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閑話休題13〜剣術大会の前に帰省すると

「あれ?! また来てんすか」


 前日、タイムは諸用でウィステリア侯爵邸に戻り、先ほど目覚めて朝食を食べようと食堂の扉を開けたところだ。


「おはよう、タイム。今日はウィステリアに戻ってるって聞いたから、遊びに来てやったぞ」


 既に食べ始めているアキラが普通に挨拶してきた。


「皇城に居ないとまた大騒動になるから来ない方が良いんじゃないすか?」


「いや、置き手紙してきたからいけるだろ……」


 先日パクツまで巻き込んで大騒動を起こしてしまったので、アキラがそれなりに気不味そうに返事をした。



「それにだな、ここでの生活が心地良かった所為で、皇城暮らしがキツイんだよ。昔の俺はよくやってたよ。何なんだあの、ルール、ルール、ルールだらけの息苦しい場所は。人が住む所じゃないだろ?!」


 今更何をという顔をして、タイムはアキラをじっと見ている。


「そこがアキラさんの故郷す」



「お前は本当可愛くなくて可愛い奴だな」


 アキラはデザートのフルーツを口に放り込みながら、机に肘をついて頬杖をついた。



 あー、こういう所か。


 確かに、ウィステリア侯爵邸に来た当初、こんなアキラの姿は見たことがなかったので、タイムは少しだけ心配した。


 アキラさん、俺等に毒されてんだな……



「あ! アキラさん、結局リリーは剣術大会出るんすよね?」


 アキラの素行どうこうより、タイムはリリーの事の方が気になるのだ。


「まぁ……エキシビションだけな。他国の皇太子が出る時に、去年の優勝者が出ないのも失礼になりかねない。と、まぁ、出るしかないっていう」


 ふーん、とタイムは納得のいかない顔をしている。


「あと、魔神とかいうあのイケメンどうにかなんないすか。リリーの側から全然離れないし」


 魔神がイケメン呼びされているのが何故か可笑しくて、アキラは笑ってしまった。


「きっと守ろうとしてんだろうな」




『お前の欲は、本当変わってんな』


 リリーの年に一度の喪服姿を見たいと、アキラは魔剣を持ってオウカ公爵邸へこっそり見に来ている。


「えっ? 変わってる、のか?」


 そんな時に急に魔剣に話し掛けられて、アキラは驚いて動揺してしまった。


『まぁ、魔剣に触ろうなんて人間は少ねーから分からねーが。主の条件を満たしたお前以外がダメだったのか、全てを欲しがる奴が多かったな。そして魔剣に当てられて自滅していく』


 今日は何故かいつになく魔剣が饒舌だ。


「怖い事言うなよ。ま、俺の欲はリリ1人だけだからな」


 最初は話さないようにしていたアキラだが、何もしなくても欲や気持ちやらを見透かされているようなので、腹を括って自分を偽ることなく話すと決めたのだ。


 強制的に旧知の友人を作られた気分だが、この不思議な関係をアキラは今は楽しんでいる。



『俺をこの剣に宿した奴は、お前みてーなのが主になるように図ったのかもな。あいつは色々考える奴だった』


「へえ、仲良かったのか? 何で剣に?」


『まぁ、それも喋れねーだろ。だが次は……俺が居ない場所で、死なれるのは御免だな』


 言った直後、魔剣は少し喋り過ぎてしまったと後悔した。



 カノ・オウカの命日。

 オウカ公爵家では毎年喪に服す、年に一度訪れる忌引の日だ。


 もう会えない人に思いを馳せて……





「へぇ、居ないとこで。そりゃキツイすね」


「だからとりあえず、大丈夫だろ!」


「え……てことは、あのイケメンもリリ狙いじゃないすか?! 俺等の居ない時にあのイケメンに奪われないように定期的に見に行って下さいね」


 タイムは学園の授業もあるし、リリーは最近生徒会で忙しそうだし、なかなか会いに行けないので、タイムはもどかしいのだ。


「リリ狙いなのかはイマイチ分からなくてさー。ただ、カノ・オウカに重ねて守ってるだけなのかもしれない。あ、でも行ってるぞ、30分おきに。30分経つのも長いくらいなんだけど」


 30分?!


 タイムは焦ってアキラに注意してみた。


「いや、それ、アキラさんやっぱ完全にストーカーす。常識を超えてます。せめて1〜2時間に1回すね。それか、もういっその事アキラさんも一緒に居たら良いんじゃないすか」


 恐がらないリリーもリリーなんだけれど、幼い頃からこんなだと感覚も麻痺するのだろうかと、タイムは不思議でしょうがない。



「俺もそれなりに忙しいから無理だ」



 それで30分毎行けんのか?! 本当ナイな……


 タイムは残念な物を見るような顔をしてしまったので、何とかアキラから目線を変えて黒い剣を指差した。



「あー、その剣、まだ何か入ってんじゃないすか?」




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