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閑話休題10〜心の底

 いつも元気なリリーが熱を出した。



 オウカ公爵はそれはそれは大変心配して、……仕事を休んだ。今頃きっと皇帝が皇城で頭を抱えているだろう。


 タツァックは学園を休……もうとしたが、呆れ顔の母親に追い出されてしまった。



「貴方がお休みなんてなさるからっ!! タツまで休もうとするではありませんかっ!!」


 今はオウカ公爵にオウカ公爵夫人がお説教をしているところだ。


「明日は倍速で始末して帰るから大丈夫っ」


 そう早口で言うと、もう手を振りながらリリーの部屋へ向かっていた。

 オウカ公爵夫人は溜息しか出ない。



 こんなに娘を溺愛する様な人が、本当に鬼のオウカ公爵と呼ばれているのかと、夫人は不思議でならない。


 本人が嫌がるので、実はオウカ公爵夫人として未だ夫の仕事をしている姿を見に行ったことがないのだ。

 鬼のオウカ公爵と聞いた時は、夫のことだと本当に分からなくて、先代の事だとずっと信じていた。





 リリーはいつも元気で活発だが、数年に1度のスパンで熱を出す。今回はその2回目だ。



「お父様、リリーはもうしんどくて疲れました。眠って良いですか?」


 消化に良さそうな朝食も少ししか食べられず、リリーは赤い顔で、見ている側も辛くなりそうだ。



「ちゃんと起きてくれるなら、いくらでも眠ってくれて構わないよ……ちゃんと、起きてね」


 心配症のオウカ公爵は、リリーがずっと眠りについたらどうしようかと、リリーの発言に動揺している。



「ふふ、起きます。ご馳走様でした……おやすみ、なさい」


 リリーはコテッと眠ってしまった。


 娘の看病をする貴族の父親なんて、オウカ公爵くらいだろう。

 夜を徹しようとしたので、夫人に連れて行かれてしまった。


「明日はお仕事に行って下さいませ!! 皇帝から手紙が来ておりましたから」






「あ、ダメだよ! リリは病み上がりなんだから、もっとおとなしくしてて!!」


 リリーが回復したと聞いて、皇妃がユウとアキラを連れてオウカ公爵邸へやって来た。



 到着してからはずっとアキラが甲斐甲斐しくリリーの世話をしている。


「今日は俺が全部してあげるから!」


「ふふっ、アキラ、もう私大丈夫よ!」


 そう言うリリーを椅子やソファに座らせている。



「ダメダメ、移動も抱っこするから」


「ええ?! そんなの無理よ」


 驚いたリリーは、笑いながらアキラを見ている。


「大丈夫! 見てろよ」


 そう言うと、アキラはリリーをお姫様抱っこして持ち上げた。


「わぁ! すごい!! アキラは力持ちね!!」


 そのまま優しく一回転すると、リリーは嬉しそうに拍手した。



「俺だって出来る!!」


 自分の出番がなくムッとしているユウが口を出してきた。


 最近ユウは何でもアキラに競いたがり、「俺だって」が口癖のようだ。

 因みに、現時点で7才のユウはリリーより背が10センチ程低く、勿論リリーより体重も軽い。



「ユウは……潰れちゃうと私が悲しいから、また背が同じになったら、お願いするわね」


 ユウは不貞腐れたがリリーのお願いを聞くことにした。最近は自分のしたいことを押通そうとするお年頃になってきたが、リリーの言う事は必ず素直に聞く。


「わかった……」


 その様子を、居合わせた大人達に毎回しっかり見られているなんて、今のユウは知らない。



 2人共リリを大切に思ってくれていそうだけれど、あの子は囲い過ぎるきらいがあって少し危ういわね。

 まぁ……まだまだ子どもだし、成長を見守るしかないけれど。


 オウカ公爵夫人は、アキラを見ながらカップに手を伸ばした。






 リリが大好きだ。



 出来る限りで構わないんだ。



 リリを



 喜ばせるのも、


 怒らせるのも、


 哀しませるのも、


 楽しませるのも、



 全て俺が良い……




 だから、いつも近くに居たい。




 閉じ込めることは出来ないから、


 それこそ出来る限り男も女も近寄らせないようにして、




 俺だけのリリに




 なったら良いのに。




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