第151話 魔力吸収
今日も短めです。
後で追加しておきます。
私はシンに魔力をひたすらに吸われていた。
シンが魔力衝動を引き起こしたのだ。
シンはひたすらに私から魔力を吸い取って吸収していく。
一昨日の私はこんな感じだったのだろうか。
私はもう動けないほどの脱力感を感じていた。
そしてシンに与えられる快楽に悶えていた。
その快楽の狭間で私は思考する。
冷静に考えれば一昨日の私もずっと我慢していたシンの血を吸えると思ってシンのことなんて全く考えずにひたすらにシンを貪っていた。
いや、シンのことは考えていたか。
ひたすらシン好き大好きということを考えていた。
ただシンが苦しそうな事とかは全く気にかけていなかったというだけだった。
そして私は快楽と脱力感、更に悦びを感じていた。
今、この時間はシンは私の事だけを考えているのだ。
私はセーラのことも親友として大好きだ。
だからシンを共有してもいいと思っている。
だけれど、私も女の子なのだ。
大好きな人を独占したいという思いはある。
シンはかなりの量の魔力を吸収している。
シンがこんな風に私の魔力を吸収することは4000年前もあった。
ゼロの魔力衝動を抑えるという目的も勿論あったが七魔公の褒美として行われることが多かった。
まぁ私は魔王の身内特権で七魔公内でも断トツでゼロに魔力を吸収されていた。
私が魔法神の加護の恩恵で魔力の質が良く、量もたくさんあるので最適だとゼロに売り込んだのだ。
だけれどシンは明らかに4000年前よりも魔力の吸収が上手くなっている。
昔よりも快楽が大きいのだ。
まぁぶっちゃけ4000年前は今よりも快楽は小さいけれど私が快楽に耐性がなかったので私の感じる快楽はそこまで大きく変わらないが。
そしてシンは私の体内魔力の9割を吸いつくした。
私の魔力は恐らくこの世界で最も多い。
そんな私の魔力の9割は滅茶苦茶な量だ。
それをシンは全て吸ったのだ。
恐ろしい、魔力を吸う方だってかなり強い快楽を感じるだろうに。
しかもシンはまだまだ私の魔力を吸う気のようだ。
「シン、もう無理ぃ。限界ぃ」
私はついにシンに根を上げた。
これ以上魔力を吸い取られると快楽で果ててしまい、脱力感で1日は動けなくなるだろう。
「おっと、悪い。吸いすぎた」
そうしてシンは魔力吸収を辞める。
私の頭はもう正常に機能していない。
「シン、大好き」
私はそれだけ呟いて意識を失った。
シン視点
俺は魔力衝動を起こしてしまった。
魔王の力を取り戻してから、その予兆はあったのだ。
半人半魔としての特性の問題なので魔王である俺でもどうしようもない。
だが、耐えることは出来た。
そう耐えることが出来ていたのだ。
ついさっきまでは。
普段の魔力循環というだけなら快楽を感じるだけで済んだ。
だが先ほどの摸擬戦ではミコは俺に大量の魔力を流した。
ミコはあくまで俺に強烈な快楽を感じさせて気絶させるつもりだったんのだろう。
魔力循環はミコから流された分だけ俺の魔力をミコに流すから何とかなっていた。
だけれど、先ほどはただ俺の体内にミコの魔力が流されただけだった。
つまり俺はミコに流された魔力を吸収してしまったのだ。
そのせいで俺は我慢できなくなった。
あれだ、断食中にほんの少しでも食べ物を食べたらもう断食とかできなくなる奴だ。
しかもミコの魔力はとても美味。
ぶっちゃけ魔法神という魔力関係の事柄において最強の存在であるミコの血は世界で一番美味だ。
お腹が空いているときに超高級料理を食べて、まだまだ目の前に超高級料理がたくさんあるというのに我慢しろというのは無理な話だ。
そして俺は本能の向くままにミコの魔力を吸収した。
常人とは比べることなんてできやしないほどの魔力を持っているミコの魔力のほとんどを吸収した。
明らかにやりすぎだ。
だが悔いはない。
ミコだって俺の体内の血の大半を吸血で吸ったのだからこれでとんとんだ。
俺はそう心の中で言い訳をしながら気絶しているミコの頬を触る。
そのまま俺はミコが目を覚ますまでミコの頬を堪能したのだった。
数時間後
「う、ううん」
ミコが目を覚ました。
「シン、おはよう」
「あぁ、おはよう。ごめん、魔力吸いすぎた」
「魔力?あぁそうだ、私シンに大量の魔力を吸われて気絶したんだった」
「すまんな」
「別にいいわよ。むしろ気づけなくてごめんなさい。私だって吸血衝動で迷惑をかけたしこれでとんとんということで」
「そうだな」
そして少しばかり無言の時間が続く。
「とりあえず、ベッドから出ましょうか」
「そ、そうだな」
そして俺達はベッドから出る。
だが、俺は長時間ベッドで寝ていたせいでバランスを崩してしまう。
俺は咄嗟に近くの椅子を掴む。
バキッ
だが椅子は折れてしまった。
支えるものがない俺は地面に倒れてしまいそうになる。
「シン」
が、ミコが俺の手を掴んで俺を支えてくれた。
「ミコ、助かった。ありがとう」
俺はミコにお礼を言った。
「どういたしまして。さてと、なんだか既視感のある光景だわ」
ミコは俺が壊してしまった椅子を眺めながらそう言った。
具体的に言えば昨日見た気がする。
「これが前世で言うところのデジャブというものか」
「デジャブ?何それ」
「前世で既視感を表す言葉、らしい。俺はそういうのに疎かったのでもしかしたら間違っているかもしれんが、使い方はそんな感じだった気がする」
「よくわからないけれど、シンの前世の世界の事もまた教えてね」
ミコはそう言いながら笑った。
「あぁ、俺達には時間がたっぷりあるからな」
俺はそうミコに笑い返した。
「とりあえず、私がそうしたようにミスリルで力の加減が出来るようになりましょうか」
魔族は魔力を吸えば吸うほど強くなる。
吸った魔力の質が良ければ良いほど強くなる。
吸血鬼とかなり近い種族だと言えるだろう。
ただ吸う物が血か魔力かという違いだけだ。
そして俺はミコの魔力という最上級の魔力を大量に吸った。
おかげで俺はかなり強くなっただろう。
そして俺は少し前のミコと同じくミスリルで力の加減の練習をした。
そして何とか力の加減が出来るようになった。
そして俺とミコはある取り決めをした。
最低でも週に一度はミコに俺が血を与え、俺にミコが魔力を与える。
一週間たっていなくてもどちらかが欲しくなったらすぐに与える。
ただ蘇生は出来ると言っても殺さないようにする。
恐らく俺もミコも感情が高ぶればお互いを殺してしまう。
そして俺もミコもお互いに殺されるのならば恐らく抵抗はしない。
少なくとも俺はミコに殺されるのならば抵抗はしないだろう。
それくらいには俺はミコが好きなのだ。
「「「「「ただいまー」」」」」
そんなこんなをしているうちに学園が終わり、セーラ達が帰ってきた。
「「おかえり」」
俺とミコはセーラ達に出迎えの挨拶をする。
「ミコ、力の加減は出来るようになったの?」
「えぇ、何とか出来るようになったわ」
「ならよかった」
セーラは心底安堵した様子だった。
「ねぇねぇシン、ミコ。明日ね面白いことをやることにしたの」
すると俺達Sクラスの担任であるユアが面白いことをやると言ってきた。
「「面白いこと?」」
俺とミコはユアに聞き返す。
「そう、面白いこと。実は明日、私たち対他のSクラス全員の摸擬戦をやるのよ」
その答えはユイから帰ってきた。
「何故そんなことをすることにしたんだ?」
俺は素直に聞く。
「実は今日、外部入学組が私たちが特別扱いなのがおかしいって言って騒いでたの」
するとゼミルが答えてくれた。
「あぁ、俺たちが授業を免除されていることについてか」
「そういうこと、それを知った一部の外部入学組がユアに抗議をしたのよ」
どうやら俺とミコが休んでいる間に少しばかり面倒なことが起きているようだ。
「勿論内部進学組は止めてたんだけど、一部の外部入学組がうるさかったのよ」
「それで私に抗議してきたからユイ達の実力を知らしめるいい機会だと思って明日を丸々一日その摸擬戦にすることにしたのよ。勿論、マーゼ学園には許可をとっているわ」
「事情を話したら苦笑いをしていたけれど」
「なるほど、だからミコに力の加減が出来るようになったのか聞いたのか。俺達が出れるかを知るために」
「そういうこと」
そして誰からともなく俺達は全員で笑い合う。
「なら示してやるとするか、俺達の力を」
俺達は全員でSクラスのやつ全員をぼこぼこにすることにしたのだった。
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