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23…オウカ公爵家の父娘

リリーは怪訝そうな顔でずっと公爵の顔を見ている。


「……別の方のお話を語ってません?」


 自分の父親がそんなに格好良いと俄に信じられないリリーは、やっと出せた言葉がそれだった。


「酷いっっ」



 そんな二人を他所に、タツァックが話をまとめた。


「お父様の身の潔白はわかりました。問題なのは、今になって何故マリルが来たのかがわからない、ということですよね?」



「あ、ああ、何かが動いているようなんだが、なかなか尻尾を掴めなくてね。あちらさんも慎重らしいんだ。とりあえずは南部の人間ではなさそうだということくらいかな。……申し訳ないんだけど、これは皇城内でも機密事項として扱っている案件だから、許可したこと以外は話せないように誓約をしてくれるかい。勿論、首も突っ込んだらダメだからね」



 二人は了承して、話合いは終わりになった。



「やっとお父様とまともに話せます。本当に生理的に無理になっていましたから」


 オウカ公爵は思った以上に深刻な状況だったのだと初めてわかり、青褪めて何度も謝罪した。



 タツァックとリリーは部屋から出て、沈黙のまま部屋まで戻った。

 部屋の外で待機していたタツァックの護衛とシリイは、ただならぬ雰囲気だったので静かに後ろから付いていくだけだった。



 部屋についたリリーは、シリイにあることを頼んだ。



「本気ですか?!」



 真剣に頷いたリリーを見たシリイだが、やはり納得がいかないと言った顔をしている。

 なので、許可された内容の1つ、マリルは公爵自身の娘ではなく、縁遠い市井出身の知合いの娘であることを伝えた。


「そろそろマナー教育も実践になってきているでしょう? どんな感じか見てみたくて。私に出来ることがあれば手伝えるし。交流を計るという名目でお願いできるかしら」



 シリイは渋々リリーからのお願いを聞き入れることにした。


 リリーは首を突っ込まないと約束はしたが、他の人では難しい部分での情報収集はしておきたかった。こういった化かし合の場合、得る情報は多いに越したことはない。


 マリルから情報を聞き出すには、マリルより少し立場が低く聞き上手な人物がきっと適任だろう。

 けれどそれは次にして、まずは自分が先陣を切ってみることにした。

 自信は無いけれど……






 一方、公爵の執務室では、オウカ公爵が色々模索中だった。


「リリーが首を突っ込むの我慢するなんて出来ないに決まってるんだよね。こちらもそれ相応の準備をしておかないとね。あと、これは今はまだ任せたままで良しとして」


 ため息混じりに独り言を言いながら、オウカ公爵は書類を持って同じ場所を行ったり来たりを繰り返している。


「あとは……そうだ! 久しぶりに可愛い弟にでも来てもらおうかな。電波じゃあ限界がある。応援を頼まなきゃいけなくなるかもしれない。あ、マリル嬢に会わせられないから……」


「電波魔法は声だけなので、話をつめるのは難しいですよね」


 10年前、魔法の電波に声をのせて飛ばすという電波魔法がオウカ公爵によって発案され、その翌年に魔法研究所で開発された。


 対の電波の目標物を持っていれば、話がいつでも出来る画期的な物だ。

 その物限定でしか出来ないが、通信手段が手紙のみだった当時には大発明だった。


「でも10年でだいぶ普及したよね。便利になったよ。だから最近来てくれないのかな。前はあんなに来てくれてたのに。よし、弟家族を迎える準備をしないと!!」


 嬉しそうなオウカ公爵に、クレス騎士は言いにくそうに伝えた。


「いえ、ココアナ様が3人目をご妊娠とのことですから、ご家族では難しいでしょう。きっと落ち着いたら、また来てくださいますよ」


「そうだった……」


 オウカ公爵は立ち止まってしまった。


「パクツに似てるのに敬語を話せる子どもたちが可愛いんだよね。一番上の男の子がリリーと4つ違いだから12才かぁ……どうなってるのかな」


 これはオウカ公爵の現実逃避かもしれないと気付いたクレス騎士は、支度部屋へと促した。


「その前に登城の準備をしましょう。お仕事です」


 オウカ公爵はしょんぼりと着替えに向かった。



ウィステリア候爵ことパクツがオウカ公爵家へ久しぶりに滞在しに来たのは、この翌月、まだ暑さが心地良い初夏だった。


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