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57…剣術大会①リリーいきます!

「剣術大会に女が出るらしいな」

「どうせやらせだろ?泣いて終わりだ」

「相手は誰だ?あ、知り合いだ。あいつは負けないだろ。それなりに強いから」

「女なんて男の機嫌とって刺繍してりゃ良いんだよ」



 男子学生達が聞くに耐えられないようなことを話している。



「チッ潰してぇな」


 ウィステリア侯爵として来たパクツがイライラしながら横目に見ている。


「しなくて良いよ。あんなのは相手にする時間が勿体無い。どこぞの子爵や男爵の子どもだよ。候爵の親戚の子もいるね」


 オウカ公爵は相手にしていない様に振る舞いつつ、しっかり見ている。


「……どこの誰かチェック済みか。つーか覚えてんの貴族の当主だけじゃねぇのか」


「子ども世代は覚えてるよ。タツやリリに釣書を送ってきたりするから覚えやすいよね。僕は仕事にこっそり私情を挟みまくる性格だから、皆気を付けないといけないのにね」


 薄ら笑顔のオウカ公爵の隣で、パクツがドン引きしている。


「相変わらず怖えな……」




 学生は勿論、学生達より恐ろしい話をしている大人達も、そうでない大人も、今日は学園のコロシアムに集まりつつある。




 今日は学園の四大イベントの1つ、剣術大会の日だ。




 リリーは早めに学園に到着して、生徒会としての準備をしている。

 貴賓、来賓や参加者、審判をする剣術の先生方、関係者の控室や物品の整理等、今まであれほど準備してきたにも関わらず、当日する事も山のようにあるから不思議だ。



 学生は制服だが、ユウは貴賓扱いなので皇族の服、リリーは白っぽい騎士のような服を着て、髪もまとめている。



 リリーの服装は、オウカ公爵が呼んだテーラーに基本はまかせたが、リリーのこだわりとして襟や服の端は丸くしてもらった。


 動きやすい女性の乗馬服を基本に、そして主に装飾に騎士らしさを取り入れた。そうすることで、ただの乗馬服にはならない。

 リリーの細身ではあるが鍛えられて引き締まった体に良く似合う。


 今朝も通り過ぎる男子学生のみならず女子学生達も、何度も振返っては頬を赤くして目をキラキラさせていた……のを、ユウは見た。



 勿論、生徒会メンバーに会った時も、皆に大絶賛されてリリーはホクホクで嬉しそうだった。



 ユウは勿論楽しくない。


 けれど、アキラに以前言われたこともあり、顔に出さないように今非常に頑張っているところだ。


 今朝迎えに行った時、衣装を一番に見て欲しかったと照れながら言っていたリリーは可愛かった。



 しかし、あれ以来、特に進展がキレイに何も無いのがユウは面白くないのだ。


 学生のうちは家族と居たいと言うので、リリーが皇城に住むのは本人が学園を卒業してからになってしまったし。

 どうやらオウカ公爵だけでなく、小公爵のタツァックまでもが阻止すべく動いていたようだ。

 オウカ公爵家の男達はリリーを囲い込み過ぎている気がして、ユウは不満しかない。



バンバンバン


 剣術大会の開会式10分前を知らせる花火が上がった。



 そんなユウに全く気付かず、リリーはウキウキしながら第一回戦の控室へ向かった。





 毎年アキラとユウが貴賓席に座っているのだが、今年はアキラは地方への視察を理由に欠席、ユウだけで座っている。


 それをリリーは遠目に見ながら、一回戦目の自分の名前が呼ばれるのを待っている。



「リリー・カノ・オウカ」


 初の女性参加者ということで、人々の会話で賑やかだった会場が静まり返った。

 リリーと相手の足音しか聞こえない。




 中央で一礼をして剣を抜く。


 手加減はしないと言って切りかかってきた相手の剣を受けた後、リリーは軽くやり返した。



 本当に軽く、軽くやり返したのだ。



キィン……



 相手の剣が場外に飛んでいってしまった。



カランカラン……


 剣が転がった乾いた音だけが静かな場内に響く。



 この大会では、剣を相手の喉元に突き付ける、または相手自身もしくは剣を場外に出した場合、勝者となれる。





「あ、ら……?! 勝っちゃったかしら」




 呆気に取られたリリーは、会場の中央で苦笑いしながら首を傾げている。


 どよめいている会場の中で、オウカ公爵とパクツだけはリリーと同様苦笑いしていた。



「レベルが違い過ぎるんだよね」



 勿論、ユウは頭を抱えている。



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