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45…秘密のお披露目

 パクツは周りを振り払うのが精一杯になってしまった。


 放たれた矢に反応が遅れてしまう。




「クソがっっ」





 その時、眩い閃光が辺りを照らして目の前が真っ白になった。




 と思った瞬間、轟音が響いた。





 パクツは自分が無事なのかどうかさえ分からず、やっと視界が晴れてきたので、辺りを見回した。

 自分を弓で狙っていた者と周りにいた者達が、向こう側の壁にめり込んでいるのが確認できた。

 矢はもう跡形もない。


 広間に居る全ての人間が、閃光が来た元を辿って見た。














 オウカ公爵がいる。





 前に出していた手をゆっくり下ろしながら、パクツを確認した。



「ああ、間に合ったね」



「おまっ……」


「実戦はかなり久しぶりだったから、ちゃんと狙えるか自信がなかったんだけどね! 良かった良かった」





『あなたのお父様、自信なかったとか言ってるわよ』


 聖剣の加護のお陰で、リリーは瞬きすることもなく、この一部始終を見ることが出来た。

 驚きで声が出せず、聖剣に返事が出来ない。


 今まで一度も、リリーは父親が強力な魔法を使っている場面を見たことがなかった。

 公爵家は元々魔力は多く強力な方だが、父親に関してはそんなに使えないのだと勝手に思っていた。





「お前のそれは、最後の切札だろ」


 パクツは焦ってオウカ公爵に詰め寄った。


「弟の危機に切札使わないで、いつ使うの。良いんだよ、そろそろ使わないと不便だったから」


「ああ……確かにヤバかった。足引っ張ってすまん。つーか、走馬灯見た」


 パクツは自分の手が震えているのを確認して、力を込めて握った。


「ちょっと! 怖いこと言わないでくれるかな?! ちなみに、足は引っ張られてないからね。君が居なかったら、僕は今まで何回死んでるかわからない」


 そこに居る者達は、2人のやり取りをただ呆然と見るしか出来ない。




「さて、と」


 オウカ公爵は、広間にいる者達の方へ振り向いた。皆、青ざめるしかなかった


「今のは、1日に3発が限界だ。今のよりも大きく出来るし、小さくすれば量産出来る。だから、必ず3発で君達を仕留めるよ。ウィステリア候爵もいるし?」


 オウカ公爵は人差し指を上に向けて、指先で実演しながらご丁寧に説明している。


 しかし、本当は1日に5発は打てることをパクツは知っている。

 サラッと誤情報を与えるあたりが怖いんだよなぁ……と苦笑いしながら、オウカ公爵の側に護衛のように立った。



「……そこで、交渉だ。ここをこれ以上壊したくないし、できれば穏便にいきたい。もう戦う気のない者はいるかな? もしいるなら、跪いて手を後にしてくれるかな。危害は加えないって約束しよう」


 オウカ公爵の話を聞いて、次から次へと跪き、全員が同じ状態になるのに時間はかからなかった。


 すると、オウカ公爵は利き手を大きく振り上げて、キラキラと輝く魔法で広間を覆った。

 指で一振りすると、胴に魔法の輪が掛けられ、もう一振りすると腕にも輪が掛けられ、最後の一振りで2つの輪が繋がった。



 リリーを除くと、オウカ公爵の魔力量は帝国内でトップを競うほど飛び抜けている。

 多数の者を同じ状態にするのは難易度が高く、その上今の魔法は公爵独自のもので、他に使える者はいない。


「ああ、捕縛が楽だね」


「そりゃお前だけだ」


 すかさずパクツが突っ込む。


 ははっと笑いながらオウカ公爵は手を腰にやって、広間を見下ろしている。

 どこの家門の誰が居るのかをチェック中だ。


「でも、やっぱり僕の弟は優秀だよね。君のお陰で、かなり助かったよ。そういえば、怪我は?」


「あー、ほとんど無ぇな」


「流石だね」





 パクツの本当の無事を確認して、オウカ公爵は悲しそうにリリーの方を見た。


「リリ、ここから先は、聖剣と関係のない父様は行けない……気を付けて行っておいで。危なくなったら、怪我をする前に帰っておいで」



 リリーは、ハッと我に返って泣きそうになった。グッと堪えて、しっかりと応える。


「はい、行って参ります! お父様も、叔父様もかっこよかったです。お父様、帰ってきたら、その魔法教えて下さいね」


 最高に見事な綺麗なカーテシーで2人にお礼をして、謁見の間へ入っていった。






私をここへ辿り着かせてくれるために、



さっきは、叔父様が一人で大勢を相手してくれた。



お父様がずっと隠していた切り札まで使ってくれた。





次は私の番。



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