第107話 神界
学園対抗戦編があまりにも長すぎるため少し章を少しいじりました。
具体的には第65話から第78話を学園対抗戦準備編にしました。
物語にはまったく関係ありませんが、ちょっとしたお知らせです。
俺はその空間に見覚えがあった。
そこはネロと会った空間にそっくりだった。
「なるほど、こうなるのね」
すると、ミコは何かを理解したようだった。
「ミコ、この場所はどういった空間なんだ?」
俺がミコに聞く。
それはミコ以外の誰もが思っていたことだ。
明らかにこの空間はおかしいのだ。
今までの異空間は魔力の色が出ていた。
黒い魔力をもつ俺の異空間である「黒世界」なら黒色が。
白い魔力をもつミコの異空間である「白世界」なら白色が。
銀色の魔力をもつセーラの異空間である「銀世界」なら銀色が。
俺とは少し違う闇のようなの色の魔力をもつゼミルの異空間である「闇世界」なら濃い紫色が。
あまり見たことないが赤色の魔力を持つユアの異空間である「赤世界」なら赤色が。
これもあまり見たことがないが青色の魔力を盛るユイの異空間である「青世界」なら青色が。
黒い魔力を持つ俺と白い魔力をもつミコの異空間を統合した「白黒世界」なら白色と黒色が。
黒い魔力を持つ俺、白い魔力を持つミコ、銀色の魔力を持つセーラの異空間を統合した「白黒銀世界」なら、白色、黒色、銀色が。
赤色の魔力を持つユアと青色の魔力を持つユイの異空間を統合した「紫世界」なら紫色が。
といった風にそれぞれの異空間には各々の魔力の色が出ていた。
だが、今回は違う。
色は白だ。
しかし、ミコの白とは少し違う。
まぁ、前世のどこかで白は200色あると聞いたからな。
それにしてもネロと会ったときも思ったが何とも不思議な空だ。
だが、以前とは違いなんだか万能感を感じる。
全員がミコの次の言葉に耳を傾ける。
この中で最も博識なのはミコだからな。
「まずここは「神界」と呼ばれる場所よ」
確かにこの空間を創り出す時に使った連携スキルの名前は「神界創造」だった。
ならここは「神界」と考えて間違いないだろう。
「「神界」って聞いたことはあるけど、具体的にどういう場所なの?」
「聖教会が言うには神界は神が人を見る場所で天国よりも良い場所で敬虔な信徒のみがその場所に行けると言われているわ」
セーラの疑問に答えたのはゼミルだった。
この世界にも宗教というのは存在する。
この世界に宗教はいくつもあるが、ナイト王国では聖教会がよく見られる。
ちなみに法律上では宗教の自由が保障されている。
「聖教会ってまだあるのね。まぁいいわ。それは完全な間違いとは言えないけど正解ではないわね」
「じゃあ「神界」ってどんな場所なの?」
「簡単に言うと神の家よ」
「神の家?」
「そう。だから神がいる場所っていうのは間違いじゃないわ。でも、敬虔な信徒がいける場所ってわけじゃないわね」
「それじゃあ、聖教会は嘘を言っているってこと?」
「そうね。昔から聖教会なんてロクな連中じゃないわよ。ねぇ、今の聖教会の言っている神ってなんて神かしら?」
「確か、女神ウェルネアだったはずよ」
ミコの問いにゼミルが答える。
「あぁ、変わってないのね。実を言うとその神って死んでるのよね」
「「「「え?」」」」
セーラ、ゼミル、ユア、ユイが驚く。
ナイト王国で最も大きい宗教ともいえる聖教会が言っている神が死んでいるだなんて思わないだろう。
「死んでるって。そもそも神って死ぬの?」
「普通に死ぬわよ。勿論、寿命とか病気は存在しないけどね」
「それじゃあ、どうやってその女神は死んだの?」
「魔王様が殺したわ」
「魔王が?そんな記録残っていないけど」
「そりゃあ、この話を知っているのはごく一部の人間だけだから」
「なんで魔王は女神を殺したの?」
セーラがミコに聞く。
「聖教会って魔族を敵視してるじゃない?」
聖教会は人間主義の教会じゃない。
亜人だろうとエルフだろうと気にしない。
だが、魔族だけは何故か敵視しているのだ。
「それは聞いたことあるわね。聖教会は魔族だけは教会内に入らせないって」
ナイト王国は他種族国家だ。
人間だけじゃなく、エルフや亜人もいる。
あまり外に出ないので見たことはないが。
大会の中にも何名か亜人はいた。
興味なかったのでどんな奴がいたのかまでは覚えていないが。
「それって昔からなんだけど、当時魔族が多かった魔王国は聖教会に敵視されていたの。それで聖教会が魔王国に宣戦布告してきたから、魔王様は当時の教会から出兵した兵を皆殺しにしたの」
「さすがの一言ね」
「それで、なぜ聖教会が魔族を敵視しているのかを調べたらなんでも神託で魔族を滅ぼせっていうものがあったらしいの」
「なるほど。だからその女神を信じていた聖教会も魔族を敵視し始めたわけか」
「それで、魔王様は元凶を殺そうっていって女神ウェルネアの神界に乗り込んで女神を殺したのよ」
「なるほどね。それで女神は何で魔族が嫌いだったの?」
「さぁ。私は知らないわ。多分ウェルネアと魔王様しか知らないんじゃないかしら」
「それじゃあ分からないわね」
「っと、話がかなり脱線しちゃったわね。神界っていうのは神が自ら創り出す家のことなの。だから弱い神など神界を持っていない神もいるわ」
「そうなの。そういう神はどうしてるの?」
「大抵は親の神の元にいるわね。たまに魔物や人間に変装したり転生したりする神もいるらしいけどあまり見たことないわね」
神と言うのはよくわからないな。
「そうなのね」
「それで、なんで俺たちは「神界」を創り出せたんだ?俺たちは神じゃないぞ」
「ここからは仮説だけれど、多分私たちの加護が影響していると思うわ」
「加護が?」
「そう。この中には4人も神族系の加護を持った人がいるわ。多分一人や二人じゃ神としての力が足りないけど今回は4人とユアとユイが力を合わせたから足りたんじゃないから」
「なるほどな。それで「神界」って何が出来るんだ?」
「ここが普通の神界と同じなのならそこまで大きく今までの異空間とは変わらないわ。ただ、シンプルに一人一人の魔力消費量が各段に少なくなったことと創り出せるものが増えたくらいじゃないかしら」
「創り出せるものが増えたってどういうことだ?」
「今までも異空間の力で椅子とか家とかを創り出すことが出来たじゃない」
「そうね」
「それが進化したのよ。具体的にはこんな感じ」
ミコがそういった瞬間、俺たちの目の前に海が出来た。
「これは凄いな」
「こんな感じで自然を創り出すことが出来るようになったわ。あと創り出したものの色が普通になったわね」
「普通に結構強くなったな」
「それにこの空間なら色々なことが出来るわね」
「海水浴とかも簡単に出来るな。しかも貸し切り」
「最高ね」
俺たちはしばらくそんな神界について話をした。
とりあえず、近々温泉を創り出すことが決定した。
「そういえば、忘れてたわ。シン、ミコ。二人が決勝戦で使った力についてまだ聞いてないわ」
「「「あ、忘れてた」」」
そういえば、異空間を創り出した目的は俺たちの力について話すためだったな。
普通に神界のことで忘れていた。
セーラに指摘されなかったらそのまま忘れ去っていただろう。
「それで、シンとミコのあの力って何だったの?」
ゼミルが聞いてくる。
俺もミコも力の正体に対して普通に話した。
「神化」のことやら「再誕」のことやらだ。
ぶっちゃけ、このメンバーはかなり信頼している。
今更隠すことなんて少ない。
精々、摸擬戦に勝つために自分の力を隠すくらいだろう。
そんなことを考えながら俺とミコは4人に話をし終わった。
「今でも世界を滅ぼせそうなくらい強いシンとミコが更に強くなっちゃったってことだけは分かったわ」
「貴方たちはどこまで強くなる気なの?」
「別に、俺たちは強さ自体にはそこまでこだわってないし。ただ、ミコに摸擬戦で負けたら色々されるから嫌だなってだけで」
その嫌っていうのも別に心から嫌がっているわけじゃない。
ただ、ミコの命令は快楽に溺れたり、普段着ないような服をきて演技したりと恥ずかしいことが多いのだ。
まぁ、俺も人のことは言えないんだが。
ミコが可愛いからね。
しょうがないね。
「さて、これからどうしましょうか」
俺とミコの力についての情報の共有も終わり、やることがなくなった。
「ユア、ご褒美が欲しい」
「分かったわ。何が欲しい」
「ユア」
「私?」
「そうユア。それじゃあ、ちょっと移動するね。何かあったら連絡して」
「ちょっと、ユイ?」
ユイはそう言い残して「テレポート」で消えた。
「ゼミル、一緒に魔境へ狩りにでも行きましょ。このままじゃシンとミコに追いつくとかいう次元の話じゃなくなっちゃうわ」
「いいわね。行きましょ行きましょ」
そう言って二人はセーラの「エリアテレポート」で魔境に行った。
そうして俺とミコの二人っきりになった。
「ミコ」
「なっ、なにかしら?」
ミコの目が泳ぐ。
俺が何をしようとしているのかを察しているのだろう。
俺は無言で「神界」の機能を使いいつもの家を創る。
そして、俺のベッドの上に「テレポート」で転移する。
「ミコ。賭けの勝利を使用する」
「ふぅー。覚悟を決めたわ。どこからでもきなさい」
「それじゃあ、始めるか」
「、、、、うん」
「覚悟を決めたんじゃなかったのか?」
俺は珍しくミコを煽る。
「うるさい」
そうしてミコはベッドに寝転がる。
そうして目を閉じる。
俺はミコの手を握る。
さて、それじゃあアレを始めるとするか。
俺とミコの間で快楽が大きすぎると、禁止になったアレをミコにすることにした。
番外編の幅が広がるぜ。(番外編を全然出さない人)
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