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閑話休題6〜強メンタルといえば

 ウィステリア候爵父子がオウカ公爵家に滞在中に、1度だけちょっとした夜会が開かれた。

 以前から開催する予定だったので中止にすることも出来なかった。


 勿論パクツは欠席したが、タイムは平気なので参加している。


 夜会に基本出ない皇子2人がやって来てしまったし、謎に包まれているウィステリア候爵の長男つまり小候爵が参加している、非常に珍しくて貴重な夜会だ。



 リリーがダンスしたいと言うので、本当はさせたくないオウカ公爵は泣く泣くダンスタイムの時間を作った。



 踊る順番は決まっていて、最初はユウだ。


 何よりも大切そうにリリーを扱いながらダンスするユウは、名実共に王子様で、見惚れる令嬢は多い。

 リリーも楽しそうにユウと話して、誰も付け入る隙がない雰囲気だ。



 曲が終わって拍手の最中に、もうアキラが何故かタイムを連れて変わりに来た。

 4人でワイワイ楽しそうにしている。

 次の曲が始まりそうになると、タイムがユウを引き剥がして戻って行った。


 アキラが「ユウがよく2曲目も踊るんだよな。今日は3曲しかかからないから、お前踊れなくなるよ」とタイムに教えたので、いつも2曲踊ろうとするらしいユウを引き剥がしに行ったのだ。


 アキラはダンスが超絶上手く、リリーとのダンスはいつも動きがあって周囲を魅了する。

 アキラのダンスが見られるのはリリーがいる時だけなので、皆見たがって集まってくる。

 いつもこの時間、踊っているのはアキラとリリーだけになってしまう。


「今日は4曲だから、兄上は2曲踊るつもりだな……」


「は?! どういうことすか?!」


 まんまとしてやられて怒りしかないタイムは、物凄い形相で楽しそうにリリーと踊るアキラを睨み続けた。

 それに気付いたアキラは満足そうだ。



「タイムと踊るの楽しみだったのよ。トリにもってこいね!」


 リリーの手を取った瞬間に言われた言葉にコロッと気持ちを持っていかれて、怒りを忘れたタイムは自分の番を思う存分楽しんだ。




 皇子2人が来ることを事前に公表していなかったので、参加者は皆心の準備が出来ていなかったのもあり、様子を伺うだけで近寄って来ない。

 なので今は、アキラとユウとタイムの3人で気楽に、談笑と言う名の牽制をしている最中だ。


 今リリーはあちらの方で、学園で仲良くしているご令嬢たちと、本当の談笑中だ。


 3人は時折リリーを確認しながら、話をしている。




「え、俺の母ですか?」


 アキラは、前々から気になっていたウィステリア候爵夫人についてタイムに尋ねてみた。


「ミンティア国の王女だったんだよな? どんな人なのかと思って。ウィステリア候爵夫妻は謎が多過ぎるからさ」


「ああ……一言で言えば、メンタル強過ぎて恐い人ですかね」


 流石お前の母親だな、という言葉をアキラもユウも飲み込んでおいた。





「母上は何故父上と結婚されたんですか? 父上は家族を大切にしてくれてますけど、恋しているのは母上だけのような気がします。平気ですか?」



 2人で屋敷の廊下を歩いている時だった。

 ココアナは驚いた顔をしてタイムを見て、そして、にっこりと笑って説明し始めた。


「絶対の自信があるから大丈夫よ。お父様は例え他に恋い焦がれる人が現れたとしても、絶対にそちらに行くことはしないもの」


 タイムはよくわからないという顔で聞いている。

 それを見て、ココアナは続けた。



「ウィステリア領を捨てて、ミンティア国を敵に回すなんて選択、お兄様のオウカ公爵に顔向け出来ないようなことよ。絶対にしないわ」


 ココアナは綺麗な笑顔になって続けた。


「だから、生きている限り、私を裏切ることなく、絶対に私の旦那様なの」


 ココアナはころころと笑って最後に言い放った。


「私がそれで満足だから、良いのよ」





 アキラもユウも、初めて味わうタイプの恐怖で鳥肌が立った。


「「……恐いな」」


 皇子達は少しウィステリア候爵に同情した。


「でしょう? でも父もメンタル強いんで。母は、父にとっての条件ではこの上ない女性ですし、特に気にせず母を含め家族を大切にしてます」


 あの父親を側で見ながら、心が強過ぎる母親に育てられると、こうなるのか……と、アキラとユウは妙に納得した。


「何か失礼なこと考えてません?」


「いやいや。ならさ、リリだと物足らないんじゃないか? 他の強そうなご令嬢を探せよ」


 夜会に来ている令嬢達を、手のひらを向けてアキラが薦めている。


「ああ、リリは……そうはならないな」


 ユウも同じ格好で同意した。


 タイムは2人を見て鼻で笑って、リリーを見ながら話始めた。


「いやいや、お2人の、その態度に出まくってる気持ちに気付かないリリーは、ある意味かなり強メンタルすよ」



ーー確かに。



「お2人も強いすよね。それで心折れないんすから」



ーーその通りだ。



「俺も仲間入りさせてもらいますけどね」


……はぁ?



「「そこは遠慮しろ!」」



 ご令嬢を薦めていた手のひらをタイムの肩に乗せて、皇子2人が凄んでいるが、


「嫌すよ」


 タイムには全然効いていない。


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