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5…リリーのドキドキ

「どど、どうしよう! シリイ!」


 部屋を後にしたユウの足音が聞こえなくなったと同時に、リリーはシリイにしがみついて話始めた。


「どうされました?」


 シリイは何も知らない体で相手をするしかない。

 母親のように背中をトントンして、落ち着くまでさすってみる。

 とりあえずは、きちんと皇太子が自ら伝えたのだということに安心した。鎮静効果のある茶葉も役に立っただろうかと思いながら。


「わ、私、ユウの婚約者になるらしいの!!」


 想像よりもテンション高めのリリーが報告をしてくれた。


「あら!! それはおめでとうございます」


 心から嬉しいことなので、包み隠さずリリーを祝う。


 シリイは口には出さないけれど、二人はとても仲が良く、お互いを想い合っているのではと見ていた。

ただ、リリーは第一皇子とも仲が良いので、確信ではなく疑惑程度だった。


 この反応も、幼馴染が婚約者になることがただ気恥ずかしいだけなのか、それとも特別な感情があるのか、まだわからないし、当の本人もわかっていなさそうだ。


「ねえ、シリイ…このドレス、ユウの瞳の色なんだけど…」


 顔を真っ赤にして手で覆いながら、リリーはモゴモゴ喋っている。


「……今更ですか、リリー様」


 呆れ顔のシリイを見て、ますますリリーは恥ずかしそうに顔を手で覆った。


「アキラが婿入りして皇族と繋がりをつくるか、私が皇太子妃になるのか、そうなのかなーって思ってはいたけど。現実的に考えたら前者かなって」


「ユウが他の貴族令嬢と婚約するのが濃厚かなと思ってたの。でないと、権力のバランスがオウカ公爵家に集中しそうでしょう?公爵家はお兄様がいるから、だから、領地の一部をいただいて、アキラと一緒に領地運営していくのかと思ってて…」


「だから、心の準備が……何ていうか、出来てないの」


 次から次へと言葉が出てくるリリー。

 知らない所で領地運営のことも考えていたのかと、リリーの成長にシリイは感心しながら耳を傾ける。


「っあーー!!!!」


 今日1番の大声でリリーは叫んだ。シリイは驚いて目を白黒させた。


「シリイ!! 驚かずに聞いてね?! その前に私が落ち着かなきゃ。あのね、アキラが……マリルと婚約するらしいの。マリルよ?!」


 ユウがリリーに伝えた時、シリイはまだその場にいなかったが、事前に皇太子殿下から知らされていて、これがシリイも今日一番驚いたことだった。


 シリイや他の人からの見解でも、アキラもリリーを好きでいたはずだ。何よりも大切に、何からも守っているように見えていた。


 政略的なものはあるが、皇子の婚約も本人の同意がないと成立しない。相手はあの問題有りのリリーの義妹で、アキラからも良い印象が無いはずだ。

 なのに……


「何故なのでしょう」


「私もわからないの。会えたら聞いてみたいんだけど、大丈夫かしら」


 リリーは不安そうにシリイに聞いた。いつもなら、先ほど同様に突撃していくのに。リリーの動揺がシリイに伝わってくる。


「他のお人がいらっしゃらない時なら、良いかもしれませんね」


「そうよね。まだ公に発表されていないことだし、人がいる所で話題にしないように気を付けないと…」




 そんな話をしていると扉がノックされたので、2人はハッと時計を見た。


「あら、もう夕食へ行く時間になっていたのね。シリイ、私が出ても良い?」


 リリーは緊張しつつ扉へ向かいながら、シリイに尋ねた。


「はい。あとはショールだけなので。お迎えは皇太子殿下のはずなので、大丈夫でしょう」


 シリイは急いでショールをとりに向かった。


「わかったわ! ありがとう」


 リリーはドキドキしながら扉を開けた。


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