって正直記憶や力の行方は大きく変わる。
まず、前者の場合は俺やセイのようにどこかしらに魂を込めたものを隠しているだろう。
後者の場合は完全に分からない。
正直どうやって転生したのか分からないと記憶や力を戻す手がかりがない。
だからこそ俺は様子見という判断をしたのだ。
「はぁ、少し考えてみたが「死生」の力と記憶の行方は正直分からん。ただ、失われた可能性は低いだろう」
「その理由は?」
「自分で転生魔法を使って転生したのなら、俺やセイのようにどこかに「死生」の魂の一部を込めたものをどこかに隠しているだろう。もし、ゼミルの中にいるという神の仕業で転生したのならゼミルの中にあるのか、その神やその神とつながった何者かが持っている可能性が高い。ただ前者の可能性は低い。なにせ俺は何度かゼミルのスキルを弄っているからな。その時に気づかなかったということは可能性は低いだろう。最も中にいる神を見つけることが出来なかったから可能性がゼロとは言えないが」
「なるほど」
「あぁ、シン。多分だけどゼミルの中にいる神は敵じゃないと思うわ」
「というと?」
「ゼミルの中で「死生」と私が発見した神は綺麗に混じり合っているの。神が無理やりしたのならもっと雑に混じり合っていると思う」
「となると、やっぱり転生魔法か「死生」がその神に転生を願ったのか」
「それ以上は分からないわね」
「そういえば、ミコはどうやってゼミルを調べたの?」
「あぁ、新しくゼミルのために創った魔法があってね。それを「メモリートレース」で渡す時にちょっとだけ調べたの。それとシンが気づかないのも無理はないわ。その神の偽装は凄かったもの。それこそ何かを探る目的で調べないと絶対に気づかないわ。別の作業をしていて気づけるほど簡単な偽装じゃなかった」
「そうか」
そうして俺はベッドに寝転がる。
「はぁ。まぁ今のところ特に問題もないようだ」
その瞬間、俺、ミコ、セーラの全員が同じ方向を見る。
そこから強大な魔力を感じたからだ。
そしてこの魔力の持ち主に、全員が心あたりがあった。
当然ともいえる、ついさっきまで話題に出しいていたのだから。
「この魔力」
「間違いなくゼミルね」
「とりあえず向かいましょ。これだけの魔力を解放するなんて何かあったとしか考えられないわ」
「そうだな」「そうね」
そうして俺たちは各々「サーチ」と「テレポート」を発動する。
「サーチ」でゼミルの位置を把握し、「テレポート」で転移したのだ。
何でもない魔王城内の廊下だった。
だが、所々に傷が出来ている。
そしてそこには、死魔を持ったゼミルと再魔を持って構えているミーゼと大剣を持って構えているルミネスの姿があった。
「何があった」
「魔王様。ゼミルさんと私で雑談をしていたら急にゼミルさんが武器を持って斬りかかってきましたので応戦したのですが、一人でギリギリのところにルミネスが来てくれて今は二対一でにらみ合うが続いております」
ミーゼが俺達に状況を報告してくれる。
雑談中に突然か。
「貴様が魔王か」
ゼミルが俺に話しかけてきた。
俺はゼミルの方を見る。
そのゼミルは目の色が赤く、髪の色は白になっていた。
「いかにも俺が魔王シン・ソードロードだが」
「シン・ソードロード?魔王の名はゼロだったはずじゃが?」
「転生したんだ」
「おぉ、そうじゃったそうじゃった。ゼミルの記憶の中にあったの。では妾も挨拶をさせてもらおう」
そうゼミルが言った瞬間ゼミルの服装が変わった。
黒と紫が含まれたドレス。
既視感がある。
4000年前、「死生」が似た服を好んで着ていたのだ。
「妾の名は死神のゼーラじゃ。位階は上位神に当たる」
そう、ゼミルは。
いや、ゼーラは名乗った。
その言葉に嘘はないのだろう。
なぜなら、ゼーラから感じられた神力は確かに上位神にふさわしいものだったからだ。
「死神ゼーラ。ゼミルはどうした?」
「安心せよ。ゼミルは眠っておるだけじゃ」
「その言葉を信じろと?」
「信じてもらう他ないのぉ」
俺はゼーラを深く観察する。
そして俺はその言葉に嘘はないと判断した。
「はぁ、お前の目的はなんだ?」
俺は直球に聞く。
ある程度予想は出来ているが。
「ゼミルの中に眠る。魔王軍七魔公第四席「死生」ゼーデ・デスリビング・グリムリーパーの記憶と力を復活させることじゃよ」
ゼーラはそう言った。
その言葉に嘘はなさそうだった。
俺はミコの方を見る。
ミコは俺の方を向いて頷いた。
ミコはゼーラが出てきてからずっと「マインドリーディング」を使っていたのだ。
それも俺にしか分からない程度に偽装して。
その結果、先ほどのゼーラの言葉に嘘はなかったようだ。
はぁ、どうしたことか。
俺は心の中で頭を抱えるのだった。
「死生」の名前は初出しですね。
まぁ今回で決めたので当然ですが。
「死生」の名前はデスちゃんです。
分かりやすいですね。
やはり作者にネーミングセンスはないようです。
巻き返しカウント:9話
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