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19…15年前のお話④パクツ騎士と昼食会の誘い

「オウカ公爵殿、国王陛下からでございます」


 朝、オウカ公爵は一通の手紙を受取った。

 内容は昼食へのお誘い。昨夜の騒動へのお礼ということで、オウカ公爵とパクツ騎士への物だった。



「……絶対行きたくねえし」


 パクツ騎士が苦虫を噛み潰すどころではない顔をしている。



「いやー、断れるものじゃないんだよね。半強制とかではなく、これは絶対強制なんだよ。とりあえず行くしかないね」


 オウカ公爵がソファにもたれ掛かって何やら考えていたら、短剣で腕を切ろうとしているパクツ騎士が目に入ってきた。


「えっ何やって?!?! ちょっ?! 止めなさいっ」


 オウカ公爵は短剣を持っている方の腕を必死に掴んでいる。護衛を呼びたいところだが、こんな事をしているのが護衛なのでどうしようもない。


「わかったって! お前が危ないだろ!! 離れろ! 座れって!」


 もうどっちが主だか護衛だかわからない状況だけれど、息切れしながら二人共とりあえずソファに腰掛けた。


「ちょっと怪我でもすれば行かなくて良いんじゃねぇかと。少し深く切るだけだし」


 飄々と答えるパクツ騎士を見て、オウカ公爵は青ざめていく。


「いやいやいや、ダメだからね?! 少し? 深く? とか何言ってるのかな?! とにかく、怪我とかそういうのは禁止!! その間の僕の護衛はどうするの」


「名案だろーが!! それに、利き手と逆の腕怪我したくれぇなら剣は持てる」


「何言ってんの、それ迷案だからね?! 迷う方ね」


 パクツ騎士はチッと舌打ちをして、ドカッと深く座って足を組んだ。


「あーーまじで今すぐ帰りたい。もうリリーが病気になったとか嘘ついて帰ろうぜ」


 パクツ騎士は手で顔を覆って天を仰ぐしかない。



「リリは病気にしない。縁起でもないから」


 オウカ公爵は即答して足組した。



「クソが」



「まぁ任せてよ。悪いようにはしないからさ」



 オウカ公爵はニコッと笑って、お茶を注ぎ始めた。勿論二人分だ。

 パクツ騎士よりは美味しくできるからと、いつからかオウカ公爵が譲らなくなった。


 1度パクツ騎士に任せたのだが、お湯ベースのお茶の様な物が出来上がった。本人には言えないが、飲めたものではない。


 その間に、置いてある茶菓子や砂糖やミルクやらをパクツ騎士が用意する。



「何でまだフィズガでは頑なに喋らないようにしてるんだい?」


 紅茶を机に置きながら、オウカ公爵は他国なら応えてくれるかもしれないと、何度か質問したことがある内容をもう一度聞いてみた。



「そんなの当たり前だろ、上下関係が厳しい国だと、俺みたいなのを見下す奴らが多いじゃねぇか。そのうえ敬語使わねえとか、お前にも迷惑かかるだろ。そんな奴らと関わるのは、人生の無駄遣いにしかならねぇだろ」


「さすが、ブレないね」


「まぁ、何があっても最後まで面倒みてくれる奴がいるからな!」


 オウカ公爵は嬉しそうに溜息をついて、パクツ騎士を見た。


「寡黙で腕の立つ騎士様に、本当に縁談が後を絶たないんだよね。僕も君には幸せな家庭を築いて欲しいなとも思うんだけど……」


「敬語使わない無礼な身分下の奴と結婚したい物好きなご令嬢なんかいねえって。それに……路地でウロウロしてた時にちょっとな。公爵家が安息の地だから、とりあえず、くたばるまでよろしくな!」


 路地で生活していると色々なことに巻き込まれるから、きっとパクツ騎士も何かあったんだろうとオウカ公爵は察した。


「うーん、まぁそこは心配しないでくれて大丈夫なんだけど。公爵家を信頼してくれてるのは嬉しいような、怖いような。……戦いごとに関しては、力も策も今は君の方が上手だよね」


 パクツ騎士がまたウエッという顔をして、言い返す。


「お前が一番恐えよ。どんな剣でもお前には敵わねぇだろ」


「はははっ、買いかぶり過ぎだよ」


 お茶を飲み終わったオウカ公爵は、嬉しそうに笑って執務スペースへ歩いて行った。



 パクツ騎士はお茶を飲みながら、呆れたようにオウカ公爵を見ている。


「褒められたら逃げんのは、昔から変わんねえな」



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