第214話 記憶の欠如
巻き返し投稿。
やっとできたー。
これをあと9回ずつけないと。
更に番外編もたくさん。
総合評価500p記念の短編。
まだまだやること多い。
俺は今、魔王城の自室のベッドで寝転がっていた。
何か今日は精神的に疲れた。
俺も転生して精神的な面で弱っているのかもしれない。
魔王時代の俺ならばこの程度のことで精神的に疲労したりしなかっただろう。
何故俺は転生して精神が弱くなったのだろうか?
今の俺と昔の俺の違いは何だろうか?
昔の俺は世界の平和を願っていた。
それが自然で当たり前だった。
俺は何故平和を求めていた。
その瞬間、俺の脳が焼けるように熱くなる。
頭に強烈な痛みが走る。
「う、うう、ああぁぁぁ」
俺は頭を抑えてベッドにうずくまる。
コンコン
「シン、入るわよ」
誰かが俺の部屋に入ろうとしているが、それに反応する余裕もない。
痛い、痛い、痛い。
俺はそのまま意識を失うのだった。
ミコ視点
私はシンと一緒に寝るためにシンの部屋を訪ねた。
ノックをしても反応がないから私は勝手にシンの部屋に入ることにした。
反応がないシンが悪いのだ。
それにシンは私に知られたくないような隠し事なんてないはずだし、あったならばそれは無理矢理にでも聞きださなければならない。
そうして私のシンの部屋の扉を開けて部屋に入る。
そこには痛い、痛いと言いながら頭を抑えてベッドでうずくまるシンのすがたがあった。
「シン、シン。大丈夫?シン。シン」
私はシンを咄嗟に抱きしめて、シンの名前を呼び続ける。
しかし、シンの反応はなかった。
どうやら気絶しているようだ。
本当は今すぐに何があったのか知りたいから「リジェネレーション」を発動したい。
だけど、今の状態でそれをやったら痛みまでまた感じてしまう可能性がある。
当たり前のことだが、私はシンを苦しめたいんじゃなくてシンを助けたいのだ。
これ以上シンを苦しめるくらいなら、私のつまらない好奇心などかなぐり捨てる。
「う、ううう、あ、たま、痛い。ミコ、ミコ」
私はシンの手を握る。
それによってかは分からないが、シンの顔がさっきまで苦しそうだったのが穏やかな顔になっていた。
そこから私はシンの手を握りながらシンの表情を眺めるのだった。
頭痛に苦しんでいるシン、シンが苦しむというのは滅多にないことでその表情をこんなにジッと見る機会は初めてかもしれない。
「う、うう。はぁ、はぁ」
シンは最初より表情は穏やかになったが、まだまだしんどそうだ。
「リジェネレーション」を使いたくなってしまうが、我慢だ。
私はそれから1時間ほど、シンの様子を見続けていた。
だいぶ楽そうになった。
「ううん、はぁ」
そしてシンは目覚めた。
「ミコ?何故俺の部屋に?」
「シンと一緒に寝ようと思っただけよ。それにしても大丈夫?しんどんでしょ」
「そうだ、俺。突然強烈な頭痛がして、そのまま意識を失ったんだ」
「前にもそんなことあったわよね」
「あぁ、確か中等部1年生の時の学園対抗戦で。そういえばあの時の頭痛の原因は今思えば魔王としての記憶の断片だったな」
そういえば、その時にシンから聞いた様子は私が覚えのあるものだった。
「そういえば、シン。今回の頭痛の原因は?」
「あぁ、そうだ。ミコに聞きたいことがあったんだ」
「何かしら?」
「俺は何故世界平和を目指していたんだ?」
シンは私に問う。
「ごめんなさい。それは知らないわ。ゼロはその理由を誰にも話さなかったじゃない」
「そうだったか?」
そう、私も4000年前にゼロに単純な好奇心で世界平和を目指している理由を聞いたことがあった。
だけど、その時ははぐらかされた。
その後も何回か聞いたいつもはぐらかされた。
そしてある時何でそんなに頑なに話してくれないのか聞いたら、ゼロはこう言ったのだ「その理由は誰にも言わない。墓場まで持っていくと決めている」と。
数少ない私が知らないゼロの秘密の1つだった。
いつか聞き出してやろうと思った。
世界平和が叶った後にそれを聞いても結局話してくれなかった。
でもある時に、ゼロが「次の俺の誕生日に教えてやる」って言ってくれた。
でも結局ゼロはその年の誕生日の数日前に命を落とした。
だから私は知らないのだ。
ゼロがなぜあそこまで世界平和を渇望したのか。
ゼロは本人も言っていたが決して善人ではない。
まぁそもそも善人、悪人という定義は曖昧だが。
世間的に言えば間違いなく善人ではなかった。
必要なら躊躇いなく人を殺していたし。
目的のためなら手段を選ばない人だった。
ゼロの性格は昔から変わっておらずシンとほとんど同じだ。
強いて言うなら私達への愛情が更に深くなったくらいだ。
勿論優しかった。
でもそれは私達限定だった。
他人に無関心な人だった。
だからこそなぜゼロが世界平和を願っているのかは七魔公一の謎だった。
まぁ私達としてはそれがゼロの願いならかなえるだけという考えだったので問題なかったが。
私が昔のことを思い出しているとシンはとても深く思い出そうとしているようだ。
「ミコ」
シンはとても真剣な表情で私の名前を呼んだ。
「どうしたの?」
「恐らくだが、俺は昔の、魔王時代の記憶の一部が欠如しているようだ」
シンの衝撃の告白に私は己の耳を疑う。
「それ、本当?」
「まだ断定は出来ない。だが、今俺の魔王時代の記憶を出来る限り思い出したが明らかにない記憶があった。俺は一度見たものは忘れない。魔王時代も「完全記憶」と似て非なる力を持っていたからな」
「確か魔王の称号によるものだったわよね」
「あぁ、魔王の称号には記憶能力の向上がある。俺の場合それが天元突破していたから疑似的な「完全記憶」と同じような状況になっていた」
「そうね。なんなら今もシン、それがあるから「完全記憶」いらないし」
「まぁ何らかでその機能が停止する可能性もあるから全然あっていいんだが、今はその話は置いておこう。話を戻すが恐らく俺の記憶が無くなっているのは間違いない。明らかに重要なことなのに覚えていないことがいくつもあった」
「そうなの、とりあえず近々七魔公で会議をしましょうか」
「別にその必要はないさ。勿論思い出せるならミコ達との思い出とかもあるし思い出したいが無理することじゃない。また思い出は創れるしな」
シンはそう言って元々繋いでいた手を握る力を更に強める。
「それもそうね。でも、何かあったら協力するわ」
「ありがとう」
そうして私とシンは眠りについた。
シンは暖かい。
私は今シンと抱き合っている。
シン、いい匂いする。
私はシンの全てが好きだ。
それには勿論匂いも含まれる。
シンの匂いは落ち着く。
シン、私を救ってくれた人。
私は貴方に全てを捧げる。
はぁ、いっそ私がシンを殺そうかしら?
そうすればシンは完全に私の物になる。
でもそれは駄目だ。
最初は幸福感を感じるだろう。
だが、きっと後々になって後悔する。
ゼロが死んだときの喪失感、孤独感、無力感。
深い、深い絶望。
アレをもう一度体験するなんてごめんだ。
しかも私がシンを殺したならばそれは前回以上に強くなるだろう。
じゃあシンに私を殺してもらう?
そうすれば私は生涯シンの物になる。
でもそれでセーラ達にとられたら嫌だ。
それにシンに私達と同じ深い絶望を感じてほしくはない。
シンに一生私を刻め付けることが出来る。
それはとても魅力的だ。
だけど、シンに忘れてしまうことが怖い。
だから駄目だ。
二人で心中。
これは割とありな気もする。
でもそれはこの世界にシンの存在を完全に消してしまうことにつながる。
セーラ達とか今度シンが死んだら後追いしてきそうだし。
はぁ、ダメだ。
それによくよく考えたら私はまだシンとしたいことがある。
まだシンのはじめてを貰ってないし、私のはじめてもシンにあげれてない。
やっぱりシンを殺すとか私を殺してもらうとかはなしだ。
とりあえず今はシンのはじめてを貰うことに注力しよう。
私はそう決めるのだった。
久しぶりにミコのヤンデレです。
ヤンデレ、でいいのだろうか?
少しぬるい気もしてしまう。
まぁいいか。
そろそろ百合を出したい。
巻き返しカウント:9話
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