第128話 宣戦布告
今回短めです。
すみません。
修正 シンが侯爵になっていました。正確には辺境伯であるため修正しました。
他にも同様の事例を見つけましたらご連絡くださると助かります。
異常個体の魔物を創り出していた男を殺してから数日、俺たちはレイルに王城に呼び出されていた。
俺たちは全員寮で集合してからミコの「エリアテレポート」で王城に転移した。
転移した先は以前にも一度来た会議室の前だ。
コンコン
「セーラです。お父様」
「入っていいよ」
そうしてセーラは会議室の扉を開ける。
そして俺たちは会議室に入る。
そこには他の家臣が既に集まっていた。
「失礼します。お父様、ご用件は何でしょうか」
「とりあえず皆座ってくれ」
レイルがそう言ったので俺たちは開いている席に座る。
「単刀直入に言おう。ナイト王国は隣国であるジテイ国に宣戦布告された」
家臣たちが驚いた様子がないところから恐らく既に知っていたのだろう。
「宣戦布告の理由は?」
「何でもこの国の兵士がジテイ国に攻め入ったらしい」
「それは本当なのですか?」
「そんな事実はない。十中八九でっち上げだ。そしてジテイ国の兵は既にこの国に進軍してきているらしい。数は現在確認されているだけでも100000。大してこちらの国がすぐに出せる兵は50000が限界だ。時間さえ稼げればもう少し用意できるが、間に合わない」
「それで私の、正確に言えばシン達の力を借りたいと」
「情けない話だけどね」
「陛下。いくら強いからといって子供を戦争に使うなど」
「そうです。未来ある子供に死地に向かわせるなど」
家臣たちは俺たちの戦争参戦に反対のようだ。
この国はやはり優しい国だな。
「シン。私は今回の戦争でシンに命令することはないわ」
「セーラ王女。それはそこの護衛騎士が戦わないと言えば戦わないおつもりか?」
すると、家臣の一人がセーラを非難する。
「そうね」
セーラは家臣の言葉を肯定する。
「、、貴女は王女だろう。そして力もあるのだから戦うべきだ」
この家臣はセーラに戦争に出てほしいらしい。
「お父様、お父様は私たちに戦争の参加を強制するつもりはないんですよね?」
「そうだね」
「陛下。ここまで強い者を戦争に使わないとはどういうおつもりか?あれだけの力があれば兵1000人分の活躍はするでしょう」
家臣はレイルに進言する。
だがそれに反応したのはセーラだった。
「訂正なさい。シン達がたかだか兵1000人程度の力しかないわけないでしょう」
セーラは濃密な魔力圧をその家臣に向かって放つ。
勿論気絶しないギリギリにしている。
だがそのせいでその家臣は口を開けないようだ。
「いいぞ」
俺は言う。
「その戦争。俺は参戦しよう」
「私も参戦するわ」
「私も」
「私もよ」
「ユアが参戦するのなら私も」
といった感じで俺たちの戦争の参加が決定した。
勿論だがセーラも戦争に参加すると言った。
「シン君達、ありがとう。助かるよ」
レイルは俺たちに感謝の言葉を述べる。
「構いません。なんなら今から潰して着ますよ」
そう言って俺は「サーチ」で敵軍の場所を把握し、近くに「テレポート」で転移した。
ミコ視点
シンが敵軍の近くに転移した。
私は「ストレージ」からシンが以前に、セーラの試験をレイル達に見せるために創ったモニターと鳥を取り出す。
シンから面白いからと貰っていたのだ。
私はモニターに魔力を流し、鳥を「テレポート」でシンの傍に転移させる。
するとモニターにシンの姿が映し出される。
「「「「「「「っな」」」」」」」
家臣たちが驚いているが今はどうでもいい。
さて、私はシンの戦う姿をじっくりと鑑賞するとしよう。
シン視点
敵軍の傍に転移した俺は「フライ」で空を飛び、上空から敵軍を観察していた。
すると突然、俺の傍に以前俺がセーラの試験のために創った鳥が現れた。
恐らくミコによるものだろう。
さて、さっさと終わらせないとな。
俺は風属性上級魔法「メガホン」という魔法を使用する。
この魔法は自分の声を増幅する魔法だ。
俺は高度を下げる。
すると、敵軍が俺を警戒して弓を構えた。
「貴様。何者だ?」
すると良い服を着た男が俺に向かって叫ぶ。
恐らく貴族だろう。
それもかなり上級の。
「俺は、ソードロード辺境伯家当主。シン・ソードロードだ」
「ソードロード。あのシン・ソードロードか。その力は聞いている。というか学園太鼓戦で見させてもらった」
「そうか。まぁどうでもいい。俺はナイト王国国王であるレイル・ナイト陛下の願いを叶えるためここに来た。よって、貴様らを排除させてもらう」
「ふむ。私とて君ほどの実力者と戦いたくはない。どうだ、こちらにつかないか?この戦争の兵力の差は君も理解しているだろう。そして君たちが掴んでいる情報は間違っている。こちらの兵が10万というのは油断させるためにながした誤情報だ。私たちの戦力は既にその倍以上存在する。君も、わざわざ負け戦をする理由もあるまい。私はジテイ国の王子なんだ。君が私たちを助けてくれるのならば相応の地位を用意しよう。なんならミコ嬢が一緒でもいいぞ」
男は俺に裏切れと提案する。
今「サーチ」して、兵力の差が倍以上というのは嘘じゃないことは確認した。
だが、こいつは今致命的なミスをしている。
「ふふふ、あはは」
俺は笑う。
笑うしかないだろう。
「何を笑っているのだ?」
王子が訝し気に俺をにらむ。
「いやいや、笑ってしまってな」
「兵力の差が倍?そんなの関係ないな」
俺は周りに「絶対防御結界」を張る。
これによって結界内には俺と敵軍のみとなった。
俺は「無限収納」から神魔と王魔を取り出す。
「ワンハンドレットスラッシュ」
俺は左右合わせて1000回剣を振り斬撃を放つ。
その斬撃には大量の魔力を込めた。
一撃で山を切り裂く斬撃を1000放つ。
それらすべてが敵軍に向かって飛んでいく。
敵軍は成すすべなく全て切り裂かれた。
鎧すら残らなずに消滅したのだ。
だが、あの王子は生かしておいた方がいいな。
俺は蘇生の効果を持ったアーツを創り出す。
このアーツは昔、よく使っていたものだ。
だが、ちゃんと機能するかはまだ分からないから今回の王子は実験対象としてちょうどいいだろう。
問題はあの王子の魂が先の技で完全に消滅したことだ。
まぁ偽魂で何とかしよう。
「蘇生」
俺はスキル「蘇生」を発動する。
すると俺の目の前が光り、王子の体が出現した。
だが、魂がないためこれだけじゃただの人形だ。
そこに俺は「偽魂創造」で偽魂を創り出す。
そして創り出した偽魂を王子の体の中に入れる。
「っは。なんだ?」
王子は目を覚ました。
「お目覚めか」
俺は王子に話しかける。
「お、お前はシン・ソードロード。そうだ、私はナイト王国に進軍していたのだった。何故兵たちがいないんだ?」
王子は周りに俺と自分以外いないことに気づいて俺に問う。
「殺したからさ。塵も残らずな」
「そんな。馬鹿な」
「お前だって死を実感しただろう」
「そうだ、私はお前に殺されたはず。何故私は生きているんだ?」
「蘇生したんだよ」
「蘇生だと?そんなことが可能なわけがない」
「可能なんだよ。俺はな。さてと、それじゃあとりあえず「黒鎖」」
俺は「黒鎖」で王子を拘束する。
「お前は捕虜として連れていく。それまで眠ってろ」
そう言って俺は王子の首に手刀を叩き込み気絶させた。
ミコ視点
私たちは会議室でモニターを見ていた。
家臣たちは勿論、レイルや途中から参加したミリーとセイルまでシンの力に啞然としていた。
それはそうだろう。
一瞬で10万の兵を全滅させ、王子を蘇生させたのだから。
「あ、あれだけの力。学園対抗戦ではあんな力を見せていなかったはずだ」
「人の蘇生だと。ありえない」
「これは、現実なのか?」
家臣たちは深く混乱しているようだ。
すると突然魔法陣が現れた。
それは「エリアテレポート」の魔法陣だった。
シンが帰ってきたようだ。
魔法陣が光り、それが収まるとそこにはシンと気絶した王子がいたのだった。
誤字脱字等ございましたらお気軽にご連絡ください。
気に入ってくださいましたら、ブックマーク、レビュー、評価いいね等よろしくお願いします。