第172話 勇者城
今日も短めです。
すみません。
俺はミーゼから聞いた「勇者」のもう一つの家のような場所に行くことにした。
俺は今、ある理由から聖剣を集めている。
聖剣の合計は8本。
そして今現在俺の手元にあるのは2本だ。
聖剣エンハルトと聖剣プロフトだ。
残り6本。
恐らく「勇者」の性格上、ある程度まとめて保管しているはずだ。
確かに「勇者」は魔王城以外にも一つ、拠点としている場所があった。
だが、俺達はミーゼに言われなければ思い出せなかった。
この俺が忘れていた?
まさか、ありえない。
転生に何かしらの不具合があった?
いくら消耗していたとしても俺の転生は完璧だったはず。
そこで俺は一つの可能性を思いつく。
「勇者」が俺達が思い出さないように細工していたのかもしれない。
ミーゼが勇者の拠点の存在を思い出したのはついさっきだと聞いた。
ミーゼはつい最近、聖剣二本で現代の勇者を殺した。
もしかしたら、俺以外が聖剣を二本以上同時に使ったらその記憶を思い出すようにしていたのかもしれない。
普通なら無意味なことだが「勇者」はそういうのが割と好きな性格だ。
面倒くさがり屋だが、小細工とかは割と好きだった。
あと、一度気に入ったら滅茶苦茶やりこむタイプだったな。
というわけで、俺たちは今勇者が拠点としていた場所に行くことにした。
といっても場所が分からない。
ミコに全力で「サーチ」を発動してもらったが見つからなかった。
ミコの「サーチ」の範囲はものすごく広い。
とりあえず大陸全土が分かる程度には広い。
だが見つからなかった。
可能性としては三つ。
一つ、既になくなっている。
二つ、この大陸ではない。
三つ、ミコの「サーチ」から逃れられるほどの隠蔽や偽装を施している。
個人的には三つ目が一番可能性が高いと思う。
一つ目がないと思う理由は「勇者」に限ってたかだか4000年で滅ぶような拠点を創るわけがないからだ。
二つ目がないと思う理由は「勇者」は割と面倒くさがりの性格なので別大陸に創るなんて面倒くさいことはしないと考えたからだ。
三つ目が一番可能性が高いと思う理由は「勇者」ならばミコの「サーチ」からだって逃れるようにすることは出来るだろう。
まぁなので「サーチ」で探すのを諦めて別の方法で探すことんした。
先ほど述べた通り、恐らくこの大陸にありかなり高度な隠蔽や偽装を施している可能性が高い。
古来より、物や生物を探す時に使われた方法を使うことにする。
その名も人海戦術。
俺の配下である魔物たちとライシュが「魔物召喚」で召喚した魔物たちを大陸中に放ち、捜索させる。
勿論隠蔽や偽装はかなり高度なものだろうが、俺の配下は全員「看破」を使えるので問題ないだろう。
ライシュの魔物に関しては質ではなく数で動いてもらうことにした。
ちなみにだが、改めて俺の配下については皆に説明した。
知らなかったものは少し、いやかなり驚いていた。
そして捜索が進み、俺の配下のウィンドフェンリルが勇者の拠点と思しき城を発見した。
高度な偽装と隠蔽がかかっていたそうだ。
ちなみにウィンドフェンリルとはフェンリルの亜種で風を操る種族だ。
物凄い速度で移動することが出来る。
俺たちは「勇者」の拠点らしきものがある場所を発見したウィンドフェンリルの元へ移動した。
そしてそこには、魔王城より少し小さいくらいの大きさの城があった。
「想像の数十倍大きいわね」
「そうね。これは想像以上だわ」
ウィンドフェンリルから大きな城だとは聞いていたがこれほどとは思わなかった。
だが、「勇者」は一度ハマったら結構やりこむからな。
城づくりにハマったのだろう。
魔王軍の仕事の合間にこれを創ったということに関してはさすがの一言だが。
「「勇者」の城。さしずめ勇者城といったところか」
「魔王様、そろそろ入りましょう。周りに魔物が集まってきています」
勇者城があるのは森の中だ。
この森は神秘の森と言って、魔境と似ていて凶悪な魔物が存在する森だ。
ただ聖水がとれる泉やら神聖なものがたくさんあるから神秘の森と言われている。
ちなみにだが今回来ているメンバーは今現在いる七魔公全員だ。
具体的に言うと、俺、ミコ、ミーゼ、ルミネス、レイメスだ。
ルミネスは普段は魔王城から出ることはないんだが、今回ばかりは七魔公が全員でいた方がいいだろうという判断をして連れてきたのだ。
「ミコ、掃除をしてから中に入ろう」
「了解「ブラッドランスレイン」」
その瞬間、俺達の周りにいた魔物はそれから降ってきた血の槍にくし刺しにされて全滅した。
ミコは「ストレージ」に魔物の死体をしまった。
そして俺達は勇者城に入ることにする。
門がある、レイメスが開こうとするが動かない。
「レイメス、変われ」
俺がレイメスに変わって門を押す。
だが、門はびくとも動かない。
「しょうがない、力押しはあまり好きではないが「超強化」「神眼解放」」
俺は「超強化」と「神眼解放」を使用する。
これだけで俺の力は普段の数千倍となる。
だが、門は動かない。
「強度が高すぎるだろ」
俺の全力で壊れないとか普通にあり得ないのだが。
「シン、協力するわ」「魔王様、協力します」
俺が門を力づくでどうにかしようとしているとミコとセーラがバフ魔法をかけてくれる。
俺は自分でもバフ魔法を発動する。
これ以上の強化は現状では不可能だ。
だが、門は全く動かなかった。
「硬すぎるだろ。「勇者」はどんなことを想定してこれだけの強度にしたんだ?」
「魔王様」
俺がそんなことを言っているとレイメスが俺に話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
「その門を調べたところ、「勇者」の魔力を流さなければ絶対に開かないようになっています」
「マジか」
確かに魔王城にも似たしかけがある。
というかまんまだ。
そりゃ取り入れるか。
「入るためには破壊するしかないでしょう」
「いや、多分破壊しなくても入れる。だろ、ミコ」
「えぇ、そうね。シンも同じ考えにたどり着いたようね」
そして俺は「神器召喚」である神器を召喚した。
ちなみにだが「神器召喚」を使っても他の聖剣を召喚することは出来ない。
「神器召喚」はシンとして転生してから得たスキルであるためシンとして転生してから一度も見ていないものだと召喚出来ないのだ。
俺は召喚した神器に含まれている魔力を吸収し、門に流した。
「魔力認証完了。合言葉を言ってください」
「よし、魔力は突破出来たな」
「次は合言葉。これかなり難しくないかしら?」
「今度こそ破壊するしかないように思えますが」
「ミコ、分かるか?」
「二択ね。シンは?」
「俺も二択だ」
「なら私が先に言うわ。我は最強。されど魔王と災禍には勝てない」
「合言葉が間違っています」
「なら、こっちだな。我は最強。されど崩壊と災禍には勝てない」
「認証完了いたしました。お入りください」
門が勝手に開いた。
「よくわかりましたね」
「よく「勇者」が言っていたことだったからな。ただ俺のことを魔王というか崩壊というかはさすがに分からなかったが」
俺は対外的には「魔王」と呼ばれることが多いが、どちらかといえばそれは役職に近い。
ミコでいうところの魔王軍七魔公筆頭、みたいなものだ。
「災禍」とは少し違う。
俺の二つ名は「崩壊」。
まぁこの名前で呼ぶ奴なんてほとんどいなかったが。
合言葉とかではよく使っていた。
「さてと、入るとするか。「勇者」が俺やミコにでも場所さえ教えなかった「勇者」の拠点に」
「そうね。もしかしたら私達に隠したいなにかがあったのかもしれないわね」
俺とミコは不敵に笑う。
他3人は苦笑いだ。
そうして俺達は勇者城に入っていくのだった。
すみません。
まだ巻き返しとか番外編とか全然出来てないですけど、もしかしたら近々何日か休むかもしれません。
こういう時は毎回いってますが失踪する気は全くないので気長に待っておいてください。
いかんせんストックが全くないので。
休むか、出ても短くて後で追加みたいな感じが続くかもです。
そういう状況が少なくとも再来週ぐらいまでは続くと思います。
ご了承ください。
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