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99…見つけ出し、

「最初に使った名前が、レイだったの?」


『そう、ここから遠くてきっと君たちでは辿り着かない小さな国でね。そこで最初の娘に会ったんだ』


 竜神は穏やかな時はとても雰囲気が良く、爽やかなイケメンにしか見えない。

 リリーはその爽やかイケメンの話を聞くことに徹していた。

 得られる情報は多い方が良いはずだから。


 竜神は元から感情の起伏が激しいらしい。


 最初の娘と良い感じだったのに理由は定かではないが拒否され、それを受け入れられなかった事が原因で精神が酷く乖離してしまったのだろうとリリーは解釈した。


『今回の国は継ぎ接ぎなんだ。人を拾ってきて、私が創ったんだよ』


「そ、そうなのね」


 拾ったのか拐ったのか、リリーは聞くのが怖かったのでやめておいた。

 きっと父のオウカ公爵が対応しているだろうから。


『婚約者を私にしてくれるなら、一緒に帰してやっても良いよ。フィズガの皇太子も他の縁談がきてるらしいから、きっと大丈夫だよ』


 リリーは心臓が締め付けられるような感覚に陥った。

 たとえ自分が無事に帰れなくても、ユウには他にお相手がすぐ見つかるのかもしれないと思うと、居ても立っても居られない気分になった。


 それを見抜いたのか、竜神はリリーの頬を掴み、イライラを満たすようにキスをしてくる。



 目覚めてから何日が経ったのか、リリーには分からなかった。

 けれど、かなりの日数が経ったのに、奇跡的に何も失うことなく無事に過ごせている。


 ただ、何故か体力の回復が遅過ぎて、身体を動かすことがままならない。





「この湖なんすね」


タイムは先程から湖ではなく空を見上げて気にしている。


『どーした?』


「いや、何か上……から……?リリーの穏やかな感じが。ちゃんと生きてます」


 タイムは空を見上げてじっとしている。

 それに感心しながら魔神は空を見上げた。


「洞窟のようなって聞いてたんで、地下かと思ってたんすけど」


 腰に手を当てて、タイムは暫く上を向いて歩きながら何かを探すように目を凝らした。


「あ、あそこっすね。それにあの雲の塊、風に流れてないす」


 言われないと分からない、留まっている雲の塊が、タイムと魔神の上にある。


『お前すげーな。かなり距離ないか?』


 魔神はその雲を見ながら感心している。


「範囲絞れば、距離いけます」


『そんなもんか?! まー、行ってみるか』


 魔神はタイムの背中の服を掴み、高く高く飛んで行く。


「ちょちょちょ!! 俺、高い所が苦手なんすよ!!」



『目閉じてたら高いも低いもねーだろ』


 簡単に返事をする魔神を見て諦めたタイムは、青褪めながら目を閉じて腕組みして丸くなった。


「いやもう飛んだって分かってるんで、無理すね。もうこうなったら、早く到着して下さい」




 雲の中はまるで地下をそのまま持ってきたような状態になっている。


『こんなもん作ってやがったのか……』


「あ、居た! リリー!!」


『おー、本当に居たな』



 リリーは寝台のような所でいつものように竜神と話をしているところだった。


 リリーは懐かしい声を背後に感じて、久しぶりに鼓動が跳ね上がったのを感じた。

 ずっと聞きたかったのに、もう何年も聞けていなかった様な、そんな感覚。



 突然だったので、リリーはつい嬉しそに目を輝かせてしまった。

 そして、振返ろうとしてしまった。


 どちらも竜神を目の前にしてはならない事だったのに。



 竜神がリリーの髪を鷲掴みにして、痛がるリリーの顔を自分の方へ向けた。


「どんな顔して、どこ見ようとしたんだい?」


 冷めた目でそう言うと、タイムと魔神に見せつけるように、リリーの髪を掴んだまま竜神はリリーに深く深くキスをする。



 ブチ切れたタイムが斬り掛かろうとするのを感じて、魔神が連れて消えた。




 桜花宮に戻った瞬間、魔神が叫んだ。


『クッソが!!!! お前等用意してんな?! 直ぐ飛ばすぞ!!』


 聖神とアキラとユウは驚き過ぎて動けなくなっている。何かあったのだろうという事はしっかりと伝わり、緊張が走った。


 タイムは自分よりも更にキレている魔神を見て、自分が冷静になっていくのが分かった。


 助かった。あのまま飛び込んでたら、俺は無事では済まなかった。


 魔神がタイムを庇いながらの戦いは難しいと判断して戻ったのも、タイムは分かっている。



 チッ


 舌打ちした後、魔神は勢いよく手を左右に水平に振り、全員を一瞬で竜神の隠れ家へ移した。




 場所が移って最初に目に入ってきたのは、ぐったりしたリリーを抱きかかえている竜神の姿だった。



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