第202話 偽物の世界からの目覚め
今日も短めです。
本日、番外編を投稿しました。
興味のある方は後書きのURLからご覧ください。
「う、ううん」
「うう、ん」
「う、うう、ううん」
俺は目を覚ます。
そこは少し広い空間だった。
「皆、起きた」
「ほぼ同時」
声が聞こえた。
俺は声の聞こえた方を向く。
するとそこにはルミネスとコピがいた。
俺は体を起こす。
どうやら俺の体は棺桶のようなものに入っていたようだ。
部屋には棺桶が3つ横並びになっていて俺が真ん中だ。
右の棺桶にはミコがいた。
左の棺桶にはセーラがいた。
二人とも、俺同様夢を見ていたのだろう。
まぁ、俺とほぼ同時に起きていたが。
とりあえず俺は棺桶から出た。
「魔王様、棺桶の中で何があった?」
「そこそこの時間入っていらっしゃいましたが」
「具体的な時間は?」
「1時間程度です」
「なるほど。恐らくミコとセーラも同じだが俺は棺桶の中で眠って夢を見ていた」
「夢?」
「どんな夢を?」
「俺は前世の世界にミコやセーラ達がいたらっていう夢だったな」
「あら、夢の中の私はどうだったの?」
「教えて」
すると棺桶から出てきたミコとセーラが会話に入ってきた。
「可愛かったけど、本物と比べたら塵芥も同然だな」
「「ふふ」」
二人ともとても嬉しそうに笑う。
「ミコとセーラはどうだったんだ?」
「私もシン同様夢を見たわ。内容は魔王ゼロ・コラプス・クリエイトブレイクが死ななかった世界」
「なるほど。セーラは?」
「私も二人と同じように夢を見たわ。内容は今世の私が幼い頃にシンと出会って魔力回路を破壊されなかった世界ね」
「どれも幸せな夢」
「人生で最も嫌なことがなかった世界の夢でしょうか?」
「いや、それは間違いよ。それだったら私もミコと同じように魔王様が死ななかった世界のはずだもの。確かに無能王女と蔑まれるのはあの頃の私にはつらいものだったけれど魔王様が死んだときの絶望感の方が圧倒的に嫌だったもの」
「俺もそうだな。少しいじめられていたのよりミコ達と離れて死ぬ方が嫌だった」
「じゃあ今世で一番嫌だったこととか?」
「俺の夢の内容が前世の世界だったから違うな。恐らくだが、直近で強い嫌悪を抱いた事象がなかった場合の夢を見たんだと思う」
「「「「なるほど」」」」
俺の結論に全員が納得する。
俺の中で直近で強く嫌悪を感じた出来事は前世でのいじめだ。
いじめられて自殺したくなるようなやわな精神はしていないが、幼い頃の人格形成に大きな悪影響を与えたことは否定できない。
ミコは俺の死後、すぐに眠りについてその後はずっと俺と一緒だ。
俺はミコが強く嫌悪しているところを見たことがないため、ミコが直近で強い嫌悪を覚えた出来事は俺の死だろう。
セーラも俺と出会ってから、何かを強く嫌悪することは俺の知る限りなかった。
なら俺と出会う前のセーラ、いじめられて無能王女と蔑まれたことがセーラにとって直近で強い嫌悪を覚える出来事で間違いないだろう。
「まぁ、仮説だから間違っている可能性も勿論あるが」
「それにしても、ここどうやって抜け出せばいいのかしら?」
今俺達がいる空間には道もなければ扉もなく、転移魔法陣のようなものもない。
簡単に言えばここは完全な密室なのだ。
「ミコ」
「どうやら「アンチマジックエリア」のようなものがこの空間にはあるみたいで魔法が使えないわ」
「セーラ」
「「万能感知」でも出口とかを見つけることは出来なかったわ」
「そうか」
さてと、どうしたものか。
「しょうがない」
俺は魔力を高める。
「ミコ、セーラ。やるぞ」
「「了解」」
二人は俺のやろうとすることをすぐに察してくれる。
本当に優秀な部下だ。
まぁ、今の俺はその部下に部下以上の感情を持っているわけだが。
それはそれだ。
俺達は魔力を高める。
「シン様。何を?」
「邪魔しては駄目」
「創造主様。シン様たちは何を行おうとしてるのです」
「大体予想はつくけど、私じゃ完璧には分からない。そういうのが分かるミコとセーラは羨ましい」
ルミネスは本当に羨ましいと言った声音でそう言った。
そしてルミネスは結界を張った。
「コピも結界とか何等かの防御をした方がいい。じゃないと巻き込まれる」
ルミネスも完璧には分からないと言いつつも俺たちが何をしようとしているのか気づいているのだろう。
ルミネスの忠告を受けてコピも結界を多重に展開した。
そして二人は恐らく強化系のスキルや権能も使っているようだ。
まぁ、今から使う魔法を考えればそれを使っておいて損はないだろう。
「我、魔王ゼロ・コラプス・クリエイトブレイク」
「我、災禍の魔女ミコ・ディザスター・クリエイトブレイク」
「我、勇者セイ・ブレイブ・ナイトダーク」
「「「我等魔王軍が命ずる。我等の魔力を糧とし、この空間を全て破壊しつくせ全属性複合終末級魔法「スペースディストラクション」」」」
その瞬間、俺たちがいた空間の一切が破壊される。
全属性複合終末級魔法「スペースディストラクション」。
莫大な魔力を消費し、指定した範囲の一切を破壊する魔法だ。
この魔法は終末級魔法の中で最も魔法陣が簡単だ。
勿論神話級魔法に比べたらかなり複雑だ。
俺達でも詠唱が必要なくらいに。
それでも他の終末級魔法に比べればかなりこの魔法の魔法陣は簡単だ。
この魔法にはいくつかの欠点がある。
まず、範囲が広くなれば広くなるほど魔力を大量に使うこと。
別にそれ自体はおかしなことではないのだ。
範囲系の魔法は大抵その範囲が広くなれば広くなるほど魔力のには相応に増える。
だがこの魔法は魔力消費量は異常だ。
俺達3人が魔力のほとんどを使い切ってようやくこの少し広い程度の空間に使えるくらいだ。
つまり、この魔法をちゃんと使えると言える規模で使うためには莫大な魔力を消費するのだ。
それこそ、世界で最も魔力を持っているミコですら一人で発動できないほどの量だ。
ミコが一人で発動できない魔法というのはいくかある。
例えばミコは俺の死属性や龍属性を再現することは出来ない。
正確に言えば時間をかければ出来るかもしれないが、かなりの時間がかかるうえに俺と同程度の威力しか出ないだろう。
まぁそもそも他人の固有属性の魔法を使えるというのは異常なのだが。
そこはおいておくとして、ミコは他人の高度な固有属性の魔法は使えない。
ちなみにここでいう高度とは強さだ。
例えば俺やセーラの固有属性はそう簡単に使えない。
そして次に今回の「スペースディストラクション」のように魔力量が足らない魔法。
ちなみにだが、終末級以降の位階の魔法はこういったものばかりだったりする。
だからこそミコが一人で使える終末級魔法の数というのは限度があるのだ。
そして最後が魔法陣が複雑すぎる魔法。
これに関しては滅多にない。
なにせミコは魔法神の加護をもつ自他共に認める魔法の天才だ。
そんなミコが使えない魔法はこの世界の誰も使えない魔法に他ならない。
一応過去にそう言った魔法も存在した。
ちなみにだが、そのすべてが原初級魔法だったりする。
話を大きく戻すが空間を破壊した俺達は気づいたらダンジョンの道にいた。
どうやら転移したようだ。
誰も転移魔法を使った様子はなかったのでダンジョンの仕様なのだろう。
そして俺達の魔rには大きな扉があった。
見たことがない扉だった。
「これが恐らく第四層のボス部屋の扉なのだろう」
「その可能性は高いわね」
「開けてみましょうか」
「賛成」
「ダンジョンボスはスタンピードの時以外ダンジョンの外、もっと言えばボス部屋から出られない。それは神である私達も同じ」
そうして俺達はその扉を開くのだった。
中には本を持っている神らしき男がいたのだった。
巻き返しカウント:10話
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