表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/127

56…リリーのお願い

 学園での授業が終わって帰宅直後、リリーは会うべき人が居る部屋へ向かった。


 リリーは未だ嘗て、オウカ公爵の執務室を訪れる際にこんなに緊張したことがない。

 それなりに緊張することはあったけれど、今まで以上だ。

 深呼吸をして、よしっと気合を入れて、ノックした。



コンコン


「……お父様? 今よろしいですか?」


 そろーっと扉を開けて中を覗くと、リリーは執務中のオウカ公爵と目が合った。


「ああ、リリ?? どうしたんだい?」


 気不味くなって目を逸らしながら話を続ける、挙動不審なリリー。


「あの、ええっと、私、学園の……」


 オウカ公爵は続きが分かってしまい、スンと表情を無にしてしまった。

 この時期の学園といえば、アレしかない。



「お父様、お願いします! 生徒会で今準備をしているのだけど、どうしても例年と違う盛り上がりが欲しくて……女性が出ると、雰囲気が違うかしらって」


 リリーは両手で祈りながら、まるでオウカ公爵の前で懺悔をしているかのようだ。



 出たら、良いとこまでいっちゃうんだろうね。


 オウカ公爵は、どうせ出るなら……と言いたいところだが、悩みに悩んだふりをして参加を許可をすることにした。



 「少しのことで、棄権しないこと。盛り下がることをしないこと」を条件に。

 リリーがそんなことをしないことは分っている。けれど、知らない体でいるからには、必要なものだが……

 魔法も解禁にして楽を覚えたオウカ公爵は、実はその設定もそろそろ面倒くさくなってきている。



「勿論です!! ありがとうございます、お父様!!」


 リリーはウキウキで部屋を出ていこうとしていたが、はたと立ち止まって振返った。



「お父様、良かったら、見に来てくれませんか??」



 是非とも!と答えたいところ、オウカ公爵は冷静ににっこり笑ってみた。

 以前食い気味で答えたらリリーに塩対応をされてしまい、若干トラウマがあるのだ。



「パクツでも誘ってみようか」


 リリーは嬉しくて嬉しくてしょうがないという顔をしている。


「必ずですよ!! お待ちしてますね」



 リリーは部屋を出て、スキップしながら部屋に戻っているらしく、陽気な足音が聞こえてきた。

 遅れてシリイの嗜める声が聞こえてくる。



 オウカ公爵はふふっと笑いながら、パクツに連絡を取ることにしたが……



「あぁ、その前にそれ相応の服を作ってやらないと! テーラーに連絡させなきゃ」



 リリーの要望も入れて完成した服は、後日女性の中で大ウケすることになる。







「皆さま、おはようございます!」


 リリーが元気よく生徒会室の扉を開けた。

 勿論ユウも一緒だが、リリーの後ろで何故か元気がない。


 学園行事が近くなると、生徒会メンバーで打合せ等のために授業前に集まったりする、今日はその日だ。



「皇太子殿下、リリー様! おはようございます」


 みんなと挨拶を済ませ、笑顔のままでリリーは皆に向かった。



「聞いてください! 私……父から参加の許可が出ました!!」



 えーー?! と皆驚いているけれど、1人ユウだけは目が虚ろになっている。



「頑張って下さい! 私達応援します!」

「俺達に出来ることがあれば言ってください」

「怪我はしないで下さいね」


 もう、皆で大盛りあがりだ。

 ユウを除いて。





「ええ、ありがとう。頑張るので、応援して下さいね!!」






 リリーは学園の秋の剣術大会に、初の女性参加者として参戦することになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ