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20…15年前のお話⑤ミンティア国王は知り、笑う

「ココアナを助けて下さって、本当に感謝しています。あんなに被害や騒ぎを最小限にして終わらせてもらえるなんて! 本当に優秀な騎士が付いているのですね」


 人払いをした部屋で、新しいミンティア国王は妹救出への感謝をオウカ公爵へ伝えた。

 数日前の騒動の首謀者は、ココアナ姫に言い寄っていた貴族の男で、連れ去ろうとしていたのはそのために雇われたゴロツキだったと説明した。



「ありがとうございます。ココアナ王女がご無事で良かったです。まぁ確かに、うちのパクツ騎士は優秀で、自慢の家族です」


 パクツ騎士がギョッとした顔をして、オウカ公爵を見ている。

 騎士を家族扱いするような風習のないフィズガ帝国で、以前、同じ様な事を言って周囲をドン引きさせたことがあり、パクツ騎士は気不味さでいっぱいだったのを思い出した。


「ええ、そうでしょうね! あんな優秀だと自慢せずにはいられないでしょう」


 ミンティア国王がさもありなんと笑顔で応えたことに、パクツ騎士は更に驚いて目を丸くしている。

 それに気付いて、オウカ公爵は嬉しそうに続ける。


「彼は幼い頃に、私が見つけた子なんです。弟のように大切なんですが……言葉がなかなかで。ご無礼を承知で申し上げますと、敬語を使いたがりません」


 パクツ騎士はただ真っ直ぐ見ている。


「はははは! そうだったんですか!! だから黙っておられたのですね。寡黙なのかと思っていましたよ!」


 何故だがミンティア国王は大爆笑し始めた。


「いえ、めちゃくちゃ喋りますよ。私も言い負かされるくらいです」


「オウカ公爵が負かされるなんて、頭も切れるんですね?!」



 パクツ騎士は信じられない光景を受け入れるのに時間がかかった。

 敬語が使えない、付き従わない、そんな従者は用がない国で生きてきたので、このやり取りは異様な光景だった。



 このおっさん達は何を言ってんだ? こいつ何でそこまで砕けて喋ってんだ? そんな事を受け入れる国王が存在すんのか……


 国が違えば、ここまで違うのかと。

 パクツ騎士は自分の世界が広がっていくのがわかった。

 それをオウカ公爵は満足そうに目を細めて見ている。



「なら敬語は不要です。あ、私が敬語を使っていては喋れないな。ありのままで話してくれ!」



 そう言ってミンティア国王はパクツ騎士の肩を軽く叩いた。


「いや、無理だろ………」


 パクツ騎士は気が付いたら呟いていた。

 しまった!! という言葉が顔に書いてありそうなパクツ騎士は、焦ってお辞儀して、オウカ公爵に近付いた。

 どうもこの国王は調子が狂う。


 国王は爆笑していて、オウカ公爵はニコニコしている。



「お前、昨日の、とりあえず任せろってのはこの事か?!」


 我慢して喋らないのが馬鹿らしくなるくらいの雰囲気で、それでも少し遠慮してパクツ騎士が小声でオウカ公爵に言い寄った。


「うん、このミンティア新国王なら大丈夫かなと思ったんだよね」


「ただの特攻じゃねぇか?!」


 オウカ公爵はニヤリ笑い、小声になってパクツ騎士に諭した。


「大丈夫だよ。勝算はあったんだから」


 そして、ミンティア国王へ向かって話始めた。


「フィズガは少し上下関係が厳しいので……パクツの言葉遣いについては内密にお願いできないでしょうか?」


「ああ、勿論! こんな面白い秘密を共有出来るなんて嬉しいですね!!」


「ただ共有相手は多くしたくないので国王陛下だけにしたいのですが」



 笑いが止まらない国王が、待ってくれとジェスチャーしてくる。



「実は敬語を使われるのが大嫌いなココアナにはもってこいの相手なんだ。彼女を仲間に入れてくれないか? 話相手にでもなってやって欲しいんだ。今日は4人で晩餐はどうだろうか?」



 オウカ公爵はまるで狙っていた獲物がかかったかのような顔を一瞬見せてしまったが、ミンティア国王もパクツ騎士も全く気付かなかった。

 そして、オウカ公爵は普通に、パクツ騎士にどうするか聞いた。


「まぁ、他国だし、これ以上増えねぇなら」


「なら、決まりだね! 国王陛下、食事中は部屋に従者を待機させないでもらえますか? 噂になるのも好ましくないので」


「ああ、勿論だ! そのように計らおう」


 公爵はお礼を言って、晩餐へ参加する準備のため滞在先へと戻った。



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