第176話 レイルとミリーへの説明
お久しぶりです。
合間時間にやって何とか一話かけました。
数日間投稿を休んでしまいすみません。
今週いっぱいは投稿できない日が続くかもしれませんが、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。
セーラが勇者としての力を取り戻した。
セーラがセイの転生体だということにはかなり以前から気づいていた。
昔から面影はあった。
だが当時の俺たちはセーラがセイの転生体だとはさすがに分からなかった。
大方セイの子孫か、親戚なのかもとは思っていたが。
普通、転生しても魔力は変質しても魂が変質することはない。
だがセーラの魂は変質していた。
だから俺もミコもセーラがセイの転生体だと分からなかった。
これはセイが転生する前に魂を9等分していたからだ。
そしてそのうち8つを8本の聖剣に一つずつ保管しておいたのだ。
何でもセイによると転生しても確実に力を取り戻せるように魂を分けて保管しておくことをにしたんだけど、下手な場所に保管して消滅しちゃったら困るから一番安全な聖剣の中に入れることにしたらしい。
まぁ聖剣は神器であるため基本的に壊れることはないから、理に適っているともいえる。
ただセイはどの聖剣に己の魂を入れるべきか非常に悩んだらしい。
結果、魂を9等分してそのうち8つを一つずつ8本の聖剣魂を入れた。
そして残ったのは魂の断片という状態で無理やり転生をしたらしい。
恐らくだが、ミーゼのように転生後に記憶を保持出来ていなかったのは転生直前の魂が断片だったからと言う可能性が高いらしい。
まぁ十中八九そうだろう。
転生というのはかなり難しい。
俺は意図せず転生したが普通、意図的に転生することはかなり高度だ。
ミコ曰く、転生魔法を創ったとしてもミコであっても発動には1年間休まずに詠唱をする必要があるらしい。
ミコに言わせればミーゼとセイの転生は加護の力をフル活用したごり押しらしい。
まぁ俺ですら簡単に出来ないことだからな。
それを加護の力で無理やりやった漢字らしいしごり押しとしかいいようがないな。
「あ、あの。これはどういうことなんだい?」
俺達がそんなことを話したり考えたりしているとレイルが話しかけてきた。
そういえば放置してしまっていたな。
「まぁ、凄く簡単に言うと。貴方達の娘さんのセーラは魔王軍第二席「勇者」セイ・ブレイブ・ダークナイトの転生体だったっていう話ですね」
俺がそう言うとレイルとミリーの二人はそうやくこの状況が分かったようだ。
そして黙りこくってしまった。
まぁ無理もないだろう。
自分の愛娘が歴史に残る人物だったのだから。
しかもナイト王国で魔王軍の「勇者」はこう伝わっている。
当時、人間側の英雄として大陸中の人間国家が認めた英雄。
どれだけ強力な魔物も一瞬倒してしまう。
そんな人間最強の英雄だ。
しかし、魔王討伐に向かった後人間を裏切り魔王の配下となった裏切者。
それがナイト王国に伝わる魔王軍の「勇者」だ。
自分の娘がはるか昔、人間を裏切った裏切り者。
黙ってしまうのも無理はないだろう。
レイル視点
僕たちは今日、シン君達に呼ばれミリーと一緒に魔王城に来ていた。
そして僕たちは魔王城の謁見の間に招かれた。
その謁見の間は僕達の城のものよりも広く、装飾が豪華だった。
そして奥には玉座が三つありシン君とミコちゃんが座っていた。
これが、魔王城か。
何度か来たことはあったけれど、やっぱりかつての魔王国は今のナイト王国の数十倍の規模だったのだろう。
そして僕たちは部屋の端に寄るように言われた。
セーラは部屋の中心に移動するように言われた。
すると七魔公の人たちがシン君、ミコちゃん、セーラを囲うように強力な結界を放った。
本来ならこの状態でもしセーラに何かあっても僕たちは干渉できない状況なので、止めるべきだろうが、僕とミリーじゃそもそもそんなことできない。
魔王軍と言うのは伝説上に残る最強の集団だ。
そしてここにいる七魔公はその中でも最強の者たちだ。
シン君やミコちゃんよりは弱いらしいが、ぶっちゃけ僕達からしたら大して変わらない。
一瞬でナイト王国を滅ぼすことが出来るほどの実力があるというだけなのだ。
「レイル様、ミリー様。ご安心ください。セーラ様に危害を加えるようなことはしません」
すると執事さんが話しかけてきた。
とても顔が良く、先ほど出された紅茶も美味しかったのでとても優秀な執事であることは分かる。
ただこの人も七魔公だ。
恐らくかなりの実力者なのだろう。
「これは、何を行うのですか?」
僕は執事さんに聞く。
「私の口からはあまり多くのことを応えられません。しかし、セーラ様のお力を引き出すためのものということだけはお伝えしておきます。詳しいことは終わり次第魔王様にお聞きください」
執事さんはそう言った。
そうして僕達はセーラ達を眺める。
すると突然、シン君とミコちゃんから膨大な魔力が溢れる。
そこからは圧巻だった。
気づけばセーラの服装が変わっていた。
そこからはあまり記憶がない。
シン君曰く、何でもセーラは魔王軍の七魔公のひとりである「勇者」の転生体だったらしい。
そして今回はその記憶と力を取り戻したらしい。
そう考えると、色々と納得するような気がする。
セーラはすぐに人を信用するような人間ではない。
それなのにシン君とミコちゃんと打ち解けるのはかなり早かった。
セーラが一番気にしていたコンプレックスともいえるものを治療してくれたからだと思っていたが、それにしては最初から懐きすぎていた。
恐らく、魂のどこかでシン君とミコちゃんに安心感を覚えていたのだろう。
なんだかんだで僕たちは王城に帰った。
僕とミリーは話し合い、セーラが七魔公である「勇者」の転生体であることは僕達だけの秘密にすることにした。
家臣たちが信用できないわけがないが、知られる必要のないことだし知られてパニックになるよりもずっといいだろう。
全く、シン達と出会ってから退屈しないな。
セーラ視点
私は今、自分の私室のベッドに寝ころんでいた。
私は今日、4000年前の記憶と力を取り戻した。
最近見ていた夢は4000年前の記憶だった。
シンやミコの服装は4000年前にシン達が着ていた服だった。
力が強くなっていたのも聖剣が近しくなってほんの少しずつだが力を取り戻していっていたのだろう。
恐らくシンとミコがあんなことしなくても近々私は記憶と力を少しずつ思い出していただろう。
まぁ、早く戻って悪いことはないからいいが。
後、8本の聖剣だが全てシンから渡された。
今の私は殺魔だけでなく4000年前と同じく8本の聖剣を使った戦いもできるわけだ。
その後、お父様たちに私のことを説明してお父様も王城に送った。
あと、シン達から勝手に私が創っていた城に入ったことを謝罪された。
もう、私の全てはシンの物。
だからあの城だってシンの物なんだから謝る必要はない。
ただ、あの秘密の部屋を見られるのは恥ずかしいかもしれない。
私が密かに集めたシンの物コレクション。
まぁあの部屋には強力な封印魔法を使っているから大丈夫だろう。
私はそんなことを考えなら寝返りをうつ。
まだ私の魂はこの体に完全に適応していないらしい。
体内の魔力が勝手に動いてしまう。
これじゃあ眠れない。
なので私はベッドから出てシンの部屋の扉の前に来た。
コンコン
「シン、私よ。入っていいかしら?」
「セーラか。いいぞ」
シンから許可が出たので私はシンの部屋に入った。
シンはベッドで横になっていた。
珍しくミコがいない。
頭の中にウィンクをするミコの姿が見える。
ミコが気をきかせてくれたのだろう
よく考えたら私はこの時代に転生して、私は少し礼儀正しくなったかもしれない。
4000年前の私なら、ノックなんてせずに勝手にシンの部屋に入っただろう。
4000年前の私はそんな性格だった。
「一緒に寝てもいいかしら?」
記憶を取り戻す前なら何も気にせず一緒に寝ることが出来た。
私のシンへの気持ちが恋愛的な愛情とシンの弟子としての愛情とが半分半分くらいだったからだ。
でも今の私は違う
そこに忠誠心と今までよりもかなり強い恋愛的な愛情が加わった。
そのせいか今まで以上に意識してしまうようになったらしい。
それこそ、添い寝にほんのすこしといえど羞恥心を感じる程度には。
「勿論いいぞ」
シンはそう言ってくれたので私はシンの隣に横になる。
「ふぇっ」
突然、シンが私のことを抱きしめてくれた。
「本当に、無事でよかった」
シンはそう言って私のことを更に強く抱きしめてくれた。
あぁ、幸せだ。
私はそんなとっても幸せな気持ちを感じながら眠りについたのだった。
あと1、2話と書きましたが、この章もう少し延ばすかもです。
誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。
気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。
こちらもお願いします。
異常者の恋愛は異常です
URL:https://ncode.syosetu.com/n6702iv/