第179話 本物の勇者VS災禍の魔女2
本日番外編の方を投稿しました。
そちらに興味がある方はあとがきにあるURLからご覧ください。
私は今、セーラと摸擬戦を行っていた。
セーラは「ワンハンドレットスラッシュ」を発動した。
私に向かって100の斬撃が迫ってくる。
セーラは事前に「アンチマジックエリア」を使用していたので魔法は使えない。
しょうがない。
使う気はなかったけれど、使うしかないだろう。
そして私はあるスキルを使う。
まだ誰にも教えていない、スキルを。
まぁスキル的に神族系の加護の人は手に入れることが出来るスキルのようだし、シンとかはたぶん既に持ってるけど。
「失せろ」
私がそう言った瞬間、斬撃は全て消えた。
「何、いまの」
セーラは目を見開いている。
「スキル「神言」対象を魔力によって強制的に私が発言した通りの状態にするスキルよ。魔力消費も多
いし、神族系の加護を持っている生物には効かないけれどね」
「神言」つい最近使えるようになったスキルだ。
私はさっき、このスキルを使って斬撃と「アンチマジックエリア」を消滅させた。
「十分凄いでしょ。でも、魔法神の加護の固有スキルとは思えないわね。名前的に」
「そうね、多分セーラはいつか使えるようになると思うわよ。まぁ私以外に持っている人が一人いるだろうけど」
「そうね」
そう言って私とセーラは同時にシンを見た。
シンは微動だにしなかった。
「まぁいいわ。確かに強力なスキルだけれど私は神族系の加護を持っているから効かないし、遠距離攻撃を無効化されるならそのまま斬ればいいだけの話だわ」
「やれるものならやってみなさい」
私はそう言いながら大量の最上級魔法を放つ。
セーラは右手にエンハルトを、左手にエクスカリバーを持って「神速」を発動して私に近づいてきた。
戦いはまだまだ続く。
セーラ視点
私は今、ミコと摸擬戦をしている。
最初はミコに今の実力を見てもらおう程度にしか思っていなかったけれど、シンからのご褒美が貰えるなら別だ。
本気で勝ちにいくしかないだろう。
勝率はかなり低いが、ゼロじゃない。
「神言」なんてスキルがあるとは知らなかったが、私本人に効かないのなら問題ない。
遠距離攻撃は大抵無効化されてしまうようだが。
それはあくまで使える手札が狭まってしまっただけでしかない。
私はひたすらにミコに接近しては剣を振るうのを続けている。
斬るではなく振るうなのは剣が当たらないからだ。
ミコは恐らく気配を感じた瞬間「テレポート」で転移して逃げるのだ。
そのくせ常に私が無視できない威力の魔法を絶え間なく放ってくる。
正直このまま続けてもジリ貧だ。
今の状況は簡単に言えば私の体力がきれるか、ミコの魔力が無くなるかの戦いだと言える。
そして、ミコの魔力がこの程度の魔法を連発するだけでは尽きることはない。
恐らく魔力回復量と同程度しか使用していない。
ミコは長期戦を望んでいるらしい。
ミコは本気で勝ちに来ている。
そして、このままでは私は負ける。
なら、私も遠慮なくいこう。
私はエンハルトとエクスカリバーを聖邪の指輪に戻す。
「聖剣召喚:ザスク」
私は聖剣ザスクを召喚する。
「厄災の炎」
私はザスクのスキルである「厄災の炎」を発動する。
ザスクに物すぎ勢いの炎を纏わせる。
ザスクは火を司る聖剣だ。
「厄災の炎」は「インフェルノ」よりも火力が高い炎だ。
私はザスクを右手に持ってミコに向かって振るう。
「ビッグオーシャン」
ミコは咄嗟に「ビッグオーシャン」を発動する。
私の真上に大量の水が出現し、重力に従い落ちてくる。
私はびちょびちょになってしまった。
当然、ザスクも水に触れた。
が、水がザスクに近づくと水が一瞬で蒸発してしまった。
私は勢いのまま、ミコの右腕を斬り飛ばす。
「かかったわね。「シィールド」」
ミコがその魔法を発動した瞬間、「厄災の炎」は消えてしまった。
やられた。
ミコがさっき使った魔法は無属性最上級魔法「シィールド」という魔法で、触れた対象の力を封印する魔法だ。
最上級魔法なので普通は神器を封印するほどの力はないが、ミコは莫大な魔力を込めることで神器であるザスクを一時的に封印した。
恐らく解除には1日ほどかかるだろう。
だがまずい、ミコはたしかさらに高位の封印魔法も使うことが出来たはずだ。
先ほどは私の虚を突くために展開の早い「シィールド」を使ったのだろう。
だが次からはもっと強力な封印魔法を使ってくるだろう。
これで私の近接攻撃も封じるつもりなのだろう。
とりあえず私はザスクを聖邪の指輪に戻す。
「聖剣召喚:ブゲン」
私は聖剣ブゲンを召喚する。
「亀蛇水」
私は今度はブゲンに水を纏う。
この水は特殊な水だ。
様々な効果を付与することが出来る。
そして絶対に消滅しない。
恐らくこれは「神言」も例外はないだろう。
私はブゲンを振るう。
それだけでブゲンから水の斬撃が放たれる。
「失せろ」
ミコが「神言」を発動する。
だが、水の斬撃は消えない。
「「神言」が効かない?なら「ウォーターコントロール」」
ミコは「ウォーターコントロール」で水を操ろうとする。
が、この水は「ウォーターコントロール」では操ることが出来ない。
私はひたすらに剣を振るう。
絶え間なくミコに向かって水の斬撃が放たれる。
私は今、斬撃に吸血鬼特攻の効果を付与している。
つまり、ミコがくらえばひとたまりもない。
恐らく一発では倒すことなんて無理だろうが。
何発も当てればそのうち勝てるかもしれない。
「ブラッドコントロール」
ミコが「ブラットコントロール」を発動し、ミコから血が放たれてくる。
確かにミコの血とこの「亀蛇水」性質が似ている。
これなら相殺されてしまうだろう。
しょうがない、私はひたすらに剣を振るって水の斬撃を放つ。
相殺されるなら数で押し切ろう。
しかし、数はミコの方が多く相殺しきれない。
「まずっ」
私が咄嗟に「テレポート」を発動しようとする。
だが、
「アンチマジックエリア」
ミコが「アンチマジックエリア」を発動した。
そのせいで「テレポート」で逃げれない。
ならばと「神速」を発動して自分の足で逃げようとすると、
「血界」
ミコが血の結界を創り出した。
私の周りに、私はブゲンを振るって「血界」を破壊する。
がそのひと手間が致命的だった。
「私の勝よ」
「ガハッ」
いつのまにか私の後ろにいたミコに私の偽魂は吸魔で突かれて破壊された。
「私の負け」
「勝者、ミコ」
審判であるシンがそういった。
この摸擬戦は私の敗北で幕を閉じたのだった。
そして私は疲れてそのまま意識を堕とした。
シン視点
「はぁ、何とかかった。ギリギリだったー」
セーラと熱戦を繰り広げていたミコはセーラの偽魂を破壊し、俺がミコの勝利宣言をしたとたん座り込んでしまった。
あれだけの戦いだったのだから無理もないだろう。
「ミコ、お疲れ様。ご褒美は後であげる。少し休め」
俺はそう言ってミコを魔王城のミコの寝室のベッドの上に「テレポート」で転移させた。
「う、ううん」
するとセーラが意識を取り戻したようだ。
「セーラ、お疲れ様だ。俺との摸擬戦は明日にしよう。今日は少し休め」
「悪いわね。そうさせてもらうわ」
そう言ってセーラは「テレポート」で転移していった。
「俺達も神界を出るか」
俺はミーゼ達にそう言った。
そして俺は神界を解除したのだった。
俺は自分の寝室に戻る。
「はぁ、セーラ。強くなったな」
俺はベッドに寝転がりながらそんなことを考える。
4000年前のセーラはあそこまで強くなかった。
勿論強者であったことに間違いはないが、ミコとあそこまで熱戦を繰り広げられるほどの実力はなかったはずだ。
「これも成長、か」
セーラは強くなった。
勿論この時代でセーラとして生きたことで得たレベルやスキル等も強くなったことに関係しているだろう。
だが、それ以上にセーラには経験が増えた。
昔のセイならばあんな聖剣の使い方はしなかっただろう。
セイは強化による力押しで大抵の相手は勝てたからあんな風に技術を用いて戦うのはあまり多くなかった。
だがらこそセーラも成長しているのだろう。
主君として師匠として、従者のいや弟子の成長は嬉しいものだ。
だがそれと同時に、少し怖くなってくる。
もうセーラには俺が必要ないんじゃないかと。
俺はどうやら転生して臆病になったようだ。
ミコには俺の悩みを聞いてもらったおかげでそんなことは考えなくなったが、今度はセーラに考え始めてしまった。
「はぁ。複雑だ。でも、明日セーラと戦うのは楽しそうだ」
俺はそう思考を切り替える。
そして気づいたら俺は眠ったのだった。
後一、二話で勇者覚醒編終了です。
閑話入れようか迷ってます。
巻き返しカウント:12話
誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。
気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。
作品についての疑問やご質問、ご指摘も受け付けておりますので感想などを貰えると嬉しいです。
感想については全て返答させていただくつもりです。
この作品の番外編です。
URL:https://ncode.syosetu.com/n9675ip/
こちらもお願いします。
異常者の恋愛は異常です
URL:https://ncode.syosetu.com/n6702iv/