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60…剣術大会④微かな希望

『リリ、おめでとう。やるじゃない!』


 学園の庭園で少しゆっくりしようと、リリーはベンチに腰掛けたところだ。

 リリーは照れ笑いしながら嬉しそうにトロフィーと聖剣を持っている。

 ユウが少し貴賓としての用事を済ませてから来るからと、聖剣を渡されたのだ。



「聖剣のおかげよ、ありがとう」



 聖剣をベンチに立て掛けると、絶賛不機嫌なユウが現れた。


「……聞いたぞ」



『ぶっ。ぎゃははははは!! お前は無様だったわね?! 思った以上に、上手くいって! あはははははは!! あぁーー可笑しい!! これだけ恥かいたら、ぶはっ、癖も、ぐふっ、直るでしょう?』


 いつになく舌好調な聖剣は、何だかキラキラ光っているようだ。



「今日という今日は、折ってやる……まじで」


 聖剣を手に、目が据わっているユウは魔力を練り始め、勢いよく振り上げた。



『ちょちょ、ちょっと待ちなさいっ!! 悪かったわよ!! 謝るから! 代わりに良いこと教えてあげるから!! そのトロフィーのことよ!!』


 聖剣から汗が見えそうなくらい、焦っている。



「ユウ、待って……ねえ、聖剣、このトロフィーのこと?? 学園の物でしょう?」


 ユウはリリーに腕を持たれて制止されたので、急に萎んだ様におとなしくなった。



『そうよ、それ! 何か見たことあるわねって思ったのよ! 私達のことを知りたがってるでしょ? ちょっと関わってるのよねぇ』



「……確かに、触れている時、魔力に似た何かを感じるの。でも魔力ではなさそうで」



 『やっぱりそうなのね』と2人に聞こえないように呟いて、聖剣は早口で話し始めた。


『あ、リリ、それを渡してやって。試しにお前が触っても何も感じないはずよ』


 リリーはユウにトロフィーを渡してみた。

 ユウは何も感じないらしく、首を捻ってから横に振った。



『リリなら、私達をどうにかできるかもしれないわ。あの子もリリに近付けるようになるかもね』



「アキラのこと?!本当?!」


 微かな希望の光が見えた気がして、リリーもユウも久々に目が輝いた。



『さぁ、問題よ。学園にある物ってことは、学園の何処かで使う物なのよねぇ。リリ、心当たりはないかしら? お前は無理……というか、リリ以外が感じ取ることは難しいはずなのよねぇ』




「……あっ、あの部屋! でも」



 あの場所はタイムも不思議な感じがすると言っていたし、違うかしら。



「真白な無機質な部屋が……」



『!!!! その部屋に行けば、分かるわ』



「直ぐに行こう。あ、リリ、疲れてるか?」


 ユウはフットワークが軽いので即行動になるが、今日リリーは剣術の試合を何試合もしているので、念の為聞いたようだ。


「全然! 平気よ」


 魔力量だけでなく体力オバケでもあるリリーには、やはり愚問だった。



「でもね、聖剣。以前、タイムを案内した時に、彼も不思議な感じがするって言っていたの。あ、タイムはパクツ叔父様の息子なんだけど」


 学園の地下へ向かいながら、リリーは不思議に思ったことを聖剣に聞いてみることにした。


『あぁ、あのイケメンの! アレは感知能力が高いタイプみたいだから、息子もそうなのかもねぇ。人間には珍しいタイプよねぇ。本当勿体無いわ。あっちと婚約出来たら良いのに、ねぇリリ』



「ええっ?! 何言ってるの、聖剣!! 婚約者はユウなのよ!!」


 ウィステリア候爵を推す聖剣は勿論、あわあわなっているリリーを見るのも、ユウは何だかモヤモヤして不愉快になってきた。


「これ以上戯言を言うなら……折られるのと、破壊されるの、どっちが良いか今すぐ選べ」


 ユウは、今日はもう聖剣に優しく出来ないらしい。



『どっちも封印じゃない!? 嫌よ?! んもー、冗談よぅ。怒らないでくれる?!』



 そんなやり取りをしていると、例の真白な部屋に到着した。


「……綺麗だな」


「とっても不思議なの。何かに満たされているような、守られているような、そんな感覚がするの」



『奥を見てみて。それを置く場所があるはずよ』



 祭壇のような所まで行くと、4箇所凹みがあるのが見えた。

 リリーは凹みにトロフィーをそっと置いてみた。



「ピッタリだわ」


トロフィーが仄かに輝いた。


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