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25…残念な公爵令嬢

「待っていたわ。どうぞお入りになって」


 リリーが部屋で出迎えると、バタバタとマリルが入ってきた。リリーがマリルをお茶に誘ってこれで3回目だ。


 最初は不慣れなせいか、入る前から全くマナーがなっておらず、大声でリリーを呼んでしまった。

 部屋に入る前から失格となり、青筋が出ているシリイに帰らされた。


 2度目はノックもせずにドアを開けて入ろうとして、やはりシリイに追い返された。


 3度目の正直ということで、やっと、やっと、部屋に入れそうだ。



「お姉様、今日はお招きありがとうございます!」


 カーテシーっぽいものをして、なんとか及第点だ、とリリーは思うことにした。

 シリイが追い返しそうだったけれど、今日は少し大目に見て欲しいとリリーに言われているので、抑えているようだった。



「今日は皇太子殿下たちはいらっしゃらないの??」


 マリルは部屋を舐め回すように見ながら質問した。


 早速リリーは白目をむきそうになったけれど。

 リリーが何とか我に返って持ち直している間に、今日のマリルの侍女かが申し訳無さそうに手土産を出し、何も言わずシリイが受取っている。

 リリーは、もう恐くてシリイの方は向けない。


 「彼らは来ないわよ」と答えて、リリーは不服そうにするマリルをテーブルへと案内した。





「マリルはずっとお母様と暮らしていたの?」


「ええ、ほ(そ)うよ!」


 マリルはもぐもぐ食べながら返事をした。


「こちらはどう? 慣れたかしら?」


「公爵令嬢はきっと良い暮らしなんだろうなって思ってたけど、本当だったわ! 覚えることも多いけど、ルールも覚えきたでしょう??」


 リリーは最後の言葉に思わずお茶を吹き出しそうになった。

 頑張っても肯定できない。そして、やっぱり食べながら話をするマリルが気になってしょうがない。


 そんなリリーを他所にマリルは嬉しそうに焼菓子を次から次へと頬張っている。


「ママが、こっちに来るのはどうか言ってきて。贅沢を楽しんできたらって言うから」


「そう。お母様は一人で寂しいわね。時々でも、マリルが顔を見せに行きたければ……」


 マリルとやっとお茶を飲めたけれど、リリーとしては待ちに待った情報収集のチャンスだった。

 しかし、初回だし怪しまれないためにも、そんなに根掘り葉掘り聞くことはしない。

 これといった情報は得られないだろうから、今日は世間話で少し距離を縮めるようにするだけに徹しなければと、自制に努めている。



「大丈夫よ! 時々来てくれるおじさん達がいたから」



「たち……?」


「う、じゃない、ええ、一人はお金をくれるおじさんよ。もう一人は……お金持ちなのか、キラキラしてるおじさん。その人が来るようになって、公爵令嬢になる話がでたから、もしかしたら、そっちが恋人だったのかもしれない、わ。邪魔しちゃ悪いし」


 リリーは聞いて良いのか悪いのかわからない話題に、戸惑うところを見せないようにするのが精一杯だった。


「キラキラって、何か飾っていたの?」


「ええ! 服に宝石みたいのが付いてて綺麗だった。ママはキラキラしたのが好きだったし」


 マリル、次は音を立ててお茶を飲んでいる。


「そ、そうなの、ね。マリルも宝石は好きかしら?」


「そうよ! だからお姉様と同じくらい欲しいから、お父様にお願いしたいの」


 シリイが背後で非常に怒っているのが雰囲気だけでわかった。自分が怒られているわけではないのに、リリーは変な汗をかいてしまう。


 これまでの会話だけでリリーは非常に疲れしまった。


 何でこんなにビックリする方へ話が進むのかしら。私が誘導してしまってる??それとも、これくらいは普通なのかしら……


 リリーはアキラやユウに会いたくなった。リョウに癒やされるのも良いかもと現実逃避の体制に入りそうだった。

 こんなに話をしただけで疲れたのは、リリーの人生で初めてかもしれない。



「あ、そのキラキラおじさん、お土産が宝石だった…のよ! でも、すごく小さくて小石くらい。やっぱり公爵家の宝石の方が大きくて良いなって」





「お土産が宝石……?」





 突然、何か核心のようなものに近付けた感覚が、リリーを緊張させた。



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