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第168話 正教会

今日も少し短めです。

全然投稿できていなかった分を巻き返せてない!!

もう少し余裕が出来たら頑張ります。

また教会事情について作者は詳しくないため間違いなどがあったら教えてくれると幸いです。


ナイト王国の王都にある正教会の教会は大騒ぎだった。

突然、教会に倒れた勇者が現れた。

そしてその勇者の胸ポケットに入っていた手紙には聖女であるミゼが聖教会を抜けることが書かれていたのだ。

そのことはすぐさま正教会の本部である正教国の大聖堂に伝わった。

正教国とは国民全員が正教会の信徒であり、王も正教会の教皇だ。

正教会の国と言っても過言ではないのである。

ちなみにだが、正教会とナイト王国の間には小国が二つほどある。





正教会教皇視点


私は正教会の教皇であるロールルング16世だ。

今日、私がいる正教会の大聖堂にナイト王国の教会から聖女ミゼが正教会を抜ける意思を示したと連絡が入った。

ミゼ・ダラ・クイートは正教会で最も強い人物だ。

一般的人には正教会では勇者であるモノルワ・リーヒットが最強であると宣言している。

だが、それは嘘だ。

ミゼ・ダラ・クイートは勇者であるモノルワ・リーヒットを遥かに凌駕する戦闘力を持っている。

モノルワ・リーヒットとの摸擬戦では面倒ごとを避けるために手加減をしているようだが、ミゼ・ダラ・クイートの魔力量ははっきり言って人間じゃない。

一度彼女の魔力圧をくらったことがあるが、私は一瞬で気絶してしまった。

彼女は絶対に他人にステータスを明かさない。

彼女のことを「鑑定」しても普通の少女のようなステータスしかない。

明らかに現実と釣り合っていないステータスだ。

恐らく彼女はステータスを偽装する術を持っているのだろう。

だから聖教会には彼女の全力を知るものはいないのだ。

とりあえず、私は彼女と話をすることにする。

そう思って私はすぐにナイト王国に行く準備をしようとする。


「教皇様、大変です!」


だが、そんなタイミングで私の部下が部屋にいきなり入ってきた。

普段は絶対にありえない行動だが、私の部下は相当慌てているようだ。


「どうしたのです?」


私は彼に要件を聞く。


「す、ナホア枢機卿がナイト王国王家に宣戦を布告しました」


「な、なんだと!」


ナホア枢機卿である人物はとても頼りになる人物だ。

それと同時に、かなり信仰心の強い信徒だ。

ナイト王国への宣戦布告の理由は勇者の聖剣やアーティファトなどをことごとくとして奪ったからだろう。

勇者についての情報はすぐにここに回ってくる。

私はすぐさまナホア枢機卿の元に移動する。


「ナホア枢機卿、どういううことですか?」


「教皇様。申し訳ございません。ですが私は我が正教会の英雄である勇者、ひいては正教会そのものを侮辱するナイト王国を許せないのです。特に勇者から聖剣やアーティファクトを奪ったユレイズ公爵家を、そしてそれと仲良くする周りの存在が」


ナホア枢機卿はそう私に熱弁した。

確かに気持ちは分かる。

分かってしまう。

私だって正教会の信徒だ。

教会の英雄である勇者を侮辱する者を許せるはずがない。

私たちがそう話していると突如光る魔法陣が出現した。

そして次の瞬間には、聖女であるミゼ・ダラ・クイートが現れた。


「聖女殿?いったいどういう。いえ、今はそれどころじゃありません。何故あのような手紙を?いや、今はそれすらどうでもいいか。正教会はナイト王国に戦争をしかけます、準備なさい」


枢機卿は不遜な態度でミゼにそう命令する。

だが、どうしても私は聖女殿を信じることが出来ない。

明らかに、雰囲気が違うのだ。

普段の怠惰で面倒くさそうな雰囲気ではなく、とても生き生きとした表情の聖女が。

私は怖くて仕方がないのだ。

別に聖女殿を怖がる要素などどこにもない。

だけど、どうしても聖女殿に恐怖を感じてしまう。

きっとこれは本能的なものなのだろう。


「誰にものを言っているのかしら」


ミゼから物凄い魔力圧が解き放たれる。

私も枢機卿も立つことが出来なくなって膝をついてしまう。


「あら、これで膝を付けるのね。ならもう少ししても大丈夫かしら?」


するとミゼからの魔力圧が強くなる。

私も枢機卿も膝をつくこともできなくなって倒れ伏してしまう。


「この時代にしてはマシな方ね。まぁ、昔とは比べ物にならないほど弱いけど」


「き、貴様。いったい、何の気だ?ここは大聖堂、神の御前であるぞ」


「たかだか神の御前だからって何?っていうかこんなところに神なんていないし」


ミゼはあざ笑うようにそう言った。


「貴様も信徒だろう。たかだか神だと、気がふれたか?」


「あはは、私は元々こうよ。ただ隠してただけ。さてと、じゃあさっさと絶望してもらいましょうか」


「なん、だと」


その瞬間ミゼの服装が変わる。

正教会の聖女としての服装から黒いドレスのような服装になる。


「あ、あ、ひぃ」「ま、まさか」


私もナホア枢機卿も思わず息をのんでしまう。

なにせその服装は、伝説の存在とまったく同じ服装だから。

それも悪い意味の。


「ふふ、さすがに知っているようね。さて、それじゃあ答え合わせの時間よ」


そう言ってミゼは更に魔力圧を強くする。


「せっかくだから、分かりやすいように名乗ってあげるわ。私は、魔王軍最高幹部七魔公第三席「聖女」ミーゼ・セイント・ライトダークよ。以後、お見知りおきを」


ミゼ、いや、ミーゼはそう言って笑った。

本来ならば何を馬鹿げたことをと一蹴するところだろう。

だが、私もナホア枢機卿も本能でそれが嘘ではないと感じ取ってしまった。


「う、嘘だ。魔王は4000年前に滅んだはずでは。それとほぼ同時期に「聖女」は消息不明となっていたはずだ」


「えぇ、そうね。だって私は転生したのだもの」


「て、転生。だと」


「そ、おかげで再び魔王様にお仕えすることが出来るようになったわ」


「ミーゼ殿、貴方は私たちを殺そうとここへ?」


私はミーゼ殿に確認する。

ミーゼ殿の目的を探るためだ。


「まさか、それが目的じゃないわ。勿論、邪魔するなら殺すけど」


ミーゼが殺気を放つ。

それだけで私は逆らってはいけないと本能で感じ取った。


「今回私が来た目的は忠告と、正教会にある神器の回収よ」


「忠告?」


神器の回収は分かるが、忠告とは?


「ナイト王国への宣戦布告を取り消しなさい。さもなければこの国が滅ぶわよ」


なるほど。


「ナイト王国?魔王軍幹部である貴様とナイト王国に何の関係が」


頭の固い枢機卿にはわかっていないようだ。


「ナイト王国には貴女達魔王軍の拠点があるからですね」


「魔王城か」


枢機卿もどうやら分かったようだ。

ナイト王国には魔王軍の本拠点である魔王城がある。

恐らくそこに被害がいくのを避けたいのだろう。


「勿論、それもあるわ」


「他に、何か、あるのです、か」


「ふふ、転生しているのが私だけだと思う?」


その発言に私も枢機卿も思わず目を見開く。


「ふふ、既に魔王軍の幹部は半数以上集まっているわ。勿論、魔王様もね」


「シン・ソードロード」


私は小さくそうつぶやいた。

魔王の転生体として、最も怪しい存在はシン・ソードロードだろう。

学園対抗戦は私も見たが、魔王というにふさわしい力だった。


「あら、正解よ。そう彼が我が主、魔王ゼロ・コラプス・クリエイトブレイク様。正解したご褒美に魔王軍の情報をいくつかあげる。「魔王」の転生体はシン・ソードロード。「災禍」の転生体はミコ・マジクロード。「聖女」の転生体は私、ミゼ・ダラ・クイート。「魔神」、「黒蝶」、「執事」は転生していない。「勇者」と「死生」は転生してるわ。誰かは分からないけどね」


そう言ってミーゼは笑った。

だが納得だ。

それだけの存在ならばまだ幼い勇者であるモノルワ・リーヒットが圧倒的に負けるのも納得できる。


「さてと、それじゃあお別れの時間ね」


そう言ってミーゼは立ち上がった。

とりあえず、ミーゼが立ち去ったら魔王軍についての会議を開かなければ。

私がそんなことを考えていると、突然胸に激痛が走る。


「「ガハッ」」


そして私とナホア枢機卿は同時に吐血する。


「あは、二人とも心臓を貫いたわ。あ、でもこれじゃ宣戦布告の取り消しができないわね。まぁ教皇とかが死んだら戦争どころじゃなくなるしいいか。じゃあさようなら」


ミーゼがそう言って出ていった。

それが私の最後の記憶だった。





ミーゼ視点


「結構ため込んでたわね」


正教会の本部である大聖堂の宝物庫にはそれはもうたくさんの神器や魔道具があった。

私はそのすべてを「ストレージ」にしまった。


「これだけ持って帰れば褒めてもらえるかも?」


私は今から考えて顔をほころばせる。

そうして私は魔王城に帰って「ストレージ」からとってきたものを全て魔王様に献上した。

その後、魔王様に頭を撫でてもらって、抱きしめてもらって、添い寝してもらった。

とても至福の時間であったことをここに記しておく。

教皇は一人称が私ですが男です。

今回はミーゼちゃんのための回でした。

ちなみにミーゼちゃんが魔王軍のことをペラペラ話していたのはどうせ殺すと決めていたからです。

最後に枢機卿と教皇をの心臓を貫いたのはただの「ライトランス」でした。

追記:現時点での最新話の都合で枢機卿に名前を付けてなかったので付けました。

誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。

気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。

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異常者の恋愛は異常です

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