第1話 転生
初投稿です。
生暖かい目でご覧ください。
頂いた感想からいくつか情景等の描写について変更、追加しております。
気になる点、ご希望等ございましたら、感想で教えていただけたら嬉しいです。
~4000年前人間と魔族は協力し平和に暮らしていた。人間でも魔族でもない人間と魔族のハーフ、半人半魔の王がいたからである、その王は人間や魔族たちから魔王と呼ばれ恐れられていた。魔王にはどんなに強い者でも、どんなに強い軍でも、神でさえ滅ぼしてしまうほどの強さを持っていたのである。そしてその配下たちの力も強大で、一度魔王軍との戦争を始めようものなら、その軍は塵すら残さず、滅ぼされると言われた。中でも魔王軍の最高幹部である七魔公は皆規格外で一人一人が世界を滅ぼす力を持つとすら言われていた。特にその筆頭である災禍の魔女の力は魔王に勝らずとも劣らぬ力を持っていた。しかし、魔王軍が望んだ未来は破滅ではなく平和だった。人間と魔族が気兼ねなく接し協力することができる未来、それが魔王やその配下の望んだ未来だった。そして魔王は平和を実現し、死んだ。しかし魔王が死んでから400年後人間と魔族はまた争いだした。魔王がいなくなった時代にそれを止めるものは誰一人としていなかった~
(はぁ、今日も今日とて学校に行き、無意味な話を聞いて帰る、つまらない1日)
俺はそんなことを考えながら高校に向かっていた。
「「「キャーー」」」
突然、後ろから悲鳴が聞こえてきた、悲鳴が聞こえた方を振り返ってみると、そこには包丁を持って走る男がいた。
「邪魔だ!殺すぞ!!」
その瞬間、俺に包丁が刺さっていた。痛い、刺されたところが暑い、だが俺には焦りも恐怖もなかった。
(俺は、死ぬのか、刺されて死ぬとか物騒な、次の人生はもっと平和に生きたいものだ)
俺にあったのは、来世への僅かな願いだけ、そして俺は眠りについた。
「ん、んんん」
俺は目を覚ました、周りは白いなんとも不思議な空間だった。
「目を覚ましたようじゃな」
俺は声が聞こえてきた方を見ると、そこには白髪の老人がいた。俺は目の前の老人に向かって無意識に疑問を口にした。
「あなたは誰ですか?」
俺がそういうと白髪の老人が自己紹介をした。
「儂はネロ、人間からは神と言われている存在じゃ」
(こんな空間にいるんだし、神様じゃないなら何って話だな)
俺は急なことに混乱しつつも、目の前にいる老人の話を聞いてどこか納得していた。
「さて、儂が君をここに呼んだ理由じゃが、君はもうすでに君のいた世界では死んでしまった、というのは理解しておるかの?」
俺はネロの問いに対して必死に思い出せる限りのことを思い出し、答えた。
「はい、記憶が少しあやふやですが、確か通り魔に刺されて死んでしまいました」
俺の答えにネロは悲痛そうな表情を浮かべた。
「そうじゃ、普通なら人が死ねば、死後1時間程度で魂が肉体から出て、そこから数時間もすれば魂は消滅するのじゃが、お主の魂はいつまで経って消滅せず、さまよっておったたのじゃ、じゃから、儂はお主の魂を保護したのじゃ」
「それはなぜですか?」
俺はとても不思議だった。
俺は別に神様を信じていたわけでもなければ、生きていたころの行いが特別善い行いだったわけでもないのだからだ。
俺の問いにネロは申し訳なさそうに答えた。
「それはまだ言えん、お主があることをなしたとき、その時に必ず説明すると約束しよう」
ネロは申し訳なさそうに言った。
俺は残念に思いつつも、神様にも言えない事情はあるだろうと納得した。
今生かしてもらえているだけで、とても幸運なことだからだ。
「分かりました、ネロ様がそういうのなら、俺はその時を持つことにします、では、これから俺はどうすればいいでしょうか?」
俺はそう質問した。
意味もなく神様がわざわざ魂を保護するなんてこと、普通はありえないだろうし、俺にとってこれからのことは自分の運命にかかわる大切なことだからだ。
なので俺はこれからどうなるのか少し、いやかなり気になっていた。
「お主には儂の世界にきてもらえぬかと考えておる」
俺はネロの答えに自分の耳を疑った。
このような状況なのだから、別世界に行くとなっても驚くことはないだろう、近年異世界に転生したり転移する小説や漫画、アニメが流行っているから、普通の一般人なら喜ぶことだろう。
しかし、俺はそのような小説や漫画、アニメを読んだり、見たことがないので知識がまったくと言っていいほどなかった。
そのため、俺はすぐに理解できなかった。
俺は状況を整理し、数分考え、ようやくこの状況に納得することができた。
「儂の世界、ということは、ネロ様は俺がいた世界とは違う世界の神様なのですか」
そう、俺が状況を整理する過程で最初に気になったのが、異世界というものが存在するということに対してはそういうものだと納得した。
しかしネロの儂らの世界にきてもらう、という言葉はつまり自分たちは異世界の神でわざわざ別世界で死んだ俺のことを自分達の世界に招こうとしている。
ということになるのだ、しかし疑問の後半部分はなんとなく聞かない方がいい気がしたので、疑問の前半部分、ネロは異世界の神なのかという部分について質問した。
「そうじゃ、お主からしたら、儂は異世界の神ということになるの。あと儂に様付けも敬語もせんでよいぞ、儂は堅苦しいのは嫌いじゃし、儂らは人の心を読むことができるから、敬語を使っても意味なんてあってないようなもんじゃしの」
俺はまた、しばしの間考える。
異世界の神ということは、俺が行く世界はやっぱり異世界。
まぁ一度死んだ身、今話せているだけで儲けものなのだ。
さらに新たな生をもらえるというならば、俺からすれば願ってもない話だ、俺はネロの願いに二つ返事で承諾した。
「分かった、ネロの世界に行きたいと思う。でも急に人間が現れれば、ネロの世界の人たちは驚くんじゃないか?」
俺が承諾したことにネロは嬉しそうに頷き。
そして俺の問いに答えた。
「それに関しては大丈夫じゃ、お主には12歳の新しい体を用意し、その体にお主の魂を入れる。お主は18歳じゃから、転生という形になるのう。最初は今と同じ年齢の体を用意しようと思ったんじゃが、こちらの都合で12歳の体になってしまったのじゃ、まぁ日常生活には問題なかろう。それに、お主が最初に目覚める場所は、比較的安全で周りに人がいない森じゃ、それにお主をサポートしてくれる仲間も向こうの世界に用意しておる。ちなみにじゃが、その仲間はお主と一緒にいても違和感のないように外見はお主と同じ12歳じゃが、中身はお主と同じで12歳じゃないから、安心してお主は仲間を頼るがよい。第二の人生を楽しんでおくれ」
俺は至れり尽くせりだなと感じた。
転生してもう一度生きることだけではなく、安全の保障とサポートしてくれる仲間まで用意してくれるだから、ネロが何を考えてるかはわからないが、なるようになるようになるだろう。
せっかく得た第二の人生、楽しませてもらおう。
俺はそう考えて、ネロ達に色々なことを聞いてみることにした。
「分かりました、最後にネロ達の世界について少し教えてもらえないか?仲間がいるとしても、せめて少しぐらいは知識を身につけておきたい」
俺としては右も左も分からぬ異世界、仲間がいるにしても少しでも情報が欲しい。
俺はそんなことを考えながら質問した。
「そうじゃの、まぁお主のいた世界とはほとんど別の世界といっても過言ではない、レベルや、魔法、スキルなどもあるし、獣人や亜人、魔族など人間と同等の知能を持つ種族は数百といる、また、動物が変化した魔物という人間と敵対する生物が存在する、お主の世界からしたらまさにファンタジーじゃろうな」
俺は、ファンタジー物の小説は読んだことがなかったので、あまりよく知らなかったが、言葉の意味は正確に把握していたので、確かにファンタジーだなと思いながら相槌を打った。
「確かにファンタジーですね、俺がいた世界ではありえないことです」
俺の返答を聞いて、ネロはうんうんと頷き説明の続きをした。
「そうじゃな、あと儂の世界には加護というものも存在する。基本的には何かの才能や力に秀でたものが与えるもので、絶対に一人につき一つはあるもんじゃの。まぁ例外もあるが、まぁそこら辺のことも仲間に聞けばよい。あの子ならたいていのことは何でも知っているはずじゃから、後は仲間の過去については本人が話そうとしない限り無理に聞かないで上げてほしい、あの子もとてもつらい過去があるからの」
俺は頷き、そしてまた考え込む。
俺にとってはあまりよく知らない分野の言葉だから記憶の片隅から言葉の意味を引っ張り出してこなければならないのだ。そして状況を大体整理出来たら、後は仲間のことについてだ、まぁネロがこういうのなら、俺は何も聞かないでおこう、俺にとって聞いても何もメリットないし、俺はプライバシーを侵害するようなことはしない。
「分かりました」
俺の答えにネロは心底安心したような表情になった。
「そうか、ありがとう」
ネロは俺に感謝の言葉を述べた。
すると、俺の体がだんだん光ってきた。
「そろそろお主は儂の世界に行かねばならないようじゃ。まぁお主にはいつでも儂と話せる道具を渡しておくから、何かあったら聞くがよい。儂は何があってもお主の味方じゃから」
ネロはそう笑いながら言った。
「ありがとう、じゃあまた話そう」
俺は最後に神としてではなく味方として言った。
「お主の人生に幸あれ、第二の人生を楽しむのじゃ」
そう言われ、俺は頷いた。
俺は新しい世界への期待を胸に俺の意識は眠りについた。
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