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35…オウカ公爵、度肝を抜かれる

 貴族会議の3日後、タイムはウィステリア候爵家での用を言付かったため、一足先に帰路についた。

 タイムが帰りの馬車に乗る際、リリーの頬にキスをしたが、オウカ公爵の見えない瞬間を狙ったのでお咎め無しだった。

 してやったり顔のタイムが手を振っている。


 馬車が発車した。

 リリーは手のひらで魔法の光の鳥を創り、両手でタイムの方へ飛ばした。鳥は馬車の周りを旋回して、中へ入っていった。今頃タイムが驚いているだろう。

 タイムが道中無事にかえれるようにと、リリーの防御魔法だ。


「へぇ! すげぇな! こんな事出来るようになってたのか」


 パクツが感心して、リリーの頭をワシワシ撫でながらタイムの乗っている馬車をまだ見ている。

 こりゃあタイムがのぼせ上がってんな……



 一方リリーは褒められて上機嫌だ。


「でも、あまり魔法は使わないようにしてるの。魔力の質や量がどの程度なのか知られては危ないからって……でも、今日は特別!」


 過保護なオウカ公爵が控えるように言っているのが、パクツの目に浮かんだ。

 チラッと隣のオウカ公爵を見てみると、リリーの美しい魔法を見て感動している。

 親バカだ。親バカがいる。


 リリーはオウカ公爵に気付かれないように、そっとパクツに近付いた。


「あの、叔父様、今日は手合わせしていただけるかしら」


「ああ、大丈夫だろ」


 パクツがオウカ公爵邸に滞在して、初めて手合わせをしてから、リリーはほぼ毎日のようにパクツの都合が付けば手合わせしてもらっている。


 「皇子あの二人より強く在ることは良いことだから」と言うオウカ公爵は、パクツが終わりだと言ったら即終了を条件に許可している。



「……タイムだけ急ぎの用なの?」


「ああ、まぁな。あいつも、まあまあ使える奴だからな……寂しいか? 今度ウィステリア領に来るか?」


 リリーは目をキラキラさせた。


「ダメだよ! リリーは外泊させません」


チッ


 パクツはリリーと一緒にオウカ公爵に抗議したが、取り合ってもらえなかった。


「いつかこっそり連れてってやるな」


 パクツはにっこり笑うリリーの頭をまたワシワシした。




ガチャ

コンコン


 今から数日前、貴族会議の翌日、パクツがタイムも加えてオウカ公爵家の執務室に来た。


 人に聞かれたらまずいと言うので、クレス騎士に退出してもらい、オウカ公爵は防音魔法をかけた。



「コガヤが狙ってる物が確定ではないが、わかったぞ。魔剣だ」



「えっ……?!」


 オウカ公爵は驚き過ぎて、開いた口が塞がらない。


「聖剣かと思ったが、魔剣の方だった。暗躍達に、そのどっちかに絞らせてコガヤの周りを調べさせたら、魔剣だった」



「……?!」



「俺は迷信だと思って、禁書をサラッとしか読んでねぇから、内容を覚えて無えんだ。確か、場所や探し方が書いてあったはずなんだが……」



 オウカ公爵はまだまだ開いた口が塞がらない。

 パクツはどんどん喋っていく。



「ウィステリアに有るのは聖剣についての禁書で、オウカは確か魔剣の禁書があるんだよな?」



 オウカ公爵は瞬きも頷きもせず、口が開いたままパクツを見ている。




 禁書を保管している家の当主は、代替りの際、禁書に関しての事を初めて知ると同時に、他人に話せないように必ず誓約をすることになっている。


 ……のにも関わらず、パクツが話している。

 そして、次期当主ではあるだろうが、まだ引継いでもいないタイムが隣りで普通に聞いている。



 そんなオウカ公爵に気付いたらしいパクツが、のん気に説明した。



「ああ、俺、誓約してねぇからな」



 パクツがいきなりオウカ公爵の度肝を抜いてきた。



「や、ウィステリアのじいさん、どうやら俺が本当に言葉喋れねぇと思ってたらしくて。誓約しなくて良いとか言って、してねぇんだ。負担が大き過ぎて、あの重い誓約をあんま好きじゃないんだとさ」



「はあぁぁ?!?! そんな、こと……! ええええぇぇぇ?!」



 オウカ公爵はやっと声が出せた。もしかしたら人生で1番驚いたかもしれない。



「他はキチッとしてんのに、迷信には緩いじいさんだなぁと思ったが、こんなとこで役に立つとはな!」


 確かに、もし狙いが本当に魔剣なら、誓約をしていなくて勝手を知っている人間が居るといないじゃ、明らかに動き易さが違う。

 しかもそれがパクツなんだから、本当に運が良い。のかもしれない……


 何とか気持ちを持ち直して、オウカ公爵は平常心に戻ってきた。



「ウィステリアのじいさん、グッジョブすね」



 隣で飄々とタイムが言っているのを見て、オウカ公爵は膝から崩れ落ちそうになった。



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