第157話 モノルワ・リーヒット
今日も少し短いです。
本日二話同時投稿。
この話は二話目です。
僕の名前はモノルワ・リーヒット。
僕は男爵家の次男として生まれた。
母上も父上も兄上も皆優しい家族だ。
領主は兄上が継ぐ。
長男なのだから当然だろう。
兄上はいつもそれを申し訳なさそうにしていた。
僕は全く気にしていない。
僕は勉強もしっかりして、訓練して強くなって兄上を家臣として支える。
そう思って過ごしていたら僕は7歳になった。
するとある時、町中に魔物が侵入してきた。
リーヒット男爵領には魔物が出る森があり、その中にはダンジョンがある。
父上はいつになく真剣な表情でダンジョンスタンピードだと言っていた。
父上は兵を率いて勇敢に戦っていた。
兄上は将来の領主として俺の姿を見ろといって父上たちの戦っている姿を見学しておくよう言われた。
僕もそれについてきた。
父上も兵士たちも皆勇敢に戦っていた。
だが魔物の数が多く、一匹の狼の魔物が兵士たちを抜けてきたしまった。
その狼の向かう先を見ると、俺と同じくらいの女の子がいた。
とても美しい女の子だった。
そんな子が魔物に襲われようとしていた。
助けなきゃ、助けなきゃ。
僕は駆け出して持ってきていた剣を引き抜いて狼の魔物を刺した。
僕はまだ魔物を殺したことがなかった。
それでも必死に狼の魔物を刺した。
狼の魔物に殴られて傷を負った。
だけどそれでも刺し続けた。
そして僕は人生で初めて魔物を倒した。
そこで僕は気絶した。
そして目を覚ますと僕は家のベッドだった。
あの後すぐ、スタンピードは鎮圧できたらしい。
女の子もきっと助かったことだろう。
僕は目を覚ましてから力が溢れてきいた。
なので僕は兄上に「鑑定」してもらった。
すると、僕に「勇気ある者」っていう称号が出てきたらしい。
聞き覚えのない称号だったため僕達は父上に称号のことを言った。
すると父上はすぐに教会に連絡してくれた。
スキルや称号に関しては神から与えられるものなんだから、教会に聞くのが確実らしい。
そして数日後、僕達は教会に行った。
すると教皇様が出てきた。
何でも「勇気ある者」の称号は勇者の証だと教えてもらった。
そこから僕は寮を離れ、王都に引っ越した。
僕は教会に勇者に認定されたのだ。
父上たちは頑張ってこいって送り出してくれた。
そして僕は教会で働いた。
訓練をして、民を苦しめている魔物を倒したりした。
僕が勇者だというのが色々なところで広まり始めたころ、僕は教皇から聖女であるミゼちゃんを紹介された。
彼女も僕と同じように「聖女」の称号を持っているらしい。
ただ僕と違って平民らしい。
だけれど、彼女は強かった。
訓練場で摸擬戦をするが何もできずに倒されてしまった。
僕達はよく二人で仕事をするようになった。
ミゼちゃんは普段は回復に徹している。
僕を立ててくれているのだろう。
だけれどミゼちゃんはあまり人と話さない。
まるで興味がないようだ。
僕はミゼちゃんと話がしたくて神様の話をしてみた。
聖女の称号を持って教会に所属しているのだから神様の話には興味があるだろうと思ったのだ。
だけれど、ミゼちゃんはまるで興味がないといった様子だった。
そして僕とミゼちゃんは15歳となり王立第一学園高等部に入学した。
本当は中等部から入学したかったのだけれど教皇様が許してくれなかった。
僕は入学式の次の日、クラスで摸擬戦をするというので僕は強いと噂になっていたシン君に一緒に戦わないかと話しかけた。
だが、僕の提案が受け入れられることはなかった。
シン君は周りの被害を考えることなく僕を魔力圧だけで倒した。
何でも僕が敬語を使わなかったのが気に障ったみたいだ。
だけど、ここは身分が平等な学園だ。
だがシン君はそんなことを全く気にした様子もなく権力を振りかざしてきた。
そこまですることないじゃないか。
そもそもシン君だって元はと言えば平民だろうに。
僕は怒ってユレイズ先生に注意をするように言った。
だが、ユレイズ先生はシン君に注意をすることはなかった。
しょうがないから僕がシン君に指導をしようとしたとき、僕は白い鎖に縛られた。
この鎖はミゼの物だ。
以前魔物を縛っていたのを見たことがある。
何故ミゼがこんなことをしたのかは分からないが僕は鎖を何とかしようとした。
だが、何もできなかった。
ミゼが強いということは知っていたが、ここまで強いだなんて思っていなかった。
あれよあれよと言う間に僕は教会に戻ってきていた。
そしてミゼにひたすらにシン君達の行動を話してきた。
その時のミゼの表情は今までに見たことないくらいの満面の笑みだった。
まるで神様の話をするほかの信徒たちのような表情だった。
そして僕は次の日、学園に行った。
が、シン君達はいなかった。
何でもシン君達は授業を免除されているらしい。
しかも内部進学の人達はそれを当然だと受け入れているらしい。
こんなの可笑しい、こんなのひいきだ。
僕はユレイズ先生にひたすらに不満を言い続けた。
するとついにユレイズ先生が折れてシン君達と摸擬戦をすることが決まった。
そして摸擬戦当日、僕はボコボコに負けた。
人数は圧倒的にこっちが有利だった。
それに相手側にはハンデもあった。
だけど僕は負けた。
それもシン君ですらなかったのだ。
後から聞いた話だが僕が負けたのはユレイズ先生の妹兼婚約者らしい。
いや、婚約者ってどういうことだ?
同姓のそれも姉妹で婚約なんてどう考えてもおかしいだろう。
ユレイズ先生もその妹も顔はいい。
いい相手なんてたくさんいるだろうに。
やっぱり狂人の考えは理解できない。
僕はこの王立学園でシン君達に勝つことを目標にした。
きっとシン君達はあの摸擬戦の時何かズルをしたんだ。
そうじゃないとおかしい。
いつかその秘密を暴いてやる。
僕は勇者なんだ。
あんな奴に負けるわけない。
僕がこの話をしたとき、ミゼは心底あきれたという表情をされた。
何故だろうか?
ミーゼ視点
「はぁ、馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけどここまでとは思わなかったわ」
私は教会なんてどうでもいい。
それに教会が信仰している神なんぞ魔王様の前ではすべてが塵芥同然だ。
私が教会に身を置いている理由は一つだけ。
魔王軍の怨敵である教会の情報を集めるためだ。
私は今、「メモリートレース」で現代の勇者の情報について調べていた。
レイメスの「勇者」が転生しているという情報を知り、怪しい人物は調べるということになっている。
この勇者もないとは思うが一応可能性がゼロでもないため「メモリートレース」で調べた。
まぁ結果は外れだったわけだが。
というか、驚いた。
こいつは本当の意味での勇者ですらなかったのだ。
今勇者は眠っている。
だからこそ「メモリートレース」も容易にすることが出来た。
とりあえず、魔王様の報告に行くとしましょうか。
私は「テレポート」を発動して魔王城に転移した。
私が「テレポート」したのは謁見の間だった。
私は自分の部屋に「テレポート」したはずだ。
こんなことを出来るのは魔王軍で二人しかいない。
そしてその片方は有り得ない。
つまり、必然的にもう一人になる。
「「災禍」、何か用?」
そう、世界最強の魔法使いであるミコだ。
「貴方には先に伝えておこうと思ったのよ」
「何をかしら?」
「「勇者」についてだけれど探す必要はないわ」
「どういうことかしら?」
私はミコに問う。
「「勇者」の転生体だけれど既に見つけているの。ただ記憶を失っているからなるべく言いたくないのよ」
「なるほど、でもなんでそれを会議で言わなかったのかしら?」
「簡単よ。記憶を失っているということはそういう転生方法を使ったという話。つまり、「勇者」の記憶は一生戻らない可能性もある。だからぬか喜びさせないためよ」
「なるほど」
「わざわざ調べてもらったのに悪いな」
「いえいえ、それに収穫がなかったわけでもないですし」
「そうなのか?」
そして私は魔王様と「災禍」に収穫を話した。
二人が珍しく驚いていたが、すぐに納得したような表情になった。
まぁアレは弱すぎたから正直納得だ。
その後私は魔王様に頭を撫でてもらったり、頬のキスしてもらったりした。
昔、報酬に困った魔王様に報酬が何がいいかを聞かれて甘やかしてって言ったらこんな感じの事をしてくれる量になった。
昔の私、グッジョブ。
珍しくシン君視点ではなかったですね。
まぁ馬鹿の過去です。
馬鹿は見方を変えれば普通に主人公。
作者はそういうキャラをイメージして書きました。
シン達は別に正義の味方ではありません。
別に人を殺すことにだって躊躇いを覚えません。
それは正義にとっては悪でしょう。
だが、それこそ作者の追い求めるシンなのです。
シンの性格は冷静でクールかつ冷酷。
だけれど仲間には激甘というイメージです。
そしてミコ達も似たようなものです。
ちなみにこの章で馬鹿を退場させる予定でしたが少し決めあぐねてきました。
もうちょっと使えそうな気もする。
誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。
気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。