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第171話 「災禍」と「聖女」の協力関係

今日も少し短めです。


私は「聖女」と戦い、聖女の首に吸魔を突きつけて勝利を宣言した。

だが、奇妙だ。

弱すぎる。

以前の「聖女」はもっと強かった。

転生して弱体化した?

いや、あの「聖女」に限ってそんなわけない。

私が「聖女」を睨んで注意深く観察していると「聖女」が僅かに笑った。

その瞬間、私の心臓は貫かれた。


「ガハッ」


私は思わず吐血する。

吐血なんて久しぶりだ。


「あは、そうよね。貴女がそう簡単にやられるわけないわよね」


私は首だけ後ろを向く。

そこには、剣のような十字架で私の心臓を貫いている「聖女」がいた。


「ブラッドコントロール」


私はすぐに「ブラッドコントロール」を発動する。

私の体内から血の触手が「聖女」に襲い掛かる。

「聖女」はすぐに十字架を引き抜いてバックステップで後ろに下がった。

そして血の触手を全て十字架で斬裂いた。


「傷が、再生しない」


普段ならばすぐに再生する傷がまったく再生しなかった。


「再生の疎外?再生神の加護を持っているとしてもそんなことは出来ないはず。いや、出来るとしても私の再生が一切発動しないほどの疎外は不可能なはず」


私は思考を巡らせる。

しかし、その隙を与えないようにと「聖女」は私に攻撃を仕掛けてくる。

私はそれを魔法で迎撃する。

が、気休めにしかならない。

斬るか避けるかされて終わってしまう。


「ちょこまかと「フォーエバーブリザード」」


ならばと私は「フォーエバーブリザード」で「聖女」の動きを止めようとする。

「聖女」は狙い通り氷漬けになる。

しかし、すぐに氷は消滅してしまった。


「私の魔法が」


私は目を見開く。

私の魔法はいくら「聖女」でもあそこまで簡単に無効化されたりはしない。

シンは例外だが。

私がそんなことを考えていると「聖女」が既に私の懐に入っていた。


「これで終わりよ」


「聖女」はもう一度、今度は正面から十字架で私の心臓を刺した。


「なるほどね。ようやくわかったわ」


「なっ」


私は「聖女」のお腹に手を置いて、大量の魔力を流した。

それによって引き起こされた快楽によって「聖女」は気絶したのだった。

この戦いは元々、明確な勝利条件を決めていなかった。

だけど、相手を気絶させれば間違いなく勝利だと言えるだろう。




数分後


私は追った傷を「リジェネレーション」を発動して何とか再生した。


「う、ううん」


「聖女」が目を覚ました。


「おはよう「聖女」」


「う、「災禍」?そうだ、私。「災禍」との戦いで負けて。気絶したんだ」


「ふふ、私の勝よ」


「はぁ、今回は勝てたと思ったんだけどなー」


「聖女」の口調が変わる。

私と「聖女」はかなり仲が良い。

だから「聖女」は私と一緒にいるときは素の口調になるのだ。


「まだ負けないわよ。でも、まさかミーゼが呪いを使うようになっているとは夢にも思っていなかったわ」


呪いとはある種、「聖女」とは正反対ともいえる類いのものだ。


「さすがの洞察力ね。アレが呪いだってあの短時間で分かったのね」


「再生を阻害する術の代名詞だもの」


「確かにそれはそっか」


「でも、なんで呪いを使うようになったの?少なくとも4000年前は使ってなかったわよね」


「ミコ、私は貴女と違って転生したのよ」


「あ」


そうだ、ミーゼは転生した。

シンと同じように。

シンは転生前は破壊神の加護を持っていた。

だが、転生後のシンは創造神の加護を持っている。

そして今のシンはその二つを加護をどちらも使いこなすことが出来る。

ミーゼが再生神の加護を持っていたのは前世の話だ。

転生したミーゼは新しい加護を得たのだろう。


「なるほどね。ミーゼは転生してどんな加護を得たのかしら?」


「推察力もあい変わらずね。さっきの話だけで加護によるものだって」


「ありがと」


「私が新しく得た加護は呪術神の加護よ。文字通りありとあらゆる呪いを司ることが出来るわ」


「やっぱり神族系の加護なのね。分身したり私の「フォーエバーブリザード」を無効化したのも呪いよね。分身は「魂分の呪い」で魂を強制的に半分にして「再生」で再生させたのかしら?氷を壊したのは「腐敗の呪い」かしら?」


「ご名答」


「魂分の呪い」とは文字通り呪いをかけた対象の魂を強制的に二つに分けるという強力な呪いだ。

普通なら敵の魂を破壊するのに使うものだ。

だがミーゼは自分に使い、半分となった魂を再生神の加護で強引に再生することで分身を創り出したのだろう。

「腐敗の呪い」は文字通り対象を腐らせる呪いだ。

氷は普通腐るなんてことはないが、呪術神ともなればそんなことだって出来るのだろう。


「はぁ、呪いについてはあまり詳しくないけどまだまだたくさんあるわよね」


「えぇ、まだまだ手札はあるわよ。まぁミコに通じるのなんてほんの少しだけど」


そうミーゼは笑った。


「そう、ならまた見せて頂戴」


私はそう答えるのだった。


「そういえば、ミコは最後。どうやって呪いを無効化したの?」


「あぁ、「魔力封じの呪い」のこと?」


「そう」


ミーゼは最後、私の心臓を貫いたときに「魔力封じの呪い」を発動していた。

「魔力封じの呪い」とは文字通り対象が魔力を操れないようにする呪いだ。

だがその時点で私は既にミーゼが呪いを使っていること気づいていた。

だから対策もできた。


「時間差で「ディスペル」を発動しておいたのよ」


「そのタイミングで既に見抜かれてたってわけか」


「ディスペル」とは無属性最上級魔法で呪いを無効化することが出来る魔法だ。

「レジスト」の呪い版といった感じの魔法だ。

それを時間差で発動することによって呪いを受けた次の瞬間に呪いを無効化したのだ。


「さてと、ミーゼ。今回、私達が戦った理由は覚えているかしら?」


「ミコの独占欲が爆発しちゃったからでしょ」


「間違いではなけど、そう言われると心にくるものがあるわね」


確かに間違いではない。

間違いではないのだが、もう少しオブラートに包んでほしい。


「ミーゼ、協力しない?」


「協力?」


ミーゼが首を傾げる。

確かにいきなりそんなことを言われたらそうなるのも無理はない。


「そ、ミーゼは私がシンを堕とすことについて協力して頂戴。その代わり、私もミーゼがシンのことを堕とすのに協力するわ」


「それ、ミコになんのメリットがあるのかしら?ミコなら別に私が協力しなくてもシンを堕とすことできそうだけど」


「勿論、協力がなくても私はシンのことを堕とすわ。私の目的はシンの一番になること。そしてシンの周りを私達で固めること」


「前者は分かるけど、後者の意味が分からないわ。周りを固めるってどういうこと?」


「既にシンのことを好きな人はたくさんいるわ。だから多分シンの周りにはたくさんの女の子がいることになると思うの」


「そうね。その相手は私が信用できる人でいてほしいなっていうだけ」


「なるほど、つまりさっきの戦いは試験でもあったわけね」


さすが、ミーゼは鋭い。

そう、先ほどの戦いで諦めるようなら私はこんな提案をしなかった。


「そ、でもただ貴方達を助けるのは癪に障るから私のことも手伝ってほしいのよ」


「なるほど、ちなみに今その協力関係にあるのは何人?」


「貴女以外だとセーラだけね」


「ふふ、分かった。その提案、受けるわ。私はミコがシンのことを堕とすことに協力するわ。その代わり私が魔王様のことを堕とすのにも協力して頂戴」


「OK、それで行きましょう」


そうして私とミーゼは握手した。

今日の私の目的は完了だ。


「そういえば、ミーゼ」


「何かしら?」


「シンからミーゼに聞いておいて欲しいって言われてたのだけれど他の聖剣の場所ってしらないかしら?」


「聖剣?正教会にはもうないと思うわ。でも、一つ心当たりがあるわ」


「心当たり?」


「「勇者」って魔王城以外にちょっとした家見たいな場所があったじゃない?」


「そういえばあったわね。ほとんど使っていなかった記憶があるけど」


「「勇者」ってあそこを物置のように使っていた記憶があるわ。もしかしたらそこに残してるかも」


「なるほど」


その後、私とミーゼはそれをシンに伝えた。

シンはそれを聞いてにやりと笑った。

その夜は私とミーゼとシンで添い寝したのだった。


ちょっと無理矢理だったかな?

でもミーゼとミコの恋愛面での協力関係が今後の展開に必要だったから仕方ない。

それとミーゼの呪術神の加護についても出しておきたかった。

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