第200話 偽物の世界(ミコ)
体調は何とか回復。
ただ、明日は滅茶苦茶忙しいから投稿できないかも。
この物語もついに200話を迎えました。
これだけ続けることが出来たのも皆様の応援のおかげです。
これからも皆様が面白いと思える小説をかけるよう頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。
「う、ううん」
私は目を覚ます。
「もう朝ね」
私はすぐ横を見る。
そこには私の最愛の兄であり彼氏でもあるゼロが寝ている。
人間と魔族の戦争がなくなり、平和になったあと私はゼロに告白した。
ゼロはそれを受けて入れてくれて、私とゼロは今交際している。
来月には結婚する予定だ。
私は「ドレスチェンジ」で素早く服を着替える。
そして再びベッドに戻ってゼロの寝顔を眺める。
これは私の朝の至福の時間だ。
「うう、、、ん」
私が起きてから約1時間後、ゼロが起きた。
「ミコ、おはよう」
「ゼロ、おはよう」
以前の私なら人前じゃなければ、ゼロのことはお兄様と呼んでいたが今は交際しているのでゼロと呼んでいる。
それだけで私は幸せを感じる。
「朝食にしようか」
そう言ってゼロは「創造」で朝食を創ってくれた。
つい最近、ゼロは元々持っていた破壊神の加護に加えて創造神の加護も得た。
それによって「破壊」だけでなく「創造」も行うことが出来るようになった。
私とゼロはベッドの上で朝食を食べた。
あまり行儀が良いとは言えないけれど、ここには私とゼロしかいないし問題ない。
朝食はパンだったのでベッドでも問題なく食べることが出来た。
普通、一国の王の食事はもっと豪華なものだ。
だがゼロは気にしない。
勿論私もだ。
一応私は王妹の立場ではある。
が、別に食事にこだわりはない。
なんなら私が塔に幽閉されていた食事に比べれば100倍美味しい。
「さて、どうする?」
朝食を食べた私は、ゼロに今日の予定を聞いた。
「俺は今日予定ないな。ミコは?」
「私もないわ」
ゼロは王だ。
当然、執務等は存在する。
だが、そう言ったものは全て「執事」が基本的にやってくれる。
なのでゼロの仕事というのは基本的にない。
自由に過ごすことが出来るのだ。
普通はいくら信用していても部下に完全に執務をさせることは不可能だ。
もしその部下が裏切った場合、下手をすると国が滅ぶからだ。
だが「執事」はゼロに絶対的な忠誠を誓っているし、裏切ろうものならゼロよりも前に七魔公に粛清される。
そもそもこの国でクーデーター等は起きない。
なぜならトップが最も強いからだ。
わざわざ負けると分かっていてクーデーターを起こすほど民衆も馬鹿じゃない。
それにこの国は税が少なく、生活がしやすい国であるため民衆からの不満もほとんどない。
だからこそこの国を内側から滅ぼすのはかなり難しい。
ということで執務は「執事」に丸投げしているのだ。
私としてはそれでゼロとの時間が増えるから文句なんてないけれど。
「それじゃあ、どうするかなー。このまま惰眠を貪ってもいいけど」
「二度寝っての魅力的ではあるわね」
ぶっちゃけ私としてはゼロと一緒に入れるならば何でもいい。
「そうだ。最近体動かしてなかったし、久しぶりに摸擬戦でもするか」
「あ、いいわね。それじゃあ訓練場に行きましょう」
そうして私とゼロは訓練場に「テレポート」で転移した。
「お、ちょうど誰もいないようだな」
「そうね、これなら遠慮なくできるわ」
そうして私達は位置に着く。
「それじゃあ、始めましょう。ゼロ、お先にどうぞ」
「そうか。それじゃあ遠慮なく」
そうしてゼロは「ストレージ」から王魔を取り出し、王魔を右手に持って私に接近してくる。
「インフェルノ」
私は「インフェルノ」を発動して周囲を地獄の業火にする。
「ちっ」
ゼロは咄嗟にバックステップで回避した。
ゼロとしては別にこの炎もそこまでダメージにならない。
だが、完全にノーダーメージとはいかないし牽制にはなる。
「破壊」
だが「インフェルノ」はゼロのスキルである「破壊」で壊されてしまった。
「ブラックホール」
私は「ブラックホール」を発動する。
「破壊」
だが今度のゼロは止まったりせずすぐに「破壊」で破壊してしまった。
「ニブルヘイム」
私は「ニブルヘイム」を発動してゼロを氷漬けにする。
「インフェルノ」
だけどゼロは「インフェルノ」を発動して氷から抜け出してきた。
私は「ストレージ」から吸魔を取り出す。
剣はあまり得意とは言えないが、このままじゃジリ貧だ。
私は使えるだけのバフ魔法をかけてゼロに接近する。
そしてゼロと切り結ぶ。
私はバフ魔法に更に魔力を流すことで強引に身体能力を情報させる。
すると、吸魔がゼロの左腕に突き刺さる。
シンはすぐに後ろに跳んで吸魔を抜いた。
だが、吸魔が刺さったゼロの左腕からは血が出ていた。
「ブラッドスピア」
その瞬間、血の槍がゼロの左腕から出現してゼロの心臓を潰した。
私はその隙を逃さずに接近して吸魔をゼロの首に当てる。
「私の勝ち」
「俺の負けだ」
そうして私とゼロとの摸擬戦は私の勝利で終了した。
「にしてもミコ、強くなったな。もう勝てないかも」
「何言ってるのよ。ゼロは何の強化もしてなかったじゃない」
ゼロには強化する手段、簡単に言えば奥の手がたくさんある。
それを一つも使っていない状態のゼロに負けるわけにはいかない。
七魔公第一席の名にかけて。
いや、使っていないのではなく使えないが正しいのだろうが。
そんなことを考えながら私は自室に戻った。
私は服を脱いで自室のお風呂に入る。
本当は先に体を洗った方がいいのだろうが、自室のお風呂だし気にしなくてもいいだろう。
私の部屋のお風呂はかなり大きい。
さすがに大浴場ほどではないが。
魔王軍の部屋の豪華さは立場によって変わる。
勿論最も豪華なのは魔王であるゼロ。
次に幹部である七魔公。
正直七魔公じゃあ大して変わらない。
まぁ気持ち私の方が給料が良くて微妙に自室が広いくらいだ。
別に気にならないので問題ない。
お金なんて普段は使わないから「ストレージ」に死蔵してあるし。
そうして私はお風呂から出て、体を洗う場所に移動する。
そこには鏡がある。
その鏡で自分の体を眺める。
私の体は決して貧相なものではないと自負している。
胸も大きいほうだし、太ってもいない。
ゼロはどんな女の子が好みなんだろう。
私はそんなことを考える。
私とゼロは付き合っているがまだそういうことはしていない。
だからこそ不安になってしまう。
まぁ、ゼロの好みを聞いてそうなるように体をいじればいい。
魔法を使えば身長や体を弄るだなんて容易いことだ。
私はそんなことを考えながら体を洗うのだった。
「ふぅー。すっきりした」
お風呂から上がった私は「ドレスチェンジ」で普段の服に着替える。
ちなみにだが、普段から着ている服は汚れないうえに自動洗浄機能がついているから洗濯不要だ。
ゼロに創って貰ったものだ。
「ゼロに部屋に行くとしましょうか」
私は魔力を高めてある魔法の魔法陣を手の中に小さく展開しておく。
そしてそれからひたすらに魔力をその魔法陣に流し続ける。
コンコン
私はゼロの部屋をノックする。
「入っていいぞ」
ゼロの許可が出たので私は扉を開ける。
そこには半裸のゼロがいた。
「えーっと。ミコ、俺達も交際して結構経ってるし結婚も近いし、そのしないか?」
ゼロは微笑みながら私にそういう。
「ふふ」
私は笑う。
そして快くゼロを受け入れる。
わけがなかった。
「ブラッドチェーン」
私は血の鎖でゼロを拘束する。
「ちょ、ちょっとミコ。何を」
「喋るな愚物」
私は「ストレージ」から吸魔を取り出してゼロの心臓に刺した。
「グハッ」
ゼロが吐血する。
「な、なにをするんだいミコ」
「喋るなと言ったはずよ。紛い物」
「なっ」
私の言葉に愚物は目を見開く。
「私は既にここが夢の世界だということに気づいているわ」
「どこで気づいた?」
愚物は誤魔化すことを諦めたようにそう聞いてきた。
「最初から、つまり朝起きたときからよ」
「最初から、だと」
「そう。朝起きたときはまだ小さな違和感しかなかった。普通、ゼロの睡眠時間はとても短い。私も短いほうだけれど、ゼロよりも圧倒的に長かった。ゼロはシンに転生して睡眠時間が長くなったのよ。それで私と同じくらいなの」
「何故シンの名が。ミコの現実の記憶は封印したはず」
「そうね。ちゃんと封印されているわ。でも睡眠時間なんかよりも決定的に夢だと判断した理由があるの」
「何だ、それは」
「私の魂がこの人は私の愛した人じゃないと言っていたの。そしてゼロは死んだはずだとね」
「魂だと。だが、前者は置いておくとして後者については記憶は封印されているはず」
「確かに基本的な記憶は封印されているわ。でもね、魂に刻まれた傷はちゃんと残っているわ」
「魂の傷?」
「私はゼロが死んだとき、この世界を滅ぼそうと思った。それくらいにゼロが死んだことは私の中で大きいことだった。それこそ魂に刻まれるくらいね」
「はぁ、本当によくわからない。理解できない。だがミコ、君はここから出ることは出来ない」
「ふふ、そんなわけないでしょう。それとその貴方のセリフこそ貴方がシンとなれていない証よ。ゼロはね絶対に出来ないとは言わないの」
そう私は不敵に笑う。
「この夢から覚める方法。パッと思いつかなかった。だけど私は思ったの、全部吹き飛ばしちゃえば関係ないって」
「な、なにを」
シンにはたくさんの奥の手がある。
だがそれは私だって同じだ。
「私の最強を見せてあげる」
そうして私はその魔法陣を展開する。
だがこれは魔法やアーツとは少し違うものだ。
部類で言えば神の使う権能が最も近い。
「我災禍の魔女、ミコ・ディザスター・クリエイトブレイク。我は魔王と並ぶ吸血姫。血の女王なり。魔王を騙った紛い物の血よ。愚物を滅ぼせ「吸血姫による災禍」
その瞬間、愚物は己の血が全身から噴き出して死んだ。
「貴方は確かに私を愛していたようだけど、私が愛してほしいのは正解で一人だけなの。だからいらない愛を持つ貴方へのせめてもの情けとしてこの私が直々に殺してあげた。魔王軍最高幹部七魔公筆頭「災禍」ミコ・ディザスター・クリエイトブレイクでありナイト王国公爵ミコ・マジクロードがね」
私は死んで塵となって消え去る愚物を眺めながらそう言った。
私は今、笑っている。
愚物が絶望した顔ほど面白いものもなかなかない。
私がそんなことを考えた次の瞬間には私の意識はなくなっていたのだった。
ゼロをめっちゃシンって打っちゃう。
ユアとユイよりも酷い。
巻き返しカウント:10話
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