第130話 暗殺者
今日も短いです。
すみません。
俺たちは会議室から部屋に戻り、適当にくつろいでいた。
具体的に言うと、俺は「創造」で便利道具をたくさん創っていく。
モニターや念話のできるピアスなどだ。
ミコは「魔法創造」で新しい魔法をたくさん創っている。
セーラとゼミルは俺が「創造」で創った駒と盤でチェスをしている。
ユアは本を持っている。
ユイはそのユアの膝の上に乗っている。
二人ともただ密着していたいだけなんだろう。
ユイは満面の笑みでユアを見ているし、ユアは本を持っているが明らかに読書をしていない。
何故なら約1時間前からページが一切めくられていないからな。
まぁ、本人たちが嬉しそうだからいいが。
「チェックメイト」
「私の負けね。セーラ強すぎ」
セーラとゼミルのチェス対決はセーラが勝ったようだ。
「私、チェスには自信があ」
俺たちは全員すぐに「サーチ」を発動する。
(何人かしら?)
ミコはすぐさま「念話」を発動する。
(合計15人だな。色々なところに潜んでいる。おそらく暗殺者だろう。普通ならこの時間は寝ているからな。俺たちには「睡眠・休養不要」があるからな)
俺も「念話」を発動し、返答する。
俺たちが急に「念話」で会話しだしたのは暗殺者に少しでも情報を渡さないためだ。
「睡眠・休養不要」というスキルは文字通り、睡眠や休養を自然魔力を吸収することによって不要になるスキルだ。
寝ようと思えば寝れるし、休もうと思えば休めるが、寝たり休まなくても問題ない状態になる。
睡眠欲に関してはONとOFが出来る。
ちなみに俺たちは全員基本はONだ。
睡眠が好きなわけではないが、睡眠欲は三大欲求の1つだからな。
必要がなくても長期間しないとストレスがたまるからな。
ただ「魔力循環」の時などの寝たくないときはOFにするが。
(とりあえず、相手はまだ俺たちが気づいているということに気づいていない。このまま俺たちはベッドに入って寝たふりをしよう。ベッドは俺が「創造」で創る)
そう言って俺たちは寝室にミコの「エリアテレポート」で転移して俺は「創造」でベッドを2つ創る。
俺たちの部屋には元々シングルサイズのベッドが3つあったが3人で同じベッドで寝るとなった時に片づけて俺が新しくキングサイズのベッドを「創造」で創った。
そのため今の俺たちの部屋にはキングサイズのベッド1つしかなかったのだ。
なので俺は新しいベッドを創った。
俺たちが普段寝ているキングサイズのベッドはかなり広いので6人一緒に寝ることが出来るが、さすがにゼミルやユア、ユイと一緒に寝るのはまずいだろう。
なので俺はベッドを創ったのだ。
1つは普通のシングルサイズ。
もう1つはダブルサイズだ。
(ちょっと待って。シン、ミコ、セーラが大きなキングサイズのベッドで寝るのは分かるわ。でもシンが創ったベッドは2つ。それじゃあ私、ユア、ユイの3人が寝るんだからベッドが1つ足りないわ)
(いやこれであっているぞ。だってユアとユイは同じベッドで寝る。だろ」
(あぁ、なるほど)
((シン。ありがとう))
そう、俺がベッドを2つしか創らなかったのはミスではなくあえてだ。
婚約者であるユアとユイのために。
俺たちはすぐにベッドに眠りについた。
すると、扉が開く音がした。
一般人ならこの時間は深い眠りに落ちているし、そもそも聞こえない程度の小さな音だ。
しかし、聴覚というのはレベルの上昇と共に良くなっていくためレベルが高い俺たちは普通に聞き取ることが出来た。
(どう対応する?殺す)
(それもいいが。部屋を汚したくない。だが証拠は欲しい。「蘇生」を使うのは面倒だし生かして捉えるのがベストだろう)
(((((了解)))))
(具体的にはどうする?)
(「テレポート」で転移させればいいと思う)
(どこに?)
(魔王城の牢屋だ。あそこなら暗殺者程度が逃げ出すことなど不可能だ)
(なるほどね)
(それじゃあ暗殺者を察知次第、俺とミコで暗殺者たちを魔王城の牢屋に「テレポート」させる。魔王城の牢屋を知っているのはこの中じゃ俺とミコだけだからな。他のやつらは俺たちが逃がした敵がいたら報告してくれ)
こうして総勢15名の暗殺者たちが魔王城の牢屋に送られたのだった。
ちなみにゼミル達もそのまま俺たちの部屋で寝た。
翌日
「う、うーん」
俺は目を覚ました。
俺の右横にはミコが、左横にはセーラが寝ている。
これにも慣れたものだ。
俺は態勢を起こす。
すると、普段とはまた違った印象の寝顔を見せるゼミルと。
1つのベッドに抱き合いながら気持ちよさそうに寝ているユアとユイが目に入った。
そういえば昨日は暗殺者が侵入したから全員この部屋で寝たんだったな。
「うみゅ、うゆ」
するとミコが起きた。
眠そうに眼をこすっている。
「シン。もう起きてたのね」
「あぁ、ついさっきだけどな」
「そう。とりあえず何か飲み物もらえないかしら?喉が渇いちゃって」
「分かった」
俺はそう言って「創造」でコーラを創りだし、それをミコに渡す。
ミコは一度俺が「創造」で自分用に創ったのを飲んだ時にとても気に入ってよく俺にねだるからな。
ミコはすぐに受け取ってコーラを飲んだ。
「ぷは、やっぱりコーラは美味しいわね。いつかシンのいた世界にも行きたいわね」
「俺達ならいつかは出来るだろうな。「テレポート」を改良すればいいからな」
「さすがに異なる世界への転移は簡単には出来ないでしょうけどね」
「そうだな。まぁ俺達に不可能などないさ。いつか研究してやってみよう。俺達には無限の時間があるんだからな」
「そうね」
俺とミコはそんな雑談をして朝の準備をする。
俺達が朝の準備をしている間にセーラ達も起きてきた。
セーラ達も朝の準備を行う。
そして全員分の朝食を俺が「創造」で創り、食べる。
そして全員すぐに食べきった。
ちなみにだが、ユアとユイは互いに食べさせ合っていた。
「今日はどうするの?」
「とりあえず昨日送った暗殺者たちを魔王城に見に行こうと思う」
「確かに色々聞いとかないといけないしね」
「場合によっては拷問しなきゃだし」
「私たちでやりましょう。国の拷問官は信用できないわ」
「そうね」
「賛成」
というわけで俺達は「テレポート」で魔王城の牢屋に転移した。
「魔王城の牢屋ってこんな感じになってるのね。結構綺麗ね」
「普通にホテルみたいだけど」
「魔王城の牢屋って基本的には疑われている状況の人しか入らないから」
「どういうこと?」
「普通牢屋って罪人を入れる場所でしょ」
「そうね」
「でも魔王城の牢屋は違うわ。魔王城の牢屋は基本的にその事件の犯人として疑われている人しか入らないの」
「何故?」
「理由はいくつかあるけど1つ目は罪人は基本的に死刑か更生施設入りになるからね」
「更生施設?」
「そう、魔王国の法律では違法をしたものは基本的に死刑以外ならば罰金刑叉は更生施設入りなの。更生施設っていうのは罪を犯した人を文字通り更生させる施設ね。更生させるっていうのも拷問とか厳しい労働とかじゃなくてカウンセラーとの面台とかを繰り返す感じね」
「緩くないかしら?」
「そもそも魔王国で法を破る者ってほとんどいなかったのよ。犯罪の回数は1年で大体2件くらいね」
「とても少ないわね」
「魔王国の民は基本的に魔王様に忠誠を誓った人達だからね。その命令ともいえる法律を破る者なんて基本的にはいないし、いるとしてもどうしてもお金がなくてだとか、何かしらの病気を患っていたりとか何かしらの理由があって仕方なくって人が多いの。逆に納得できる理由がないのに犯罪を犯した場合は基本的に死刑になるわね」
「なるほど。だからカウンセラーとかなんだ」
「そういうこと。お金がなくてって人は仕事の左遷とかもあるわね」
「なるほど」
「それにしてもそんな法律で国がまとまっていたなんてよっぽどシンは良い王だったのね」
「そうね」
「そう言われるのは嬉しいが、それだけじゃない」
「と言うと?」
「全員が全員、俺に深い忠誠を誓っていたわけではないからな。ただ、もしこの国で大事を起こすならば王である俺に粛清されるわけだからな。俺の力を身をもって体験しているやつが多い魔王国内で俺は抑止力でもあったってわけだ」
「なるほどね。ナイト王国で再現することは不可能だけど魔王国は凄かったのね」
「それでも魔王様がいなくなったら割と簡単に滅んじゃったみたいだけどね」
「面白いわね。もっと昔の魔王国について知りたい」
「いいわよ」
そんなこんなで俺達は昔の魔王国についてセーラ達と話しながら暗殺者たちを転移させた牢まで歩いていくのだった。
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